概要
2003年4月17日に発売された『ファイナルファンタジーXI』の拡張データディスク
初の拡張だったために、様々な不手際もあった物の、これらを教訓として後々に至るまでの体制を作る事が出来た。
また、初の海外版ディスクが発売された。それまではコアなマニア層が日本版を個人で輸入してプレイしている例はあった物の、海外勢が本格的に流入したのもこの頃から
全体的には、それぞれの種族に存在する「心の闇」や、古代文明の遺跡の探索等が主なテーマである。
ストーリー的なボリュームは余りなく、全17のミッションが新設された他、一部を除けば比較的難易度は低めとなっている。
追加エリアも、一部を除けば比較的早期に行くことが出来るため、強制的にミッションを進める必要は無い。
このため、後発のプロマシアの呪縛とは対照的であり、良く比較される事が多い。
追加ジョブ
二刀流を使用出来るジョブで、忍者をサポートジョブにすれば片手武器を両手で扱う事が出来る。
触媒を利用する事で忍術を使用出来たが、当初は弱いジョブと言われていた物の、「空蝉の術」で回避盾が出来ると判明してからは一気に人気筆頭ジョブに躍り出た。
実はレベルが上がる毎に攻撃速度も上がるため、DPSも高くなっていく他、ほぼ確定で回避出来るために攻撃力偏重装備をしても問題が無いと言う利点がある。更にインビジやスニークの効果がある遁術もあり、結構色々出来る。
ただし、この回避盾は開発にとっては想定外の産物で、多少ナーフはされた物のアタッカーの攻撃力を持ったタンクと言う地位を得ている。
このため、一時期ナイト盾の人気は無かったが、忍盾は攻撃回数が多い敵は不得手で狩場によってはナイトの方が良い面もあった。
反面アビリティは殆ど無く、初期は2時間アビリティの微塵がくれと言う名の自爆位しか無かった。(使うと現在HPに比例したダメージを与えた上で戦闘不能になるが、経験値ロストは無い)
一方で敵の忍者が使う微塵がくれは脅威であり、HPが減らない上に大ダメージ後に瞬間移動すると言う別物である。
本来の微塵がくれは、敵が爆発に気を取られている隙に自身が隠れたり、自決したと見せかけて生き残る術なので、そもそも自爆して死亡するのは色々と間違っている。
後年、青魔道士が登場しラーニング魔法の「自爆」が実装されたが、こちらはHP1で生き残る魔法となっている。
エルヴァーン♂の忍術モーションががに股で詠唱するためネタとして語られる事も。
刀を使用出来るジョブで、TPを複数回に分けて使う事で一人で3連携を行う事が出来るジョブ。
心眼と言う回避アビリティもあり、元々はサブタンクが出来るアタッカーと言う設計だった様だが、忍者が盾役を担う様になったほか、そもそも1回きりの回避では余り役に立たないため、完全なアタッカーとして起用される事が多くなった。
サポートジョブでは戦士の他シーフも重用され、不意打ちやだまし討ちで安全に戦う事が出来た。
後に「正々堂々」と言うアビリティが実装された時は「正々堂々」と「だまし討ち」を併用する、良く考えたら意味が解らない光景を見る事も多かった。
初期は刀のレシピが存在し無いために製作が出来ず、刀の流通はNPCの「天晶堂」関連のショップから入手するしか無かったが、1日の販売数が決まっていると言う「ギルド方式」であり、多数の侍が適正な刀を手に入れるために苦しんだ。特にレベル20前後で使用する大包平が顕著で、3000ギル少々の刀を転売する者もあらわれ、10万ギル以上の値段がつく事もあった。
槍を使用するジョブで、子竜と共に戦うペットジョブとなっている。
シリーズ恒例のジャンプも使用出来るが、スーパージャンプでヘイトリセットが起きたりするため、使用にはパーティーの理解が必要。
サポートジョブによって子竜のサポート方法が変わったりする。
また、選択式ではあるが名前を付ける事が出来た。中でも「Mikan」と言う名前が人気だったようだ。
しかし、子竜を呼び出すのは2時間に1回のSPアビリティで、一度子竜が攻撃に巻き込まれて戦闘不能になると再度呼び出すのに最長2時間かかってしまう等、問題も多かった。
後にSPアビリティが変更されるまで、この問題は続いた。(大体2年位)
また、ジョブの象徴とされるアーティファクトの防御力が前衛ジョブなのに、後衛の黒魔道士以下と言うのも問題視された。
