イアン・クルツ
いあんくるつ
CV:諏訪部順一
セナンクル島の特別軍事顧問で、米帝軍の大佐。恐怖による「世界平和」の実現を目的に巨大兵器ブエルの奪取を目論み、その過程で大規模な通信障害や火災などを発生させてセナンクル・アイランドを大混乱に陥れた張本人である。
時間に厳しく、無駄な時間を嫌う。ブエルを手中に収めるためには手段を選ばず、その過程で発生する通信障害や火災によって島の住民が危機に晒されても意に介さないなど、冷酷非情な性格。
自身を「ポセイドンに必要とされている天才」「私ほど世界平和を願うものは存在しない」と豪語するほど自信過剰だが、ウザル・デリラには「道化が似合う子」「君程度の天才が相手で助かった」などと言われ、「崑崙八仙拓美より格下」という評価を下されており、ポセイドンの上層部にも「所詮やつは小物」「サハル・セヘラ(=ウザル)の遺産(ブエル)の真の価値が理解できていない」などと酷評された。
かつては帝国軍士官学校を首席で卒業し、第3次南北戦役での功績によって史上最年少で帝国銀星勲章(シルバースター)を授与されるなど、非常に優秀なエリート軍人であった。しかし、帝国軍情報部情報本部へ配属された直後、本部局長の不正を告発したために命を狙われるようになる。これによって米帝本国と軍に失望していたところ、接触してきた謎の組織・ポセイドンの方針に共感し、その一員となる。
以後は「強者のもたらす秩序だけが世界平和を可能にする」という考えを持つようになり、「圧倒的な武力で紛争をもコントロールし、恐怖という秩序による世界平和を実現する」という野望を持つようになった。
本編序盤、ブエルを強奪するためにウザルの部下達の裏切りを手引きしたが、認証キーが偽物だったためブエルが暴走してしまい失敗。その後、ブエルの防壁を解除させるため、セナンクル防衛軍や島の裏業者から資材を調達。地下施設(ジオ・フロント)への入口があるヴァルカン港記念公園から被災者たちを追い出すなど、横暴な振る舞いを見せる。なお、自治議会にはあらかじめ圧力をかけておき、自分たちの行動に口出しができないようにしてあった。
様々な工作の末、ついにブエルを起動させ、メイン・コンソールを制御化に置いた……かに見えたが、実はブエルの起動は中枢制御ユニットが接近したことを感知したことで見せた反応にすぎず、今まで必死に解除しようとしていた防壁もブエルが盗撮・収集した女性のわいせつ画像が入ったフォルダの一つだった。画像フォルダの防壁を破ったことで世界中にフトモモ画像が流出してしまい、完璧主義者のクルツは耐えがたい屈辱を味わうこととなる。(ちなみに、防壁を破っただけで画像が世界中に流出したのはウザルの仕込みである)
しかも肝心の中枢制御系には1bitも届いておらず、ブエルを支配下に置くという彼の計画は失敗に終わる。さらにその直前、彼の計画を察知したロバート・アルトマンの策略によって軍籍を剥奪され、島で発生した事件の首謀者として追われる身になってしまう。
自分の計画が失敗したことを受け入れられず、逆上したクルツは自分の汚点をこの世から消し去るべく、フィアーを使って地下施設もろとも部下やロバートたちを皆殺しにしようとするが、ロバートと協力した七転福音やクラリオンの起死回生の作戦によってフィアーは倒され、自身もロバートの一本背負いで取り押さえられ逮捕された。
しかし、地下施設から脱出する途中で暴走したフィアーに攻撃され、両目を潰されて視力を失ったばかりか、福音やロバート達とはぐれてしまう。地下施設を彷徨う中で、死んだと思われていたウザル・デリラと遭遇し、いままでの全てがウザルの演出した「舞台」の筋書き通りであったことを明かされる。最期はウザルによってその場に放置された後、地下施設の崩落に巻き込まれて死亡した。
死後、世界中にフトモモ画像をばら撒くために暗躍したテロリストという汚名を着せられている。まったく不憫である。