「貴方にも神の祝福を・・・」
概要
モンストアニメから登場した光属性のモンスターで、「天聖」の1人。
モデルはセフィロトの内の第一のセフィラ「ケテル」。名前はヘブライ語で「王冠」を意味する。
アプリ版では超絶クエスト「祝福を与えし「王冠」の天聖」のボスモンスターとして登場する。
モンストアニメでは
CV:置鮎龍太郎
ルシファー編第一話から登場。
ルシファー達の上司にあたり、神からの言葉を通じてルシファー達にオーブを集めるよう指示を下す。
一見すると細身だが実は筋肉質で屈強な肉体の持ち主。常に厳かな雰囲気で口調は柔らかく、平和を愛する人当たりの良い人物。
「私の手は、勝利を確信すると、喜びに震えるのです…!」
「世界に光をもたらす者ルシファーよ。お前を消し去り、私が新たな光となるのです!」
しかしこれは表向きの姿。本性は非常に身勝手かつ残虐で、美しいものを壊すことに愉悦を感じる正に外道。過去にルシファーの部下達を惨殺している。天聖としての能力は天使の性能そのものを封じる力を持ち、終盤でルシファーとウリエルの前で本性を現し二人を苦しめる。そして次第に追い詰められた彼は悪足掻きとしてウリエルを人質にする暴挙に出る。
ルシファー「勝利を確信すると、手が震えるんじゃなかったのか? 体は正直だな!!」
「馬鹿な…」
ルシファー「オーブよ、永久に…」
<私を…見捨てるつもりか・・・?>
しかし、力の解放にオーブの力を使ったルシファーの自爆攻撃を前に敗北。その光景を見た他の天聖達から見捨てられたことでそれを嘆きながら死亡した。
この一件がきっかけでルシファーは天界では犯罪者として指名手配されウリエル達と袂を分かち、魔界へと足を踏み入れることになる。それでもウリエルたちの尽力により、天聖達に荒らされた天界も、少しずつ復興の兆しを見せはじめていた・・・。
そして時は流れ、多くの視聴者はノアとケセドとの友情物語の感動に浸っていた・・・。
まさかの復活
「アーッハハハハハハハハ!! 私ィ、ケテルでございますゥ!!!
天界の支配に失敗し、ゴミクズの様に消し飛ばされて早一年。この度、不死鳥の様に蘇って参りました。
それもこれも愛しいフィアンセ、ルシファーさんを娶る為…
皆様、私達の愛の契り、お見逃し無き様に!」
ノア編の終了直後、上記のような強烈なセリフを言い放ち突如として復活を宣言する。これには多くの視聴者が今の感動を返せ!!と激怒したに違いない。
最早、仮初の姿とは言えかつての厳かな天聖としての風格はどこにもなかった。
「私は…貴方が愛おしいぃぃ…。ルシファァァ……!」
実はルシファーに粉砕された後も辛うじて僅かな意識はとどめており、偶然にもルシファーの魔力が込もった羽を取り込んだことで新たな身体を得て完全復活を果たしてしまう。
当初はルシファーに対し激しい憎悪を抱いていたものの、ルシファーの羽を取り込んだ影響でその憎悪はいつしか激しい情愛へと変わってしまい、ルシファーを我が物とすべく付け狙うより危険な人物と成り果てる。
「ようこそぉ〜! 大天使長の皆さん! お久しぶりですねぇ、ウリエルさん」
ウリエル「ケテル…!?だが、あり得ない…!」
ガブリエル「あの時、消滅したはずです!」
「確かに、一度は死の淵まで追い詰められました…。しかし、大いなる祝福が、私に再び生を給うたのです!」
そして天界へと舞い戻り、大天使長たちの攻撃を高速移動で易々と避けた後手始めに飛行船に乗船していた天使達を爆殺し、さらにウリエルやザドキエルらをはじめとする9人の大天使長達に結婚式の余興と称してデスゲームを仕掛け、一人また一人と罠に嵌めて石化させてゆく。
ダアトによる修業の中でこの惨劇を知ったルシファーはすぐさま駆けつけるも、時すでに遅く9人の大天使長は全員石化させられていた。
「これから交わされるのは契りの口づけ…。これによって我々は一つの存在となる…。体も心も、その全てが共有されるのです、ご友人たちに見守られながらね。そう、彼女たちはこの式の参列者という訳です!」
ルシファー「貴様…そんな下らない理由で、私の仲間を!!」
