概要
プロマシアの呪縛とは、ファイナルファンタジー11のジラートの幻影から続く拡張ディスクである。
2004年9月16日にリリースされた。
ちなみに、プロマシアとは、ヴァナ・ディールの伝承に出てくる神の名。
『男神プロマシア』とも呼ばれ、ヴァナ・ディールで広く信仰されている「女神アルタナ」と対を成す神である。
追加要素
追加要素としては追加ミッションでのストーリーを始め、数多くのバトルフィールドや、追加エリアが実装された。
特にストーリーのボリュームは多く、ジラートの幻影をはるかに上回るのが特徴。
配信前は低レベル用のエリアがある事も発表されていた。
評価
反面、ディスクその物の評価は芳しいとは言えず、様々な反省点を浮き上がらせた。
追加ジョブ
まず、追加ジョブが無く先に進むためのモチベーションにならなかった事。
(前回のジラートの幻影では、忍者、侍、竜騎士、召喚士と4ジョブが追加されている)
多少難易度が高くても、モチベーションが上がる要素があればやりたいのが人の常だが、多数のジョブで様々なプレイスタイルを演じる事が出来るのを期待されるFFで、追加ジョブが無いのは致命的であった。
この反響を受けたのか、以降の追加ディスクでは必ずジョブが追加されている他、関連作品のFF14でもジョブの追加は恒例となっている。
追加エリア
追加されたエリアのギミックや、敵との戦闘が全体的に高難易度であった事も挙げられる。
更に追加されたエリアの大半は後述の「プロマシアミッション」を進めなければならなかった。
前回のジラートの幻影でも新エリアに行くには条件があったりはしたのだが、強制的にジラートミッションを受けないと行けないエリアは極少数であった。
そのため、ミッションクリアをしない場合、有用なエリアは「ビビキー湾」位しかめぼしいエリアは無かったため、「ビビキー湾パッチ」や、「タイトル音楽変更拡張ディスク」と揶揄するプレイヤーも多かった。
新規に追加されたエリアの大半やBFと呼ばれる「ボス戦」では「レベル制限」がかかる場所も多く、その上で理不尽な程に高難易度だったために不評を買った。
特にFF11では死亡時に経験値減少からのレベルダウンがあった他、レベルを上げるのに苦労する一面があり、高難度を忌避するライトユーザーは及び腰になってしまった。
また、一々レベル相応の装備品を揃えたり、ジョブによっては使える筈の物が使えなくなる等準備が面倒だったことも不評に対する拍車をかけた。
これは仕様上、行く先のレベル制限に合った装備品をしないと、装備品を外されて放り出されることになるため。更には装備品を複数ジョブ、複数のレベル帯の物を多数保管出来る方法が当時は無かったため、倉庫キャラクターを使ってやり取りする事もあったがやり取りに長い時間がかかり、準備を行うのに1時間かかるケースもあった。そのためにミッションのお手伝いを頼むなら数日前に予定をしておくのが好ましいとされた。
これらのレベル制限に対する装備品の問題は「レベルシンク」と言うエリアやパーティーメンバーとレベルと装備品を調整するシステムが出るまでプレイヤーを悩ませた。
(なお、レベルシンクが登場したのは発売から4年後である)
レベル制限エリアは初心者でも行ける様にレベル30~と喧伝されていたが、
非常に高い難易度のため、装備品はおろか、ジョブ構成まで制限しないと踏破は難しかった。
特にプロミヴォンと呼ばれるエリアがそれにあたり、実装初期はレベル30エリアの踏破に3時間以上。
レベル50制限エリアを踏破するのに5時間以上かかる事もあった。
特に初期は自分のレベルよりちょっと下程度である「丁度」の敵2匹に絡まれてもパーティーが壊滅する事も珍しく無かった。
面倒なギミックや敵、そして最後に待ち受けるボスは悪辣であり、パーティーやLSがギスギスする要因ともなり、多数のLSの解散やプレイヤー同士の仲違いが起きたほど。
このため「絆ブレイカー」と揶揄される事もある。
これはFF11のテーマが『絆』と言った事にかけた物である。
ここをクリアしなければ追加ストーリーを見る事や、追加されたエリア等に行くことは出来なかった。
クリア率は長い間、追加ディスクトップの低さであり、実装から4年後でも最後までクリアしたプレイヤーは3割に満たなかった程。
(一応、初期に難しいと言われた部分も、弱体アイテムでクリアを簡単にする物は用意されていたのだが、初期は弱体アイテムの重要度がユーザーに認知されなかった事に加え、調達方法が非常に面倒、かつ所持制限がかかっており、プレイヤー自身が面倒な作業を行わなければならなかった事もある。後に所持制限は解除され、競売でのやり取りも出来る様になっている)