設定では軽さを追求したためとされているが、あまりの防御力の低さに「鎧がプラモデル」と言われた事も。
後年実装されたアーティファクト2では、普通の防御力に設定されている。
実は忍者や侍に負けない位に海外では人気のあるジョブだったりする。
獣使いに続くペットジョブで、召喚獣を使用して戦う。従来の様なデカい一撃を出して終わりの使い方では無く、戦闘中は常に出して置いて様々なサポートをさせる。
反面、出現させている間は維持にも常にMPを消費するため、適切なMP調整や管理が求められる。
実はジラートの幻影の追加ディスクを導入しなくても獲得出来るジョブ。
しかし、その状態で扱えるのは基本のカーバンクルとあまり役に立たない「精霊召喚」のみで、イフリートやシヴァを使用するには当時最高レベルのコンテンツをクリアする必要があった。
(当時のレベル上げは非常に面倒で、高レベルでは1レベル上げるのに数時間のプレイを3日程行う必要があった。このためジラートの幻影初期はレベルカンスト勢は、そこまで多い訳でも無かった)
このため、ジラートの幻影を導入していても高レベルジョブが無い故に、シヴァやイフリートが呼べない召喚士も多かった。
これは後年、レベル20程に引き下げられた該当コンテンツ(ただしソロで踏破する必要がある)が実装され、一応の解決を見た。
ただ、以降も追加召喚獣の追加が遅い&高難度コンテンツで気軽に取得出来ないと言う問題は付きまとった。
余談だが、エルヴァーン♂の召喚魔法モーションは「超ウルトラスーパーガチョーン」と呼ばれ、数多くの冒険者の腹筋を崩壊させた。
問題点
初の本格拡張ディスクだったために、全体的に想定が足りておらず、準備不足だったと言える点が多い。
・フラゲ勢が優先的に拡張要素を楽しめた
本来のサービス開始時より前に拡張ディスクを手に入れた者が、優先的に新要素を開放できた。
2023年の今では考えられない事だが、サービスを享受出来るのが全員同日の日時では無く、ディスクを手に入れた者が先に楽しめてしまう事態が発生した。
特に激しいアイテムの取り合いも無く新エリアに到達する者や新ジョブをゲットした者が出たため、非難が相次いだ。
プロマシアの呪縛の次のディスクである『アトルガンの秘宝』からは、インストールは出来てもサービス開始は全プレイヤー同時刻に開放される様に変更された。
(今現在のネットゲームのスタンダード)
・激しいログイン戦争
ログインサーバーが貧弱だったため、ゲームにログインするだけでも数時間を要した。
仮にログイン出来ても、通信が不安定で落ちた場合、再度数時間待ちと言う事も。
これは様々なオンラインゲームにおいて現在におけるまで中々解決していないが、今現在はノウハウや技術の進歩もあったせいか、当時のFF11の頃に比べれば、かなりマシになっている。
(もっとも、大抵のオンラインゲームのサービス開始時なんてそんな物と言う意識がユーザー側にも周知されたせいもあるだろうが)
なお、次のディスクであるプロマシアの呪縛では、この時の反省を生かしログインサーバー用の回線を用意したりと対策は行われた物の、ログイン戦争の解決には程遠い結果となった。
・アイテム取り合いの強要
新エリアに行くために、各地にいるモンスターから特定のドロップアイテムを集めねばならず、POPする敵の取り合いが多発した。
特に新ジョブの忍者と侍をゲットするためには新エリアに行く必要があった。
また、ジョブクエストもアイテムの取り合いがあり、召喚士になるのに必要なアイテムでも激しい取り合いが起きた。
後年で、こういった要素は緩和され、ドロップ率が上がったり、クエスト報酬としての実装がされている。
特に関連作品で後継作であるFF14では取り合いになる要素は極力排除されている。
・追加ジョブがアタッカーオンリー