「下らない? 私にとっては何よりも大切! 拒むのなら、私の「愛」、痛みと共に刻んであげましょう!!」
「先ほどまでの無抵抗が、もし貴方に希望を与えたのなら…謝ります。悲しいかな。私はもう以前の私では無いのです!」
あまりに身勝手すぎる理由に激怒したルシファーは当然猛攻撃を仕掛けるも、地力の差から徐々に圧倒され、動けなくなったところに「誓いのキス」をされそうになる。だがルシファーはダアトとの修業で得た火、水、木の力を使って形勢を逆転し始める。
「せっかく貴方のためにここまで準備したと言うのに……イイィィィィッッッ!!この縁談……破談とさせて頂きますッッッッ!!」
用意した舞台をめちゃくちゃにされ、怒り狂ったケテルは周囲を爆破。その爆風によってルシファーは吹き飛ばされてしまうも精神世界と思しき場所でウリエルと邂逅を果たしたことで獣神化し、光の力をも物にしてケテルを追い詰めることに成功する。
力を失い、圧倒的な力の差を見せつけられたケテルは惨めに詫びて命乞いをし、ルシファーが背を向けた隙を見逃さず、かつてウリエルに授けた短刀で不意打ちしようとするも、生かすつもりは毛頭ない彼女の放つ強力な光弾の雨を浴び、苦痛と快楽の果てに今度こそ破滅した。
ルシファー「殺す価値もない…だが、生きる価値も無かったようだ」
「刺さる!刺さるぅ!! ルシファーさんの激しい怒りが、私の中に突き刺さってますぅぅ…!
き゛も゛ち゛い゛い゛い゛・・・!!」
・・・二度と復活することがなければよいが・・・。
ひとまずケテルは倒されたものの、彼のもたらした被害は天界に深い傷跡を残しており、大天使長達のうちウリエル、ラファエル、ミカエル、ガブリエルの四人は後遺症から未だに目を覚まさずにいた。
そして、事態は最悪の方向へと進んで行く・・・。
降臨
メインギミックはダメージウォール。地雷や魔方陣も登場する。地雷のダメージは大きいが、喰らってもヒーリングウォールですぐに回復出来、魔方陣はステージ終盤にしか登場しないため、ダメージウォールほど優先して対策する必要はない。また、残り体力が多ければ多いほど攻撃力が上がるという特殊仕様も組まれており、ステージ上に展開されるヒーリングウォールやハートパネルといった回復ギミックやハートを利用しての体力管理が重要となる。
登場する雑魚はほぼ全てドクロマークを持っており、彼等を倒すことでダメージウォールや地雷といったギミックや、アビリティーロックや強力な白爆発、雑魚の蘇生といった厄介な攻撃が発動されるため注意が必要。
クエストを進めてゆくとステージ4にて、アニメでのあるシーンを再現してか、何とミカエルとガブリエル(双方とも神化)が敵として登場する。このステージのボスはミカエルであり、ミカエルを倒せばそのままステージ突破となるが、もしガブリエルを倒してしまうとドクロマーク発動により初撃の合計6万ダメージに加えて1ターン持続する3万の毒効果ダメージが発生する毒メテオを喰らってしまう。このため、本来ガブリエルを倒さずミカエルのみ倒すのがセオリーだが、残り体力や編成キャラクターによっては先にガブリエルを倒してしまうのも一つの手段。
中ボスおよびボスとして登場するケテルの攻撃には、アビリティーロックや混乱等の厄介なものが多く、挙げ句の果てには強制的に残り体力を4にする割合攻撃まで放ってくる。これを喰らってしまうと攻撃力が大幅に低下するのは勿論、後続の攻撃を喰らい即ゲームオーバーにもなりかねないので体力管理には十分な注意が必要。
超絶クエスト中でも難易度の高い部類に入るクエストだが、メインギミックがダメージウォールということもあり、適正は割と広め。本編で犠牲となった天使達にはダメージウォールに対応しているキャラクターも多く、アニメで受けた仕打ちの仕返しをここでするというのも一興かもしれない。本編でケテルと直接対決したルシファーも勿論最適正の一角(と言うより、このクエスト自体がルシファーを輝かせるために作られた可能性が高い)で、厄介なアビリティーロック等を防ぐバリアや強力な友情コンボ、そして大ダメージを出せる強力な大号令SSにより猛威を振るっている。ただし、最も危険な割合攻撃は彼女のバリアを以てしても防ぐことが出来ないため要注意。更に、映画『ルシファー 絶望の夜明け』のコラボイベントで登場した「ルシファー&カエサル」も強力で、ダメージウォールには対応していないものの魔法陣には対応しており、弱点露出&大号令という本家ルシファーをも凌ぐ強力なSSでケテルに致命傷を与えてくれる。