プロマシアミッションはクリア率を上げるために、テコ入れは何度かされた物の、レベル制限が解除されたのは実装から6年以上経ってからである。
(それまでの調整はボスの弱体アイテム入手方法の緩和を入れたり、装備品を預かってくれるNPCを追加したり、高性能報酬をラストに用意したりはしたが高難度である事は変わらず、積極策とは言い難かった。)
流石に多数の調整がされた2023年現在ではプレイヤーのソロで楽々突破できる程度にはなっている。
ただ、完全ソロ攻略が可能になったのは発売から10年経った2014年からである。
その他、エリア自体にも意地の悪いギミックが存在し、集団で目的地に行く際、崖を下る必要がある場所があり、着地に失敗するとスタート地点に戻され、再度崖下りをするには再び山を登り、敵に見つかったら死を覚悟しなければならない「ウルガラン山脈」。多層構造となっておりワープを駆使して進まなければならないのにワープに失敗すると一人取り残されてしまう「プロミヴォンエリア各種」。地図を見ても描かれていない行き止まりが多数ある「アットワ地溝」…と多数存在する。
ついでに言うと、初期から存在が明かされていた「タブナジア侯国」方面に行くという情報もあり、三国以外の都市に行ける事を期待していたユーザーも多かったが、実際にはタブナジア侯国の生き残りが住む「タブナジア地下壕」であり、ムービーで映る様な場所には行けなかったのも期待外れだったという感想もあった。
(とは言え、ゲーム開始時にタブナジア侯国は獣人軍によって滅ぼされているので、仮に行けたとしても廃墟では無かろうか。)
追加ストーリー
ストーリーに関してはやや賛否が分かれ、奥深いストーリーであるという意見も多数ある一方、シナリオが複雑でありわかり辛いという意見もある。
またプレイヤー側の描写に関しては割と放置であり、NPC側の強さや活躍の描写も相まって、添え物感が強い事に不快感を示す意見もある。
(ただ、これはFF11全体のストーリーにおける問題点とも言える。プレイヤー主体の話が無い訳でも無いが、盛り上がりに欠ける物が多く、NPCを活躍させる物が多かった。以降の追加パックでもPCのはるか上のダメージを出すNPCや活躍するNPCは登場する)
そして、そのストーリーに高難度ミッションやクエストが絡んでくるので、良いシナリオであっても見れる人が限られていた。
しかも実装当時は区切りの良いとこまでガッツリ出来る物ではなく、ミッションを小出しにしていたために次のミッションが追加された時にはプレイヤーが前の話を忘れていたと言う事も往々にして起きていた。
このぶつ切り状態が長きに渡ったため、初期は特に評価され辛かったとも言える。
(2004年9月に発売されたが、完結したのは2006年2月)
更にクエスト数も多かった物の、俗にいう「お使い」と言われるクエスト群も多かった。
今現在は長いとはいえ、連続してプレイ出来るためか、プレイヤーの扱いに目を瞑ればシナリオ的には高評価である。
追加エネミー
プロマシアエリアは既存のエネミーに厭らしいTP技が追加されている事があり、本来レベル上げに適すると言える敵でも避けられる傾向にあった。
このため、追加されたエリアは多数あっても、敵の強さを考慮して選定するレベル上げの狩場が極端に増えてはおらず、高難度のミッションをクリアしないと行けないエリアが多数と言う事もあり新エリアでのレベル上げは難しかった。
一方で、新エリアを利用出来るプレイヤーにとっては空いている狩場があったとも言える。
また、超高難度の敵として「アブソリュートヴァーチュー(Absolute Virtue)」も話題と問題を呼んだ。
超高難度だけあって、非常に強く最高レベルのプレイヤーを集めてもメテオ一発で瞬殺される事も珍しく無かった。
(この時、ダメージログが出る前に「死亡」ログが出るのも話題になった)
問題は、この敵を倒す方法が長い間判明しなかった事と、プレイヤーが考え出した攻略法は次々に運営によって潰されてしまった事にある。
最初は地形ハメ→「規約違反!」→モンスターに「引き寄せ」追加で対処
(元々地形ハメの利用はやめる様に運営から度々警告されているので、規約違反である事は間違いが無い)
次は、暗黒騎士18人にレア装備させて倒す→30秒で倒される→暗黒騎士のアビリティ効かない様にするね!
その次は、学者のアビリティで超スリップダメージで倒す!→スリップダメージ耐性つけるね!
