概要
日本の長編オリジナル・パペット・アニメーション映画。
2015年10月の第28回東京国際映画祭パノラマ部門にて初上映。
「いのちの大切さ」と「想像力の可能性」をテーマに、少女が不思議な冒険を通して、心の成長する姿を描いた作品。
声の出演に豪華なキャストを迎え、星野源が参加している事でも注目された。
映画館による通常の映画興行形態ではなく、ゆっくりと時間をかけながら全国各地のホールや公共施設で上映を行うスローシネマ方式にて公開されている。
2016年2月より岩手・宮城・福島を皮切りに公開を開始。
2019年2月にはイオンシネマを通じて全国公開されたが、以降もスローシネマによる上映は継続しており、公式サイトや公式Twitterで最新の上映情報が告知されている。
2020年4月、フロンティアワークスよりDVDおよびDVD+BD限定版が発売された。
ストーリー
ちえりは小学6年生の女の子。幼い頃に父を亡くし、母親と二人暮らし。
母親は仕事に忙しく、ちえりの話し相手もままならない。
そんなちえりの唯一の友達は、ぬいぐるみの「チェリー」。
チェリーはちえりの空想の中では父親のようにちえりと話し、遊び、助言し、守ってくれる。
ある日ちえりは、父親の法事のため、久しぶりに祖母の家にやってくる。
そこでちえりを待ち受けるものとは……
空想と現実の狭間で、不思議な冒険が始まる!
登場キャラクター
ちえり (CV:高森奈津美)
想像力豊かな小学6年生の女の子。
幼いころに父を亡くし、母親と二人暮らしをしている。
唯一の友達であるぬいぐるみのチェリーを片時も離さない。
エンディングでは中学生に成長した姿で登場した。
チェリー (CV:星野源)
ちえりが父の葬儀の時に蔵で見つけたぬいぐるみ。
元々は何の動物だったのかすら分からない。
ちえりの空想の中では、父親のようにちえりと話し、遊び、助言し、守ってくれる存在。
万里恵 (CV:尾野真千子)
ちえりの母親。仕事が忙しく、ちえりの話し相手もままならない。終盤、彼女を一人にし過ぎたことに罪悪感を感じ始め、死んだ夫やちえりの名前の由来を思い出していた。
ねずざえもん (CV:栗田貫一)
ちえり達が出会うねずみ。食いしん坊でそそっかしくてお調子者だが憎めない。声や話し方が某大泥棒に同じなのはご愛嬌。
レディ・エメラルド (CV:田中敦子)
ちえり達が出会う猫。常にクールだが心優しい。ねずざえもんをよく𠮟りつけている。
敬子 (CV:和希沙也) ちえりの父親の妹。二児の母。
勝太 (CV:北川里奈) 敬子の長男。ちえりの従弟。
絵美 (CV:佐武宇綺(9nine)) 敬子の次女。ちえりの従妹。
節子 (CV:谷育子) 田舎に住む、ちえりの祖母。
大黒様 (CV:富澤たけし(サンドウィッチマン))
犬 (CV:花村さやか)
レディ・エメラルドの友人の雌の犬で出産間近で子犬の命をどんどらべっこに奪われてしまうが精神的に成長したちえりによって取り戻される。出産した時、再び子犬が命を落とすもチェリーが命を分け与えたことで生き返り、その後も命の恩人で子供の名付け親の彼女と戯れる姿があった。
どんどらべっこ
ちえりが幼い頃から怯えていた人のような死神のような怪物で色んな姿に変わることができ、子犬の命を連れて行こうとする。その正体はちえりの恐怖心が生まれた架空の存在でちえりが勇気取り戻したことで消滅し、たくさんの鳩に変わっていった。
本作に関するエピソード・余談
- 監督は2010年公開の『劇場版 チェブラーシカ』を手掛けた中村誠。この縁により、チェリーのキャラクターデザインはチェブラーシカの生みの親でもあるレオニード・シュワルツマンが担当している。
- 企画がスタートした時期に重なって東日本大震災が発生。被災地の未来を願い、映画館の無い地域も含め、地域・家族・友人など多くの人と作品を共有してほしい想いから、スローシネマ方式での上映が採用された。
- 映画公開に先駆ける形で、角川つばさ文庫よりノベライズ版も刊行された。
- 高森と星野のW主演は『アイドルマスターシンデレラガールズ』の一部P(ファン)からも注目された。高森は同作においてアイドル・前川みく役を演じており、また星野も同作のPであり前川みく担当(推し)であることが知られているためである。2016年7月、星野は映画の告知という大義名分のもと、自身がMCを務めるラジオ『星野源のオールナイトニッポン』のゲストに高森を招いている。