因みに場合によっては星4キャラである進化シヴァまでもが適正だったりする。流石に最適正とまではいかないものの、上方修正後の能力が何気にこのクエストと相性が良く、状態異常回復ブラストやHP吸収メテオSSが中々良い仕事をしてくれるのである。後に実装された星6降臨キャラの真・シヴァも進化シヴァと似た使用感で、運枠として活躍できる。
真・シヴァの他にも適正運枠は数多くいるが、中でも銀魂コラボにて登場した長谷川泰三(ゲーム中では堕天使マダオ表記)が特に特徴的。固有アビリティーの段ボールバリアは文字通り紙耐久ながら厄介なアビリティーロックを一撃だけ防ぐ事が出来、SSも大号令…なのだが本家と異なり味方は殆ど動かせられないため実質的には微妙な自強化SSとなっている。…ここまで言えば察しがつくだろうがこいつの性能はルシファーを意識し尚且つ格段に性能を落としたものになっており、さらに本人のイラストでもルシファーを意識した段ボールの羽を着込んだりしている。流石のケテルもこれにはキレていい(というかルシファーにもキレられること間違いないが)。
性能
種族 | 聖騎士 | ||
---|---|---|---|
撃種 | 反射 | ||
戦型 | バランス | ||
ステータス | HP | 攻撃力 | スピード |
極 | 20170 | 15938 | 212.00 |
タス最大値 | +3900 | +7775 | +107.95 |
タス後限界値 | 24070 | 23713 | 319.95 |
ゲージショット成功時 | - | 28455 | - |
キラー発動時 | - | 42683 | - |
アビリティ | アンチワープ、アンチ減速壁 | ||
---|---|---|---|
ゲージ | 飛行、妖精キラー | ||
ストライクショット | 婚約・純愛を交わす契 (ターン24) | 敵に触れる度にトライブパルスを放つ | |
友情コンボ | 長なぎ払い【光属性】 | 一回転する鋭い属性刃で攻撃 | 最大威力71750 |
ラックスキル | クリティカル | 直接攻撃時、稀に敵へのダメージ量が約7.5倍になる |
ワープ、減速壁、地雷と3つのメインギミックに対応しており、ギミック対応力が高いキャラクター。ただし、ゲージの飛行に関してはマインスイーパーと違い地雷が回収出来ず、素アビではないので空域による減速効果も受けてしまうので注意。またアニメ本編で天使達を蹂躙した点が反映されてか、ゲージに妖精キラーを持っており、妖精の敵に対してはそこそこ高い殴り火力を出せるが、残念ながら後述の友情コンボやSSのトライブパルス部分にはキラーは乗らない。
友情コンボの長なぎ払いはそれなりの攻撃範囲を持ち、威力も高く使い勝手の良いものとなっている。
SSは敵に触れるたびに一発5万のダメージを出せるトライブパルスを放つという珍しいもの。同種族の敵が多いクエストでは一撃を放つ度に多くの敵に纏めてダメージを与えられる。
特別秀でた点は多くないものの、一方でこれといった弱点も少なく、特徴的なSSを持ちアビリティー対応力もある、総じて扱い優秀な降臨キャラクターで、運極にすることができれば非常に使い勝手のいい運枠になるのでといえる。
余談
