概要
ミカン科ミカン属(Citrus)に属し、一説にはカラタチ属(Poncirus)に属するという。種小名のtrifoliataは『3枚の』という意味で、本種の複葉に由来する。
落葉性の小高木。枝には鋭いトゲがあり、春に3cm大の白い花を咲かせ、芳香がある。花のあとには直径4cmほどの大きさの緑色の果実を実らせ、秋には黄色く熟す。
中国の長江上流域が原産。日本への渡来時期は8世紀中頃とされ、『万葉集』に記載されているのが最古の記録である。和名は唐橘(からたちばな)を省略したもので、省略せずにカラタチバナとも呼ぶことがある。中国名は枳穀(きこく)。北原白秋作詞、山田耕筰作曲による日本の童謡『からたちの花』でも知られる。
利用
果実は食用にできるが、強い酸味と苦味があって生食には向かず、果実酒や砂糖漬けにする。
トゲがあることから、外敵の侵入を防ぐ目的で生垣によく使われる。しかし、近年では生け垣としての利用はほぼ見られなくなった。現在は、枝やトゲが湾曲する「飛龍」という品種を観賞用として楽しむことが多い。
また、性質が強健であることと、実つきが早くなるため、ウンシュウミカンなどの柑橘類の苗木の台木に用いる。ただし、ユズやナツミカンの台木よりは寿命が短い。