CV:阿座上洋平
概要
テオティの王位継承者。前線では戦わないアストレアとは二卵性双生児の実弟に当たる。青い髪に緑色の肌と中性的な容姿ながら、額や左目に傷痕の様なものが刻まれ、首もとや両腕にも宝珠の如く独特な紋様が浮かぶ。虹彩の上半分に赤い影のある黄色い瞳をし、眼に紅を差している。ただし、地球人類よりは種族の差で巨人に映るが、テオティの中では低身長でガリガリの痩身である。
本編の数年前にソウギョクを九州の車両基地から勧誘し、地球人の女性シラユキと愛し合い子供まで設けたザガンに対する制裁も意味しているのか、トコナミ(ザガン)の命を盾に彼の一人息子アブトをダークシンカリオンに特性で心を侵食する目的を察して搭乗を拒否するアブトにダークシンカリオンを多用した戦闘を強要する。
だが、ヴァルトムが推奨する破壊神『アラバキ』の復活には当時の状況を鑑みて各地に封印された『クサビ石』破壊に反対しているのだが、アブトに命じてクサビ石を破壊しており、不可解な言動が見られる。
第24話で、それまで一度も来させなかった街中にアブトを連れて訪れ、侵略者に戦闘員しかいないと思い込んでいたアブトを民の前に連れ出す。デアボル襲撃から民を救った際、アブトにテオティが先住民族であり地球人類がいるせいで地球に帰還できないと語り、民を利用して牙を抜き、テオティが憎いのに憎ませなく仕向けたり、同情につけ込むなど心を操る。2つの種族の板挟みにして悩ませて睡眠を奪い、より一層の精神の疲弊を強いて追いつめ、自分の支配に必死に抵抗するアブトを嘲笑し抗うことに疲れ果てて陥落させることに成功し、アブトをダークシンカリオンの力を思い通りに悪用する部品として支配下に置いた。引き離したトコナミに会いたいとアブトが訴えてもはぐらかしていたが、支配に屈したアブトを見て面会を許した。幼い子供の脆弱なメンタルは、赤子の手をひねるより簡単だった。
普段は感情を表に出さない冷徹な性格で、時には子供であるセツラをも粛清しようとする冷酷かつ淡々と物事を指示するが父であるテオティの王が手に掛けられ、犯人のヴァルトムが地球に向かったことを知ったときは「頼む、アブト···。我々に、希望を見せてくれ。未来という希望を···。」といつもの冷徹さを失い、涙ながらに頼んでいた。-と父親を喪い悲嘆に沈む息子を装った。
しかし、老王を殺害したヴァルトムを追わせたアブトが、その過程でトレランティア暴発で心が壊れ、洗脳の効果でテオティだと宣言した姿に歓喜していた。父親を失った悲しみの涙はアブトに新たな負の感情を芽生えさせる演技であり、いつもの冷酷な表情に戻っていた。
そのため、視聴者の間に老王との親子関係に疑問の声がある。
第36話ではアブトの父・トコナミとシンの活躍によりアブトのトレランティアの影響が取り除かれ正気に戻った光景を見て、追いつめて心を壊し道具に転落させたアブトを奪還され、逆上して「ダークシンカリオンになど頼らず直接手を下すべきだった」と自ら人類を排除しようとするも、トコナミにアストレア共々道連れにされる形でユゴスピアから離脱させられた。
最初のシンとアブトの対決で民の心が離れたことに気づかず、2度目の対決でアブトがシンを殺せば民は落ち着くと考えていた。
第40話で禁忌のコードで暴走するも逆恨みで殺そうとしたアブトに救われ、アストレアやバフラムたちに感謝し、大切な物を見失っていたことに気づき、姉であるアストレア共々自分の行いを悔い改めた。
超進化研究所大宮支部に所属するキトラルザスのゲンブとセイリュウを介し、宇宙に新天地を求めて探索していたビャッコとスザクに協力を要請し、同行する民と共に地球以外の居住可能な惑星を求めて旅立つことを決意し、一部のユゴスピアに残留する者、地球移住を希望する者を大宮支部に託した。
しかし、家族を引き裂きアブトの心を壊すなど執拗に踏み躙ってきた碓氷一家に対する謝罪は最後まで無かった。
名前は神を祀り神に仕え、神意を世俗の人々に伝えることを役割とする人を指すかんなぎからか。
余談
第32話でカンナギは地球上のテオティの基地に降り立ち、心が壊れたことで絶対服従の奴隷と化したアブトとダークシンカリオンを呼び寄せる。ニヤマ高原スキー場に降り立ったヴァルトムはキトラルザスの一派ヴァルハランの「光の機械神」ヴァルドルをトレランティアの力を注ぎ込んで暴れさせるが、H5はトコナミの情報を得て沈静化させることに成功。不満げにその場を去るヴァルトムを木陰に潜み忌々しげに見送るカンナギはアブトに追撃を命じるでもなく、アブトもまたいつものように勝手に襲撃することもなく、2人とも何のための地球降下なのか謎である。