その卑劣極まりない性格や所業、後味の悪い結末を残したこともあって、視聴者やモンストユーザー、挙げ句の果てには一部のモンストの中の人からも蛇蝎の如く嫌われており、故に天聖の中でも人気は最悪。そのため、ユーザーによっては入手されたあとに散々な扱いを受けたケースもあったんだとか。前作のノア編においてモンスト屈指の涙腺キラーとなった「慈悲の天聖・ケセド」とはまさに対照的な存在である。一方、最終章のボスとして登場した「基礎の天聖・イェソド」は、愛した女性に拒絶される、その女性への想いから大勢の人々を巻き込む暴挙に出るという点で彼と共通点があり、イェソドの過去が明かされた際は彼を連想した視聴者も多かったとのこと。
ただ、裏を返せばその圧倒的な狂気を以て強烈な印象を残した非常に完成度の高い悪役とも言え、その凄まじい怪演をやりきった置鮎氏の演技力は改めて高い評価を得ている。
何故か公式Twitterアカウントをもっており、アニメの展開に合わせて視聴者を挑発したりお知らせをしたりとやりたい放題だったが、ウェディングゲーム最終回にて死亡した後は当然更新もなくなった。
・・・が、2020年の元旦に突然新年を祝う画像を投稿したり、「祝福を与えし「王冠」の天聖」発表後はストライカーの挑戦を楽しみにするツイートをするなど相変わらずの調子だった。
声を担当する置鮎龍太郎氏は彼に関してモンストアニメ公式チャンネルのコミュニティ欄で「もう正気じゃあありませんよ(笑)」と語っている。また彼を演じるにあたり、本性を現す以前はとことんいい人ぶって演じることを心掛けたものの、多くの視聴者にはすぐに黒幕だとばれてしまったとのこと。
アニメで一度死亡してしばらく経ってから復活した為か、アプリ版における進化後の二つ名は「王冠の元天聖」と、これまでにアプリで登場した悪しき天聖たちの中で唯一「元天聖」と表記されている。
さらなる余談
ご存知の方も多いと思われるが、置鮎氏もルシファー役の日笠女史もリアルでウェディング経験者である。偶然か否か、実はウェディングゲーム編が配信され始めた2019年10月以降、声優界で結婚を果たす方が相次いで現れた。しかもこのブーム、大天使の中の人たちに大きな影響をもたらしたのである…
まず、ウェディングゲーム中盤の2019年10月23日にカマエル役の沼倉愛美女史が同業者の逢坂良太と結ばれ、続いて同年12月29日に真っ先に狙い撃たれたザドキエル役の千本木彩花女史がまたまた同業者の畠中祐氏とゴールインし、極めつけには2020年5月12日にルシファーの親友ウリエル役の小松未可子女史がこれまた同業者の前野智昭氏と結婚を果たした(因みに前野氏はモンストアニメ内では悪魔アザゼルを担当している)。もはや狙ってるとしか思えない出来過ぎな話である。
(ちなみに置鮎氏の現在のお相手も同業者の方である。)
人にとって結婚とはまさにこれ以上ない祝福と言える。それがたとえ天界に住まう者であっても同じことである。その悪辣さと絶大な力で大天使たちに祝福という名の惨劇をもたらしたケテルであるが、皮肉なことに大天使の中の人たちには本当の意味での祝福が与えられたのだ。無論、ケテル本人やルシファーたちはその事実を知る由もないのだが・・・。(が、前述の通りケテルはTwitterアカウントを持ってるため地獄からその様子を覗いているかもしれない)
関連イラスト
進化前
進化後
関連タグ
緑谷出久(モンスターストライク)、ゴンさん、リヴァイ:過去のコラボイベントにで実装されたガチャキャラクター達。数々のプレイヤーからの怒りを買った結果、彼等からの強烈なワンパンの制裁が待っていたのだった。
以下、映画「ルシファー 絶望の夜明け」の核心に迫る重大なネタバレが含まれます。映画をまだ御覧になっていない方、ネタバレを避けたい方は今すぐブラウザバックをお願いします。
「ルシファー 絶望の夜明け」にて
第二の「ケテル」
結論から先に言ってしまうと、「ルシファー 絶望の夜明け」にケテルは登場しない。
しかしケテルの襲撃によるウリエルたちの昏睡状態は続いており、更に悪しき天聖たちを倒しても生命の樹が復活しなかった為に、ウリエルたちの命の危機は着々と迫っていたなど、ケテルが映画の本編に与えた影響は少なくない。
しかも物語の最中、ブリタニアやレシアルの罪なき人々を突然襲撃してマスターオーブを奪い、数多くの人々を傷つけ、逃げ遅れた一般市民を容赦なく石化させてゆくという、かつてのケテルを彷彿とさせるような暴挙に出た人物がいた。