当時、バランスの良いパーティーを組むのにプレイヤーは苦心していたが、圧倒的にサポート・回復役が足りず、場合によっては、パーティーをまともに組めずに、その日のレベル上げを諦めると言う事も多かった。そもそもジラート以前に実装されているジョブもアタッカーが多めであり、(戦士、モンク、シーフ、暗黒騎士、黒魔道士、狩人、獣使い)そこに更に3ジョブ追加されたが、全部アタッカーであったため、白魔道士不足となってしまった。これは召喚士や黒魔道士、赤魔道士に「白のサポートジョブ」をつけてもらう事で劣化回復役としての起用が行われる事となった。この回復ジョブ不足は結果としてアルタナの神兵まで解決しなかった物の、時代が進むにつれて「とてとて」狩りから「つよ連戦」狩りへと移行したためにサブヒーラーでも問題無い位にはなっている。そもそもFF11は明確なロール(役割)を設定しておらず、ジョブイメージで能力を付与していくため、一概に妨害役と説明されてるシーフがアタッカーだったり、アタッカーの忍者が盾役になったりするケースも多い。後継作品のFF14ではパーティ内でのロールが設定され、その役割が行えるような調整が入っている。
・プレイヤーが長時間待機する必要のあるクエスト
これは主に侍と竜騎士のクエストで起きた。
竜騎士は獲得するのに特定のコンテンツをクリアせねばならないが、1度に入れるのが1PTのみで戦闘に数分かかる&6人ずつしか入れないため、長蛇の列が形成された。
また、中には順番飛ばしをしてしまい非難される者もいた。
(特にゲームの中で列に並ぶと言う習慣の無い海外勢)
次に侍で、こちらはあるアイテムを手に入れるために特定の敵を倒さないとならないが、1度に落とすアイテムは一つのみで、更にその敵を出す地点の復活には15分の待ち時間が必要だった。そのせいで5時間超の行列になる事も珍しく無かった。
更に、そのモンスターをPOPさせるアイテムをNPCから貰う必要があるが、戦闘時間を短縮するためにパーティーを組んで行う事も多く、POPさせた人物とは違う人が誤って獲得してしまい、トラブルになってしまう事もあった。(取得したアイテムは受け渡し不可。)
これらも、長時間必要としない様な方向に舵を切り、ピーク以降は、この様な問題は起きていない。
・海外勢を日本サーバーに合流させた事の混乱
海外版が発売された物の、通常であれば販売地域や販売国毎にサーバーを新設するのが普通であるが、FF11は「壮大な実験」と称して、日本人がプレイしているサーバーに大量の海外プレイヤーをぶち込んだことで多大な混乱を生んだ。
勿論、仲良くやった例が無い訳では無いが、文化的な摩擦やコミュニケーションの受け取り方の違いと言うトラブルが相次いだ。
また、モラルの無い海外勢が持ち込んだチートを含む外部ツールやRMTと言った諸問題も相次いだ。
(RMTはそれまでも無い訳では無かったが、海外勢流入と同時に多数の業者が入り込んだ)
これにより、未曽有のインフレーションが起き、運営はその対策に追われる事となった。
外部ツールはそもそも禁止されていたのだが、MOD文化が根深い海外勢の使用ハードルは低く、UI補助等が主に使われていたが、サーバーのパケットから情報を拾い利用するようなチート紛いのツールまで多種多様であった。また、開発側であるGMの統括から「ツールはアドバンテージ」と言うような発言も飛び出し波紋を呼んだ。
この問題は今現在でも続いており、後継のFF14でも論争が絶えない。
上記の様な問題が主に出ていた物の、後発のプロマシアの呪縛が余りに不評だったために、ジラートの頃は良い思い出として語る人も多い模様。
余談
- ミスラが自治領としていた「カザム」にはオスのミスラがいるのではと胸を躍らせた人もいる。しかし、そこはミスラの本国では無いのでオスはおらず、いたのは「オポオポ」と言うキツネザルの様な動物であり、これが「ミスラのオス…!?」と勘違いする人もいたとかいないとか。ミスラのオスが出るのはアルタナの神兵まで待つことになる。(なお出てくるオスはFF11全編通しても1名のみで、浦見魔太郎みたいな奴である)
- FF名物モンスターのトンベリがFF11に登場した追加ディスクでもある。特殊技である「みんなの怨み」は倒したトンベリの数によって変動する。倒した数が少なければ食らっても生き残れるが倒した数が多ければ最大1万を超えるダメージを食らう事になる。実装当時HP最大になるガルカナイトでHPを盛っても2000程であるため、耐えられるプレイヤーはいない。尚、ノートリアスモンスター(NM)のトンベリは威力が10倍の「みんなの怨念」を使用してくる。こちらは最大値99999で、当然耐えられる者は存在しない。
