2007年11月22日に発売された『ファイナルファンタジーXI』の拡張データディスク
FF11の時代の20年前に起きたクリスタル大戦前後の過去の世界を題材としている。
時の壁を越え、史上最大の戦場に降り立った冒険者たちを待つ驚愕の真実とは……!?
歴史に埋もれていた人気ジョブ踊り子・学者も加わり、
過去のヴァナ・ディールを舞台に繰り広げられる、新たなる冒険譚。
(公式サイトより抜粋)
追加ジョブや、語られていた過去のクリスタル大戦を追体験出来ることもあり、前評判は非常に高く、またそれに応えた拡張ディスクである。
一方で、コンテンツ部分に関しては物足りない部分もある他、アルタナの神兵以降は新規の追加ディスクがコンスタントに出なくなってしまった。
アップデートで様々な調整や、追加はされていたが別のゲーム会社による新規ネットゲームの台頭や旧FF14の登場も相まって徐々にユーザー数を減らしていく事となる。
(実際の所、最初のFF11を販売してから7年経っており、開始当初は美麗なグラフィックや新技術で目を惹いていたが、枯れた技術で何とか維持しているのは目に見えて明らかでもあった。もっともこれはどのネットゲームでも言える事ではあるのだが。)
追加ジョブ
踊り子
ナンバリングタイトルでは、FF5から久々の登場。(ナンバリング以外ではFFTで登場している。)様々な効果を持つ「踊り」で自身や仲間をサポートするジョブである。
バフ・デバフの他、HPの回復や味方の移動速度アップ、自身を透明にする…と多数の能力を兼ね備える。
これらの効果は従来であれば、MPを消費する魔道士系ジョブが使用するのが通例であったが、踊り子はTPを使用してこれらの効果を発揮する。
そのため、前衛ジョブのサポートジョブにつけるとその効果を如何なく発揮する事が出来る。それまで回復を行うには回復魔法が使えるジョブをサポートジョブにする必要があったが、元々MPの無い前衛のサポートに魔道士系ジョブを設定しても大して効果は得られず、一部のジョブ以外は実用的では無かったが、サポ踊は前衛の有用なサポートジョブとして迎え入れられた。
踊り子自身も弱くは無く、多数の場面で活躍が見込める優秀ジョブである。
一方で、TPを消費するアビリティを使用するため、TPを削減する技を持つ敵や、アビリティを使えなくなるアムネジア状態にはめっぽう弱いほか、バフを消してしまうディスペルにも弱い。
また、サポート時につけたビジュアルとしてはゴツイ鎧を着たキャラが踊りを繰り広げると言うシュールな光景も展開されるため、イメージ重視の人は結構悩むようである。
なお、アーティファクトのデザインは男性と女性で結構変わる珍しいタイプとなっている。
世界設定的には、鎖死病と言う病がバストゥーク内で流行してしまい、首都は絶望に満ち溢れていた。更には厭世観も流行、「死の舞踏(トーテンタンツ)」と言う不気味な踊りも流行する始末であった。そんな中で、武踏であり情熱的な踊りである「クリークタンツ」を披露する踊り子が登場した所、人々に活気が戻り出し、各地で公演を行った。錬金術師が発見した特効薬もあり死の舞踏は終わりをつげる事となった。
なお、この「トーテンタンツ」に「クリークタンツ」や「鎖死病」と言った設定は関連作品のFF14でも取り入れらており、共通点が非常に多い。
また、トーテンタンツの設定や、チゴーが媒介する「鎖死病」を考察するに現実に起きたペストの大流行が元ネタと思われる。
学者
ナンバリングタイトルでは、FF3からと言う久々過ぎる大抜擢を受けた。
戦術魔導書であるグリモアを使用し、黒魔法モードと白魔法モードを切り替える事が出来る。
魔法適正は低い物の、グリモアを使用する事で一時的に上昇させる事が可能となる。
このため、適宜白魔法と黒魔法を使うモードを考えながら戦闘を行う必要がある。
なお、学者と呼ばれているが実際は「シュルツ流軍学者」を縮めて学者と呼んでいる。
なので、実質は「軍学者」である。
ヴァナ・ディールでも研究職を「学者」と言っているので、少し紛らわしいかもしれない。
なお、シュルツ流とは第二次コンシュタット会戦でバストゥークを勝利に導いた参謀である「グンサー・シュルツ」を祖とした学問である。
開発は最初「賢者」として設計していたが、後に設定を盛っていったときに学者の方が良いだろうと言う事で学者に変更となった経緯がある。
一応ではあるが後に賢者はFF14「暁月のフィナーレ」で実装される事となった。
性能に関しては初期は非常に難があり、ネット上で論争や不満が絶えなかった。
全体的に満足に能力の実装や調整がされているとは言えず、実装前からダメ性能ジョブと言われていた。実際にその通りで、劣化白と劣化黒を切り替える魔道士と言う感じであり、大半のユーザーからの評価は白魔道士不足を押し付ける劣化回復役と言う評価であった。
その後、大幅に調整され、数多くの魔法、アビリティの実装もあり実用性は格段に上昇。
各スペシャリストから見れば劣る部分はあるが、独自性のある戦法で一部のコンテンツでは必須とも言える扱いを受けるまでになった。
この冒険者の学者=軍学者と言う設定は、関連作品のFF14でも取り入れられた他、○○の陣や、○○の計と言った各種の能力や名称も取り入れられる事となった。