ルシファーである
しかしながらルシファーがこの行動を取った理由は勿論ケテルのように私利私欲の為ではなく、正体を隠し裏から世界を滅ぼそうした黒幕であるビナーをあぶり出す為の作戦であり、その代償として自らが討たれることを承知の上での行動だった。加えて、ノアの台詞から察するにケテルとは異なり死者は出していないという。とは言えこの行動は罪なき人々に対する理不尽な暴虐であることには変わりなく、死者が出なかったから良しという話では済まされない。事情があったとは言えやってることの悪辣さ自体はケテルら悪しき天聖、およびビナーのそれと変わりないものになってしまっている。
かつて自身の暴挙に激しい怒りを燃やし、最終的に自らを打ち破った愛しのルシファーが、かつての自分と全く同じ行動を取っていることをケテルが見たら、どう思うことだろうか・・・。
欺瞞
「いつか・・・。天界は欺瞞だらけだと言いましたね?だが私に言わせれば、欺瞞に満ちているのはルシファー、貴様の方だ!」
かつてケテルがルシファーに言い放った台詞である。
ルシファーの心の中にあったのは、ウリエルらをはじめとする仲間たちへの強い思いと、その仲間たちのいる世界の平和である。しかしながら、それを護る為にはどんな行動にでてもいい、罪のない人々を傷つけてもいいという欺瞞がルシファーの中にもあったのは否定できない(これは世界再生の為に仲間を裏切り傷付け、世界を崩壊させようとしたビナーにも通ずるところがある)。
欺瞞の権化のような男であるケテルの詭弁が、後になって本当の意味でルシファー(更に言うならビナーにも)の身に返って来ようとは、彼女たちにとっては皮肉以外の何物でもない。
傀儡とならなかった男
終盤、イェソドやマルクトをはじめとする悪しき天聖たちが黒幕の手によって傀儡として復活させられ、アーサー達に襲い掛かった。しかしその中にケセドとダアト、そしてケテルの姿は無かった。
ビナーが悪しき天聖を傀儡として復活させたのは、私兵として使役するという意味合いの他に、自分や姉、そして天界を徹底的に貶めてきた天聖たちへの復讐も込められていると推測される。故に、身体が弱い上にノアとの友情を通して改心したケセド、ビナーの師でもあり命の恩人であるダアトを傀儡とするのは流石のビナーでも抵抗があったことは想像に難くない。
ただ、そうなると悪しき天聖のうち最も陰湿な性格で他の天聖同様実力も十分に備えているケテルが除外されているのは異質である。これはケテルが、既に死亡していたルシファー以外のヒーローたちと全く面識が無かったことと、ウェディングゲームでの暴挙を考慮した上で復活させなかった可能性が指摘されている。
天界の行く末
天聖の中にはケセドやイェソド、そしてビナーのように、他の天聖および天界そのものの欺瞞に振り回されて悪行に及んだものもいるが、ケテルでさえ天界の欺瞞に巻き込まれた一面があったことは否定出来ない。
そもそも生命の樹は五千年に一度選ばれし天聖の命を捧げて生命活動を維持させなくてはならないが、ケテルをはじめとする天聖たちは、ビナーの姉にして前任の天聖だったプライオル・ビナーにその役目を押し付けていた。その後に起こした行動も踏まえるとケテルらの身勝手さは際立つが、よくよく考えれば自らの命を犠牲にするのを拒むこと自体は別におかしな話ではない。寧ろ、皆を守るために自らの命を躊躇いもなく差し出せるプライオルやルシファーの精神力が凄すぎるといえる。
物語は最後、ビナーが改心して生命の樹に命を捧げ、世界に平和が戻り、ルシファーやウリエルたちも復活した。しかしこれは一時的なもので、このまま五千年経てばまた選ばれし天聖の命を捧げなくてはならない時がくるだろう。
これからウリエルたちはそういった天界そのものの「欺瞞」を変えてゆかなくてはならない。
これ以上、第三第四の「ケテル」がまた現れ、それによる被害者、そして被害者の中からルシファーやビナーのような哀しき加害者が現れるのを防ぐ為にも。