ケントゥリア
けんとぅりあ
ユリアン
本作の主人公。幼少期に母に売られ奴隷として生きていたが、主人を傷付け奴隷船に密航し人生で初めて周囲からの温かみを知る。その後、100人の奴隷が殺され遂に自分も殺される寸前に〈海〉を名乗る怪物に契約を持ち掛けられ、自身を救うため犠牲になったミラの命によって力=100人分の身体能力と命のストックを与えられる。
奴隷船から脱出後、ミラの娘であるディアナを守る為に生きていていく。
アンヴァルが死んだ怒りからか、予言を伝えに来たエルストリをなんの躊躇いも無く殺しかけるなど、精神的な危うさも見て取れる。
ディアナ
ユリアンを救うために死んだミラの娘。まだ生まれて間もない赤子。
しかし、後述のエルストリの予言により……
6年経過してからはミラによく似た容姿になった、ユリアンを兄と慕っている。
ミラ
奴隷の女性でユリアンの母。生きていればユリアン位の息子がいたためユリアンに優しい。〈海〉を名乗る怪物からユリアンを救うため、自ら腹を掻っ捌いてディアナを取り出し命を落とす。
100人の奴隷
ユリアンに温かみをくれた奴隷達。老若男女様々だが年寄りや身重の女性、若い少年を優先させる慈悲や高潔さを見せる。奴隷商人に無惨に殺されるが、上記の〈海〉との契約によりその魂はまだユリアンに残っているらしく、時折ユリアンの心象風景で遣り取りを交わしている。
ティティ
アンヴァルと共に暮らす少女。漂着したユリアン達を助ける。
戦災孤児で両親を失っていたところを、アンヴァルに保護された。
アンヴァル
ティティと共に暮らす兵士。常に鎧を着ている大柄で筋肉質かつ美人な女性。
優しく誠実だが「幸せに生きていくためには金が必要」と語るなど現実的な所も。
戦争で活躍し近衛兵として出世する道もあったが、ティティの面倒を看るため辺境の任務に就いた。
ユリアン達を見逃す為に、恩人として長年仕えてきた至高き君を裏切ったことで第一王子アルコスによって処刑された。
また、王国を裏切ることで結果としてティティの身も危険に晒すことになってしまう。
〈海〉
魔の海域に暮らす謎の存在。ユリアン達を守るために死んだ100人の奴隷を『生贄』と認識し、更に「『真の愛』を失う」条件を提示、それを聞いたミラの自己犠牲の末にユリアンに力を与える。似たような存在は他にもいるようだが詳細は不明。
尚、単行本の書き下ろしページでは、自身の不手際を認めた上でアフターフォローを行うなど、超越存在にしては意外に真面目かつ人間臭い面があると発覚した。
ただ人間らしい一面を持つものの基本的には人の心については理解できない超常存在である。
海魔
〈海〉の眷属と思しき異形のマーフォークの群れ。
〈海〉と契約したユリアンを「陸の生物の分際であの御方の寵愛を受けた」と逆恨み、ユリアンとディアナを殺し貪ろうと目論むも、ユリアンに返り討ちにされた。
ユリアンを襲わなかった生き残りはいるようだが、上記の〈海〉のアフターフォローにより該当種族は全て消された模様。
〈森〉
〈海〉と似て非なる超越存在。
〈海〉と契約したユリアンと関係者であるディアナを「〈海〉が陸に侵食してきた」と見なし、殲滅すべく襲撃した。
鹿のような姿をした分身体や、醜悪な精神性をした眷属が存在する。
至高き君(いとたかききみ)
アンヴァルが支える王国の現王で、人知を超え長い時を生きているとされる。
寡黙かつ聡明な人物で、国から奴隷制度を無くすなど開明的な考えの持ち主。
一方で若き頃は圧倒的な力で敵対者を捩じ伏せる、戦闘狂じみた気質をしていたらしい。
エルストリ
アンヴァルが仕える王国で重用される占い師。
占いにより幾度も王国を救っている実績から、国王の至高き君からの信頼に厚い一方、それによって居丈高な節も散見され、一部の兵士からは煙たがられている。
占いを行う際、ユリアン同様に片目に亀裂じみた紋様が浮かび上がるため、常人ではないのは確かだが……
忠誠心は高いがそれ故に暴走した行動を度々とってしまっており読者からは「この国が亡びるのはこいつの暴走が原因では?」と言われている。
アルコス
「水(自然下の水なみならず、生物の体内に含有される水分も該当)を自在に操る」異能(彼も片目に亀裂じみた紋様が浮かび上がる) を持つ青年。
退屈を嫌う享楽主義者のようで、曰く「敢えて瀕死程度に相手を痛めつけて全能感を味わうのが好き(要約)」と平然と宣うなど、破綻者そのものの振る舞いに終始する。
専属のメイドを引き連れる、エルストリから「アルコス様」と敬称で呼ばれているなどの点から、王侯貴族の血筋と思われる中、至高き君の子息であると判明した。幼少期から遊び感覚で人を苦しめるなどの残虐性を持つ。
一方で作中では「身内にも虐げられていた妹を唯一認める」、「王国に反発した国民を殺さずに見逃している」等分別なく虐殺しているような描写は無く、その残虐性はあくまで直接敵対したものに対してのみ向けられている。
主人公主観の物語として見れぼアルコスはまるで悪そのもののように思われるが、実際に作中でのアルコスの行動は一貫して王国の為である(客観的にはアルコス側が正義とも読み取れる) ため、評価が別れるところである。事実アンヴァルとの対話でアルコスの投げかけた言葉は正論そのものである。
ユリアンを一度は殺すも唐突に力を覚醒させたユリアンに彼の領域である海で圧倒され殺害された。
ラクリマ
アルコスの妹で第三王女。アルコスを殺したユリアンに復讐心を抱いている。
ギヨーム
『鉄塊のギヨーム』 の異称を頂く王国の戦士。
モーニングスターを得物とする。
ユリアン等が持つ、正しく異能そのものの能力。
現時点では以下のケースが確認されている。
- 超越存在と契約して得る(実例:ユリアン)
- 血統から継承する(実例:至高き君とアルコス)
※ユリアンの異能に関しては現時点でかなり不明な点が多い。特にアルコスとの戦闘において、まるで勝ちを確信したかのように海に誘導しているが、そもそもユリアンがいつ自身の能力を把握したのかが全く描写されていない為、唐突な覚醒に違和感を覚えた読者も多い。(少なくともそれ以前で唯一海中戦をした第2話では、水中での身体強化どころか呼吸すら不可能であった。)