概要
不安の種の週刊少年チャンピオン移籍版「不安の種+」で、作者が子供の頃に読んだ「いないいないばぁ」の絵本が中心となったエピソードに登場(作中では名前は出てこない)。
その絵本は色々なキャラクターが両手で顔を隠したイラストが見開きになっており、ページを捲ると「ばぁ」と顔を出したイラストになるというシンプルなもの。しかし問題は最後のページである。
人間の子供が「ばぁ」とするのだが、そのページだけ怖いタッチになっており、子どもの顔も白目と黒目のバランスが奇妙にずれている、非常に不気味なものだった。作者はそこだけテープで止め、2度と開かないように封印してしまった。
大人になってその絵本の話を友達にするが、友達は怖くなかったという。悔しいので作者は同じ絵本を本屋で手に取って恐々捲るが、子供の顔は記憶の中のものとは全く異なる普通に可愛い造形だった。出版社が差し替えたのかと疑うが、友達によると昔からこうだったという。何の事も無い、ただ怖い怖いと思い続けて自分の中で恐怖を育ててしまったのである。
このように記憶の中で膨らみ続けた形の無い恐怖、そういったものを描いてここまで来ました。皆様ありがとうございました―――と、話を締めようとした正にその時、
「バァ...」
という声が突然聞こえ、振り替えるとそこには記憶と寸分たがわぬ姿の顔が覗いていた―――というお話。