概要
本作の主人公。愛称はクリス。
女神アリスティアが今際の際の「英雄王イングリス」を労い、「一人の武人として自由に生きたい」という彼の願いを受けて、はるか未来の世界に騎士の娘として転生させた姿。
銀髪と勝気な吊り目が特徴的な、実年齢(最新話時点で16歳)より大人びて見えるスタイル抜群の美少女に育つ。
転生当初は女性になったことに戸惑いはしたが、「女性にうつつを抜かさず武を極めることができる」とポジティブに捉えて受け入れ、今生ではなるべく年相応の女性として振舞うよう心掛けている。
女性らしく可愛く着飾るのは大好きで、自分の容姿にも自信を持つが、前世の記憶から精神面は高齢男性そのものであるため、現世で自身と同年代の若者に対しては孫を見るような感覚であり、性別問わず他人を恋愛対象として見ることができない。特に男性から性的な視線を浴びせられることを苦手としており、従兄のラファエル・ビルフォードと自分をくっつけようとする親族の言動には辟易している。
前世での技術に加えて転生後も改めて鍛えなおしたことにより、幼少期より人並外れた戦闘能力を発揮するが、前世で王の責務にかまけて武に邁進出来なかった未練から大義や名声を求めず、ただ自分とラフィニアのためにその剣を振るうことを誓う。
自身のまとう霊素(エーテル)の影響で、適性診断を兼ねた洗礼では「魔印が無い」=「無印者」=「騎士の才なし」と診断されたのだが、残念がる周囲に後ろめたさを感じつつも、無印者故に出世できないことをずっと最前線に立つことができるとポジティブに受け入れ、これ幸いとラフィニアの従騎士になると宣言。
非常に強い力を持ちながらも前世での経験から力と大義を結びつけることを意識的にやめており、強い者と戦うことを何よりの楽しみとして{火急の事態でない限り}何かと強敵との戦いを優先させようとする悪癖を持つ。そのため、特に強い力を持つような一部の人間達からはその性質を面倒がられている。
このスタンスを問題視されることはままある物の、そもそも「王の責務などで武を極められなかった」未練から転生を望み、「そうして築き上げた王国が生まれ変わったら影も形もなくなっている」ことによる諦観もあり、これに関しては譲れない一線。
裏を返せば火急の事態といった場合には、さすがに強敵との闘いを断念する程度の良識はある。
敵対者に関しては敗北してもそれを糧にしてより強くなって再戦を挑んでくる事を望む不殺主義を掲げており、ラフィニアに危害を及ぼそうとしない限りこのスタンスを崩した事はない
ラフィニアもそうだが、超が付く大食い。これは母のセレーナや伯母のイリーナ(ラフィニアの母)から受け継がれたもの。ただ、劇中でも彼女とラフィニアにかかる食費が問題になったこともある。
前世の事は一応伏せているのだが、魔石獣やテロ組織「血鉄鎖旅団」相手に自身の能力を隠すことなく度々大暴れしているため、周囲からは敵味方双方ともに「得体のしれない力を操り、非常識レベルの戦闘力を持つ強者」として認識されつつある。
特に騎士アカデミー入学後は国王の危機をも救ったことで近衛騎士団長に任命しようという声もあったが、イングリス本人は自分が騎士の印(ルーン)を持たない無印者であることを理由に断っている(もちろん本音は身分に縛られて戦えなくなるのが嫌だから)。
英雄王イングリス
はるか昔、農村生まれから傭兵として身を立て、大国シルヴェール王国を自身一代で築き上げた英雄王。
女神に愛された神騎士として善政を敷いた彼は、晩年も民に慕われたまま老いによりその生涯を終えた。
なお、転生後にイングリスは過去の文献を調べたものの、なぜか王国の情報は影も形もなく、前世で当たり前に存在していたはずの魔術が(天上人を除いて)失伝している、新たな脅威「魔石獣」が出現していることについて訝しんでいる。
能力
規格外な身体能力の高さはもちろんのこと、この時代の人間の持つ一般的な「魔素(マナ)」とは似て非なる霊素を極めて高い水準で使いこなし、強力な魔素の結晶である魔印武器(アーティファクト)を使わないと滅せない存在として知られる「魔石獣」と呼ばれる魔物を、単身生身で制圧出来るほぼ唯一の存在(これは、現在では霊素を直接使用できる人間が皆無であることも大きい)。
剣の腕も非常に高いのだが、普通の武器はもちろん、魔印武器でも彼女の高すぎる能力や霊素に耐えられないため、基本は素手で戦い、状況に応じて様々な霊素の技を併用する。
余談だが、水上を走ることもできるし、完全なる模倣は不可能だが他者が魔素を用いた技を見ただけでその仕組みを理解してある程度の模倣も可能。
主な技
- 霊素弾(エーテルストライク)
凝縮した霊素を光弾として相手にぶつける技。
前世の職業である神騎士(ディバインナイト)の基本技だったが、現在では廃れている。イングリスは転生したばかりの赤ん坊の時点で使用できた。
魔石獣を一撃で倒すことができる事実上の必殺技。
- 心眼
全神経を集中させ、視覚に頼らず気の流れやわずかな音などで相手の動きを把握する。
前世では王としての責務から訓練不足になり晩年には使用できなくなっていたが、転生後に鍛えなおしたことで五歳の時点ですでに再習得している。
- 霊素殻(エーテルシェル)
霊素を凝縮した波動を身に纏い、身体能力と防御力を大幅に上げる。
特に防御力の向上が凄まじく、常人なら致命傷レベルの攻撃も無傷で防げる。
消耗が激しいのが欠点だが、後に出力を調整することで消耗を抑えることも可能になった。
関連タグ
孫悟空(カカロット):強者との戦いを何より好む点と、常人の何倍もの食料を軽く平らげる健啖家という共通点を持つことから、何かと引き合いに出されやすい人物。
相沢智:同時期にアニメ化された作品の主人公兼ヒロイン。こちらも武闘派女子だが、男勝りな性格どころか男前すぎる女子。しかも球技大会にて、同じ高校の3年生にかなり強いと噂の先輩(しかもその見た目や体格はほぼゴリラ)がいるとの話を聞くや、勝負したいとまでのたまう点も似ているが、あちらはあくまで女子であり幼馴染との関係に悩んでいるという決定的な違いがある。
セイカ・ランプローグ:同時期にアニメ化された作品の一つの主人公で、こちらはかなり昔(恐らく平安時代頃)の日本からの転生者。こちらも少年期代やそれ以降も能ある鷹は爪を隠す・見た目は子供、頭脳は大人・これら故に転生前から引き継がれた知識や技能や観察眼を発揮して活躍している。
ターニャ・デグレチャフ:神の手によって女性へと転生させられた元男性で主人公繋がり。ただし、こちらの場合は自分を女性に転生させた神に対して敵視している為、その点だけはイングリスと異なる