追加コンテンツ
基本的にマイルドな調整がされており、ライトユーザーでも楽しめる物が散見される一方で、カンパニエ関係で完結してしまっており、他のコンテンツが無いのは欠点としてあげられる。
かなり大規模なマップ追加などが行われたため、コストが割けなかったのかもしれないが……。(サービス開始間近であった旧FF14開発にコストが割かれていた可能性もある。)
カンパニエ
アトルガンの秘宝で実装された「ビシージ」を発展させた物。
集団戦が主となるが、より小規模でビシージより頻発するコンテンツ。
また、ビシージは防衛戦のみであったが、こちらは侵攻作戦と言うこちらから攻め込む事もある。
カンパニエops
受領券を消費して行う任務で、戦闘以外にも見回りや護衛、アイテムの調達や運搬と言う物をこなすクエスト群。
経験値なども貰える他、かなりマイルドな調整であり生産職や後衛職でも気軽に参加が出来た。
禁断の地アビセア
2010年6月に追加されたバトルコンテンツ。
ヴァナ・ディールと並行した世界であるアビセアを巡る物語であるが、ストーリー的にはごく短い。
主にモンスターやNMと戦闘を行いアイテムや装備品を収集するコンテンツである。
また、アビセア実装と同時に6年以上続いたレベル75キャップは終わりをつげ、80へと引き上げられた。
評価
追加ジョブもあり、ストーリー、エリア共にプレイヤーからは好評であった。
ミッション難易度もそこまで難しい物では無く、気軽に参加出来るようになっている。
各種プレイヤーと協力して行うコンテンツもあった。
イベントや演出面も大幅な強化がされており、大規模な戦争と言う情景を作り出す事に成功している。
設定だけで語られていた英雄や、プレイヤーがそれまで旅をして関わってきた人物の過去を垣間見る事が出来るため、ストーリーや設定に興味のあるプレイヤーにとっては垂涎の拡張ディスクである。
一方で、参戦NPCが強すぎる余りに自身が一般兵の様な扱いに見えてしまい、「アルタナの雑兵」と揶揄する人もいた。
例えば、自身が何とか200~600ダメージを出している一方で、NPCは4000~6000のダメージを叩き出し、プレイヤーを2~3撃で殺す事の出来るモンスターと長い間戦い続けていたり、など。
更にはNPC専用技、専用アクションが多く、モーションが魅力的であった事も不満に拍車をかけていた。
(元々テンゼンのみ刀に鞘がついていたりプリッシュ専用の技があったりと、特別扱いされているNPCは少なくなかったが。)
これはビシージで活躍する五蛇将が人気だったために取り入れた物と思われるが、無双出来ない無双ゲームをやっている感覚があり、爽快感としては難があった。
この辺りは後に反省したのか、関連作品のFF14では基本的にはNPCよりプレイヤーキャラを活躍させる方針になっている。
(強さ的にも、ストーリー的にも。例外はある物の、プレイヤーを主役として物語を回している。)
また、全体的に戦闘スピードが速くなったのも特徴と言える。
それまでも、戦闘スピードは加速傾向にあったのだが、効率を求める余り休憩時間すら取れず、目まぐるしく戦闘ログを視認する必要性があり、ちょっとしたジョーク台詞を入れたマクロやロールプレイの台詞を流してしていると邪険にされる事もあった。
FF11初期の頃は5チェーン(5回の連続戦闘)を1度行うとリソース回復のために5分ほど休憩があった物の、徐々に休憩時間は減り、最終的には2~3時間ほど延々と一定の場所で戦闘を繰り返す事になってしまった。この余裕の無さや作業感も顕著になっていった事もあり、徐々にユーザーは数を減らしていく事に繋がっていった。
余談
- 分割ダウンロードなどで対策はしていた物の、過去最大級のリトライ祭が発生する事となった。
- FF11内で唯一ミスラ♂が出てくる事となった。なお、出てくるのは1名のみでアドゥリンの魔境以降の拡張ディスクも停止してしまい、ミスラ本国に行くことは無くなったため、彼以外のミスラ♂を見る事は無い。
- 似たような地形だが今とは違う部分も多い。特に顕著なのが北グスタベルグで、開始時は南北に隔てられた断崖があり、容易に行き来出来ないが過去に行くと繋ぐような坂があるため移動はスムーズとなった。あるクエストを行うと、現在のグスタベルグでも南北へのワープ通路が開く。
- 間を持たせるためか、アドオンと呼ばれる追加シナリオコンテンツが販売された。1000円未満ではあった物の当時は月額課金に追加で費用を取る事については賛否両論であった。一方でアイテムや装備品を獲得出来るため、わずかなアドバンテージを得たい者は積極的に購入した模様。アビセアは3部作として3つの追加コンテンツとして配信されている。
- ヤングガンガン創刊時に看板漫画としてスタートを切りながらも3回で連載を終えた「FINAL FANTASY XI〜THE OUT OF ORDERS〜」と同じ舞台であったことから、同作品に出たキャラクターや焦点が当てられていた「メリュジーヌ隊」の登場を期待していたプレイヤーもいたが、設定は白紙に戻されたようでメリュジーヌ隊は存在していなかった。
関連イラスト
関連タグ
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