作品解説
ドイツが舞台の、人間の子供と吸血鬼の子供の交流を描いた物語。原題は『Der Kleine Vampir』
ホラーやミステリーが大好きな男の子、アントンがひとりで留守番をしていると、窓に人影が。その正体は吸血鬼の子供、「ちびっこ吸血鬼」のリュディガーだった。
それからリュディガーは頻繁にアントンの部屋の窓に現れるようになり、リュディガーの妹のアンナも加えて冒険をしたり、トラブルに巻き込まれたりしながら心を通わせていく。
親友は吸血鬼、ガールフレンドも吸血鬼というアントンの日々を綴った物語である。
吸血鬼が登場する話でありながらいわゆる他の吸血鬼ものの作品とは異なり、人が襲われるシーンなどミステリーやホラーの要素がほとんど無い。
人間と吸血鬼との間における、友情や恋愛が物語の中心となっている。また、吸血鬼を狙う墓守や庭師などが恐ろしい存在として描かれているのも特徴である。
シリーズ全体で時間が進んではいるが、基本的には一巻完結のストーリーである。
世界30ヶ国以上で翻訳され、ドラマ化、映画化もされた。
1979年から2015年まで、全21巻が刊行された。
が、17巻から21巻は日本では翻訳されていない。
2006年から2007年、リニューアル版が『リトルバンパイア』とシリーズ名を改題し発行されたが、13巻で終了。17巻以降は今だ未訳のままである。
登場人物
アントン・ボーンザック
吸血鬼の本を読むのが大好きな、人間の男の子。
リュディガーやアンナと知り合った事で、様々な騒動に巻き込まれる事となる。
リュディガー・フォン・シュロッターシュタイン
アントンの部屋の窓に現れた「ちびっこ吸血鬼」。他のシュロッターシュタイン家の吸血鬼とともに共同墓所に住む。
子供だが既に立派な吸血鬼の牙が生えている。
アントンの本を勝手に持ち出しては自分の物にしたり、自分の失敗をアントンのせいにしたりと傍若無人な態度が多い。
アントンがアンナより自分の事を大事にしてくれないと機嫌を悪くするなど、結構嫉妬深い。
アンナ・イルムガルト・フォン・シュロッターシュタイン
リュディガーの妹で、最初はまだ吸血鬼の牙が生えておらず、ミルクを飲んでいた(チーズなど乳製品も食べられるようである)。ただし、物語の進行とともに牙が成長している。
アントンをとても気に入っているが、しばしば吸血鬼になるよう勧めることにアントンは困っている様子。
読書が趣味のようで、よくアントンと本を交換している。