…と次々と対策をされてしまったのである。
流石に、まともに戦って勝てる相手では無く暫く討伐はストップしていたのだが、運営側が攻略ヒントムービーを出した物の、攻略法を知っている運営ですら18時間かかった事と、一部で物議を醸していた盾役ジョブが問題となった。
その後、長時間のレアモンスター保持が問題となったため、戦闘開始から2時間でモンスター自体が消滅する様になってしまった。
結果、18時間戦闘しないと倒せない相手を2時間以内に倒せと言う無茶な状況になってしまったのだ。
尚、この2時間以内にアブソリュートヴァーチューを倒せるかどうかは、運営ですら試していない。
しかし、この状況はレベル75キャップで終わりをつげた。
レベル99キャップになった時には飽和した火力と絶対防御を使用してある程度の構成で倒せる様になっていた。
更に今現在ではアイテムレベル付きの装備品が多数揃っており、十分な火力があれば1分経たずに相手を倒す事が出来る程になっている。
(…が、プロマシアが現行だった時は誰も倒せない仕様なのは変わっていないため、問題と言えば問題である。)
その他
また、その評価の低さには開発陣の発言や調整が後押しした部分もあり
緩和されるまでに長い時間を擁したり、全てにおいて完全に攻略法を予習しなければならない高難易度コンテンツの塊だったのも大きい。
無論、ある程度の障害があるからこそクリアした時の達成感は大きいのだが、余りの高難度・長時間の束縛の強要についていけない人も多く、ただのフラストレーションとなってしまった。
これらの騒動で反省をしたのか、次回作「アトルガンの秘宝」ではユーザーフレンドリーな仕様に舵を切り、新規ジョブの追加を含めた他、システム等の調整を多数加えた結果、概ね良作という評価を得ている。
(…が、「アレキサンドライト終身刑」をやってしまったりする辺りは何というか)
一方で、プリッシュやウルミア、テンゼンと言った人気NPCも登場しており、特にプリッシュはFF関連のゲーム(DDFF)や外部のゲーム(グラブル)へコラボ出演する事も多い程の人気キャラクターである。
また、テンゼンもFF14に登場し人気を得ている。
余談
- ミッション名は「いろは歌」になっており、頭文字を組み合わせると「色は匂へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ 有為の奥山今日越えて 浅き夢見じ酔ひもせず」と読める様になっている。最初のミッションは「命の洗礼」であり、最後のミッションは「すべての終わりが閉ざされん」である。
- 尚、最初のミッションである「命の洗礼」は「デルクフの塔」に入ると自動的にムービーが開始される。当時、デルクフの塔の下はレベル20前後ジョブにおけるレベル上げの狩場となっており、強い敵が絡む等、緊急時には塔の内部に入り、全滅を回避する手段は当然の事となっていた。このため、レベル上げ最中に突如ムービーが流れ驚いた人も多かった。
- 新規エリアで入手出来る「ソボロ助広」と言う刀で、取り逃げ事件が起きた事がある。これは、確実に手に入る装備品を全員分集める目的でパーティーを組んだのに、取った人が急用を思い出してパーティーを抜ける→違うエリアで行われる対人戦に参加していた…と言う物で、当時は話題になった。この取り逃げ事件は開発側も承知している様で、20周年記念放送で触れられた他、関連作品であるFF14のサブクエストにてソボロ助広を取り逃げする奴が登場する始末である。
- そして、良く取沙汰されるディレクターの河本信昭氏の発言である、「目標を何でも簡単に手に入れてしまうと、逆にユーザーのモチベーションが下がってしまうと思うんですよ」「簡単にクリアされたら悔しいじゃないですか(笑)」はプロマシアの呪縛の頃に言われたとされている。これらの発言はユーザーに火をつけ、大規模掲示板等では開発陣に対する罵詈雑言が飛び交う原因となった。当時は運営に要望を出しても調整はユーザーの望む方面の物では無かったり、意味不明な調整、追加、ナーフがあった他、公式フォーラムと言った物が無く、ユーザー同士は大規模掲示板で意見を書き込む位しか出来なかったためである。(ただし、河本氏以外にも、傲慢とも取れる発言や空気の読めない発言は当時スクウェア・エニックスの開発陣からは度々出ていた他、「簡悔」の発言が河本氏が行ったというソースは無く真偽不明であり、当時ネット上で出ていたデマの可能性は拭えないのは注意されたし。主に当時の大規模掲示板では、ソースの真偽を確かめずに信じてしまう人も多かった。ただし、前者の内容はファミ通のインタビュー記事で語っている。)
- 一方で成功した場合は賞賛を浴びるのがプロデューサー・ディレクターでもある以上、ゲームのディレクションに失敗し、ユーザーから不評を買った以上非難されるのも、またプロデューサー・ディレクターであるのも事実である。河本氏は舌禍が多く、現在はFF14に活躍の場を移したが、ある場面で吉田直樹プロデューサーに「言葉に注意しなさい」と言われる程に発言が下手な人物でもある他、プロマシアの呪縛や以降のディスクでの失敗に対するユーザーへの謝罪などが無かったため、彼に対する不評は正当であると言う人もいる。
表記ゆれ
関連タグ
【主なNPC】
【FF11表記ゆれタグ】
ファイナルファンタジー11 ファイナルファンタジーXI FF11 FFXI
【拡張ディスク】