概要
「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」の登場人物。
魔術師と敵対する教会の枢機卿であり、キュアノエイデス支部の長。
穏やかな雰囲気の老人だが、己の信じる正義を絶対視しており、魔術師やそれに与する者を例外なく悪と断罪する。
活躍
1巻
直属の部下であるシャスティル・リルクヴィストが部下に犠牲を出した事を気に病んでいる所に現れ、彼女を労った。
その後、犯人である《顔剥ぎ》の情報を提供。さらに、真犯人と目測されたザガン討伐の命を下した。
2巻
〈魔王〉となったザガンを討伐しようとする教会の動きにシャスティルが意を反したため、仕方なく聖騎士長の権限の無期限凍結と、聖剣剥奪の宣告を下す。
ただ、クラヴェル自身はこの決定に納得しておらず、聖剣は自ら所持者を選ぶものである故にシャスティルへの処罰もいずれ撤回できると読み、政治上ではそれまでの間、彼女を護ることを約束した。
教会内部で独自の勢力を拡大しつつある最恐の聖騎士ラーファエル・ヒュランデルがキュアノエイデスに向かっているという情報を掴んだことから警戒するように促し、実際にラーファエルが来訪した際も彼の前に立ちシャスティルを庇おうとするが、「聖騎士長が生きている限り聖剣が新たな所持者を選ぶことはないゆえにシャスティルに返還し後始末だけしていればいい」というラーファエルの恫喝に折れ、彼にシャスティルを斬る口実を与えるだけと悟りつつも、ラーファエルからの自衛のためにシャスティルに聖剣を返還した。
以下ネタバレ
「おぉ……シャスティル、我が騎士よ……どうして、私のために死んでくれぬのか」
その本性は「自分こそが正義」と盲目的に信じ、その意に反する者は教会の人間すら「悪」として切り捨て続けてきた独善者。これまでにも、力を示すことができなかった者や自身の意を反した者などを、聖剣所持者も含めて幾人も暗殺し続けてきた。
シャスティルも「魔王」を擁護した時点で見限っており、「大々的に処刑しようとしていたが、他の枢機卿に反発された」ためやむなく方針を変更。
表向きは教会の決定としてシャスティルの聖剣と権限を自分が預かり、彼女を庇う振りをしつつ機を見て秘密裏に始末することを目論んでいたが、その動きを察知したラーファエルがシャスティルとの間に一触即発の空気をわざと作ることによって、彼女の手元に聖剣が戻るように仕向けられたというのが事の真相。
その後は、シャスティルの私物である紅茶に密かに毒を仕込んでおり、思惑通りそれを飲んだ彼女は危篤状態に陥いることとなった。
しかし彼女は何者かによって聖剣ごと姿を消してしまい、自分の思い通りに行かないことに焦りを感じていた所、片腕を失い傷だらけとなったラーファエルが来訪。
自身の意にそぐわぬ独自勢力を持とうとしている点から、クラヴェルはラーファエルも悪であるとみなしており、治療と称して傷口に毒を塗り込もうとしたが、クラヴェルの本性や過去の行為を看破していたラーファエルには通じず、逆に毒に濡れた手袋ごとその腕を斬り落とされる。
そのまま彼に取り押さえられ、口をふさがれると、正義の体現であるはずの自分に、今にも凶刃が襲い掛からんとする現実を最後まで認められず、助けを求めて心の中で幾度もわめき続けたが、なすすべもなくラーファエルの振るう聖剣に貫かれて死亡した。