概要
オバマケア(英語:Obamacare)は、アメリカ合衆国の連邦法。2014年4月に本格的に施行され、自由医療によって低所得者が医療サービスを受ける事が困難なアメリカの医療改革などを目的としている。医療費が増大するのを抑制して保険の徹底などをもたらした一方で、経済・政治的な混乱が発生した一面があり、その是非は激しい毀誉褒貶の評価がある。2017年1月にオバマが2期8年の任期を満了して大統領を退任した後、2024年5月現在に於いてもこの法律は存続している。
歴史
制度について
1965年7月にジョンソン政権で高齢者・障害者向けのメディケアと貧困層向けのメディケイドが創設され、連邦政府が実施する医療保険制度が導入された。アメリカでは医療保険の対象となる者が限定されており、当て嵌まらない者は民間の医療保険に加入しているが、その多くは雇用主が購入するものである。我が国で当たり前のように存在している国民皆保険制度は、全ての国民が公的保険で医療を受けられる為、そう言う意味でもアメリカの医療保険制度とは異なる。
オバマ政権
2009年1月から大統領を務めているオバマは、2010年3月に大統領選挙での公約を実現する形でオバマケアを成立させた。これは低所得者に対して補助を実施する事で、国民の健康保険加入率を抜本的に向上させる内容であった。しかし住民から保険料を強制的に徴収する上に、加入を義務付けないとメディケアの給付を打ち切る規定に各州が反発し、26州が連邦政府を訴える羽目になった。
トランプ政権
2017年1月にオバマの後任として大統領に就任したトランプは、大統領選挙の公約でオバマケアを廃止するつもりだったが、当時は次期大統領だった2016年11月にオバマ大統領との会談で再考を促された。しかしトランプは同月にオバマケアの廃止論者であるトム・プライスを保健福祉長官に指名し、この起用でオバマケアの廃止と代替案の検討が加速する可能性が指摘された。
余談
2006年4月にマサチューセッツ州が他の州に先駆けて州民皆保険制度を導入し、これは全ての住民に対して保険に加入するように求めるもので、2007年7月に制度が施行された。この制度は無保険者が順調に減少するなど成功と見做され、2010年3月にオバマ政権でオバマケアが導入される重要な伏線となった。ちなみにこの当時の州知事だったミット・ロムニーは、2012年アメリカ合衆国大統領選挙で共和党の大統領候補になり、民主党のオバマ大統領と一戦を交えて敗北した。