- 流砂洞と言う、ガルカ達の都市の廃墟があり、ガルカ1人分の重さで扉が開くと言うギミックがあった。これはガルカを3とするなら、ミスラ、ヒューム、エルヴァーンは2、タルタルは1として扱い、3以上の重さであれば開く物であった。ガルカならソロで進めるし、ミスラなら最低でも2名、タルタルなら最大3名必要であったが、後年にあるクエストをクリアすれば種族関係なく進めるようになる。
- 砂漠エリアが実装され、サボテンダーも実装された(…が愛らしい姿では無く、ちょっとリアルで不気味)その中で砂漠を爆走する「Cactrot Rapido」と言うNMが笑いと話題を呼んだ。このNMは砂漠を縦横無尽に走り回り、速度はとんずらしたシーフでも追いつけない程で、遠隔攻撃や挑発等を行ってもプレイヤーを無視して走り去る変わり者である。戦う方法は進路上でサボテンダー族と戦い、リンクさせるしかない。モーションも風変わりで、旋風脚や浴びせ蹴りを使用してくる。
- NPCでは人気キャラである「ギルガメッシュ」が登場する。しかしシリーズ中に出てくる歌舞伎役者の様な姿では無く、海賊の親分としての登場で隻眼のナイスミドルである。他のシリーズではFF5準拠のグラフィックで登場する中で、ほぼ唯一の違う姿での登場となった。
- シナリオ自体が少ないと言う意見は当時からあったのか、ストーリーに重点を置かれた続編である「プロマシアの呪縛」が開発された。しかし、ストーリーのボリュームはあった物の、追加ジョブが無い他、数々の不満点が取りざたされる事となった。
- ジラートミッションの他、三国ミッションも追加されたが、ウィンダスミッション以外は概ね不評。特にバストゥークミッションは一応の解決はする物の、途中でさしたる理由も無いのに難敵と戦わされる上に(当時の最高レベルが18人集まっても戦略をたてないと全滅するレベル)プレイヤーからの興味の薄いガルカへの差別問題に焦点を当てており、冒険と言うよりは政治問題に関わらされたためともされる。反面ウィンダスミッションは高評価であり、ウィンダスミッションを手掛けたライターはプロマシアの呪縛のメインミッションを手掛ける事になる。
- 廃人コンテンツであるレリックが登場したシリーズでもある。デュナミスと言うコンテンツを継続してクリアする必要があり、拘束時間も長い上に、少ないドロップアイテムを全員で分け合って集める必要があった。特に武器に関しては作成費用に換算すれば(当時で)最低でも5億ギル以上はかかる。運営側も最速で半年ほどと見積もっていたが、廃人でも1つ作成するのに1年~数年はかかっているケースもあった。また、防具であるレリック2もドロップ率が極端に低く、希望の部位のドロップ待ちに数年かかったり、希望部位のロット優先が自分になった途端にデュナミスLSが爆散したりする事もあった。今現在はサラリーマンでも毎日コツコツやってれば半年くらいで作れる位にはなっている。
- 上記海外勢の流入で起きたRMTによる経済インフレーションは凄まじく、1週間経ったら10万ギルの物が100万ギルになっていた事すらある。(カスアイテムでも高く売れるので序盤は多少楽になった面もあった物の)これらの影では業者が多数BOTを使用してアイテムを収集しまくる等、まともなプレイヤーに大きな影響が出た。(FF11は素材が取れる数が意図的に絞られており、魚釣りですら一定地域で釣り続けてると魚が釣れなくなる)流石にこの状況は看過出来ないとし、最初は少しずつ垢バンをしていた様だが、効果は余り見込めなかったようで「スペシャルタスクチーム(STT)」を結成。RMTやチートに対する特別部隊を作り上げた。後に海外と呼称を合わせるために「スペシャルタスクフォース(STF)」と改名されるが、日を追う毎に成果を上げていき、定期的なアカウント削除報告や取り締まった違法なギルの報告もあり、暫くした頃にはハイパーインフレが収まった事から、かなり効果があった模様。なおこのチームはFF14でも活動しており、日々違法なキャラクターを取り締まっている。尚、この垢バン方式は「芋づる式」で、売り手だけではなく、買い手もキッチリ垢バンされると運営は明言している。
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