概要
ギブソン社の所有する楽器のブランドである。
主にギブソン・ブランドの廉価版を製造販売しているが、「エンペラー」など買収以前からのモデル、「ウィルシャー」など買収後に発表されたオリジナル・モデルもライナップされている。
沿革
1873年、アナスタシオス・スタトポウロがニューヨークで楽器工房(ハウス・オブ・スタトポウロ)を開業。息子のエパミノンダスも工房を手伝う。
1917年、エパミノンダスがテナー・バンジョーを開発し、特許を取得する。
1928年、父の工房を継いだエパミノンダスは、社名を「エピフォン・バンジョー・コーポレーション」とする。
エピフォン(Epiphone)とは、エパミノンダスの徒名の「Epi」に、ギリシャ語で「音」の意の「phone」を合わせた造語だが、ギリシャ語の「epiphonous(父の夢を息子が叶える)」にも掛けている。
1930年代にはギブソン社をライバルとして鎬を削った。「レコーディング・シリーズ」、「マスター・ビルド・シリーズ」、「オーケストラ・ギター」などを発売。
世界に先駆け、ギター本体搭載のトーン・コントロール、ダブルネック、ボリューム・ペダル、ワウなどを開発。
当時、ネイサン・ダニエル(ダンエレクトロ社の創設者)はエピフォン社の下請けで、スチールギター用のアンプを作っていた。
1941年、レス・ポールがエピフォン社の工場でソリッド・ギター「ザ・ログ」の試作を行う。
太平洋戦争勃発によりギター製造が停止され、戦時物資を生産させられる。
1945年、エパミノンダス・スタトポウロが死去。弟のオーフィが社長となる。セス・ラヴァーが「ミニ・ハムバッカー」を開発。
労働争議、他社による買収などで多くの職人を失い、存続の危機を迎える。
1957年、ギブソン社に買収される。ギブソンはエピフォンからアップライトベースやバンジョーの製造ノウハウを得た。また、「ミニ・ハムバッカー」はギブソンの「ファイヤーバード」などに搭載された。
エピフォン・ブランドの製品は、ギブソン社カラマズー工場で生産された。
1959年、ソリッド・ギターの「コロネット」、「クレストウッド」、「ウィルシャー」、セミアコの「リヴィエラ」、「シェラトン」、「カジノ」を発売。「カジノ」はビートルズが使用したことで人気モデルとなる。
1970年、日本の工場での生産を始める。
1982年、日本の人件費が高くなったため、韓国の工場での生産を始める。日本製は「エピフォン・エリート」ブランドとなる。
1986年、親会社のギブソン社がヘンリー・ジャスコヴィッツ(現CEO)を中心とする投資家グループに買収される。
ギブソン社の青島工場(中国)でも一部モデルの生産が始まる。