概要
『君は彼方』は2020年11月27日に公開されたデジタルネットワークアニメーション制作長編アニメ映画。放映時間は1時間35分。
ジャンルは、ファンタジー系青春もの…の筈。企画開始から4年以上の歳月を経て完成した。
今作制作にあたり監督の瀬名快伸(『奇魂侍』『印ストール』ほか)の借金によって2億円もの製作費が投じられたという。
この人物は、短編アニメ『奇魂侍』やWebアニメ『印ストール』の監督の他、映像作家、脚本家、声優、作詞家・作曲家、プロデューサーといったマルチな経歴をもつ人物として一部では知られている。
瀬名本人は自身初の長編劇場アニメ作品である本作に際して「最後の作品になるかもしれない」「実績のない人間がコケたら、次はもうない。」とコメントしている。
制作動機は、瀬名自身が40代を目前にして「自分の限界を知りつつもあったが、自分が伝えたいストーリーを表現できないのは嫌だと考えた。」という心境から出発したものであるという。
ある問題で延期の可能性にあったものの、無事に全国ロードショーとなったが・・・
あらすじ
※公式サイトから引用
澪(みお)は幼馴染の新(あらた)の事が気になっているが、気持ちを伝えられず微妙な関係を続けていた。
ある日、些細な友人の言葉をきっかけに2人はケンカをしてしまう。
澪は何とか仲直りをしようと雨の中を新の元へ向かう途中、交通事故に遭ってしまった。
意識を取り戻した澪が目を開けると、そこには見たこともない不思議な世界が広がっていた。
登場人物
この他、瀬名快伸自身も端役で声当てをしている。
評価
当初は10分前後の短編映画として計画されたものが長編映画として再構成されたこともあってか(※1)、何かのパロディとしか取れないシーンが不自然に羅列され、不気味さを煽るかのような宗教要素、無意味なミュージカル要素や自分探しパートがループするといったように尺稼ぎ感が丸出しであるなど、脚本をはじめとして随所に破綻が見られると指摘された。
演出の一部はかなり前衛的であるが、映像や声優陣がそれを表現しきれていない(「役者が大根な部分と迫真すぎてドン引きな所の落差が大きい」「致命的ではないが徐々に作画崩壊のシーンが増えていく」等)という声もちらほら見られた。
ちなみに、下地となるストーリーや構成をここまで持っていくのに約20回もの推敲(※2)を経ているという。
※1:「周囲から勧められたから」というのが原因な模様。
※2:なぜ1度は完成した作品をムリヤリ水増ししていくやり方に固執したのかは謎とされる。
また、監督・原作・脚本その他を一手に引き受けた瀬名はパンフレット上のインタビューにて「本作は他のどの作品にも影響を受けていない」と発言しているが、作品名からしてアレのもじりな上に、内容も明らかに他作品に通じた要素ばかりが散りばめられているうえに、これらがごった煮状態になった結果としてことごとくゲシュタルト崩壊を起こしていることから好評とは別の意味で話題になった。
誰が言ったか、
『「君の名は。」パロの極北』にして『二番煎じのパッチワーク』。
最大級の皮肉を込めて、
『「君の名は。」以来の青春アニメ映画ブームの終焉』。
『エピゴーネン(=オリジナリティの無い作品)の極致』。
当然ながらSNSや映画レビューサイトでは酷評が相次ぎ、各劇場とも早々に上映を打ち切った。
更に、同時期に公開されたアニメ映画『鬼滅の刃無限列車編』の大ヒットによって一部評価する声すら搔き消えることになった。
興行収入は公表されていない。
公開後、瀬名は本作の散々な評判を受けてかブログを閉鎖した。
2021年には動画サイトでの有料配信が始まったが、ソフト化は見送られたようでDVDやBlu-rayは発売されていない。
エピソードは彼方
破綻しているのは織り込み済み?
瀬名自身も色々とムチャクチャであることは自覚しているらしく(※)、「『なぜこのキャラはこの事実を知っていたのか』『なぜこの時このキャラがここにいたのか』というような情報はすべて、KADOKAWAファンタジア文庫から出る小説版『君は彼方』で補完されています。」と半ば開き直っている。
この小説版は映画版に先んじるかたちで2020年11月20日に発売されたが、「かなりジブリや新海誠っぽい。」という評価に落ち着くことになった。
※あくまで制作秘話の体で「何度も話しを練り直していく内に、枠内に収めるために色々な描写を削らざるを得なかった」という趣旨の発言をしている。えぇ…(困惑)
観葉植物くんは創造主であった!
瀬名快伸は上記にもある「なにか今作に影響を与えた作品は?」という質問に「むしろ影響を受けないようにしている」とした上で「仕事場には机や観葉植物くらいしかない」と発言しており、この部分から一部視聴者により、
「『君は彼方』は瀬名が観葉植物くんと相談して考えた」
というジョークが自然発生した。
瀬名氏の発言が変なものを意識したものであったかは不明である・・・。
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池袋:本作の主な舞台だが、いけふくろう以外にブクロ推し要素はあまり無い。
二ノ国劇場版:同じく制作側の趣向と事情に視聴者が付いていけなかった事例。