CV:緑川光
概要
本作には、主に二人のファウストが登場する。
一人は、惑星テラツーの都市国家の一つ「ゲルマニア」の創設者(初代総統)である「初代ファウスト」。
地球からの恒星間移民船メソポタミア号の乗員の一人でもある。
没落貴族の生まれで、盗みを働いたことで親からも見捨てられ、最後には「移民」とは名ばかりの棄民としてメソポタミア号の乗員となる。
航行中、不具合で一人だけ冷凍睡眠から目覚め、メソポタミア号の生体コンピュータ「ローレライ」と恋に落ち、彼女が脳の一部から培養したクローン体と恋人になる。
しかし不慮の事故によりメソポタミア号がテラツーに墜落。
生存者の一人・徳川家安の提案により、唯一の女性であるクローン・ローレライを共同管理すべきとされ、絶望してローレライと心中を図るも、ローレライだけが死んでしまう。
愛する女性を失ったことと、過去の生い立ちから「いつか地球に帰って星を征服する」という野望に取りつかれる。
だが、その野望は一代では叶えられないため、自らの直系クローンに記憶を移植することで叶えようとする。
初代ファウストの記憶を移植された二代目ファウストは、その残虐性がより強くなり、初代ファウストを殺してしまう。
もう一人は、主人公・間宮小樽たちの時代にゲルマニアを統治する、当代のファウスト。
初代から連綿と記憶と憎悪を受け継いできたことで、歴代で最も冷酷な人物となっている。
野望成就のために他国家へ侵攻を開始、「第一次テラツー戦役」を引き起こす。
部下であるセクサドールズを一時的に寵愛したことも、「愛」という感情がどれだけ人間の判断力を鈍らせるかを知るための「試し」であり、彼女たちを愛していたわけではなかった。
最後にはメソポタミア号に辿り着き、マリオネットのローレライと対峙するが、100年前(テラツー開拓から200年後)に地球から届いた通信記録によって、すでに地球が滅亡していることを知る。
野望を叶えられなくなったことを悟ったファウストは自暴自棄になってすべてを破壊しようとするが、ドクター・ヘスによって射殺される。
他者の記憶と感情によって人生すべてを奪われた彼は、文字通りのマリオネット(操り人形)のまま、この世を去った。
アニメ版
初代ファウスト
六大国家の一つ・ガルトラントの初代総統。
メソポタミア号不時着の際に、唯一生き残った女性であるローレライに恋をしていた。
彼女や家安とともに乙女回路を作った科学者の一人でもある。
ローレライが、自我に目覚めたメソポタミア号に囚われたため、彼女を取り戻したいという目的も持つ。
ローレライを助けるためには、メソポタミア号が求める「女性」の代わりとなる「完全な乙女回路」が必要なのだが、そのためには乙女回路を搭載したマリオネットをそれぞれの属性(純真、貞淑、母性)に合わせて成長させなければならない。
このため、一代では女性復活・ローレライ救出が実現不可能と悟ったファウストは、次代に希望を託すこととした。
当代ファウスト
幼少期は純真無垢な少年だったが、父(先代ファウスト)から記憶を移植され、冷酷な人物へと変貌した。
しかし、幼少期に世話役をしていたティーゲルを始めとするセイバードールズの献身と、小樽たちとの戦いの果てに、野望から解き放たれ、善人へと戻る。
戦役終結後は、贖罪のため、セイバードールズと旅に出るが、『またまた』では「花嫁修業」と称してセイバードールズを小樽に預け、自分はニューテキサス大統領ジョイ・ヒューリックの野望を防ぐために暗躍する。
贖罪の旅の具体的な内容として、第1期最終回に「この星を、花でいっぱいの、宇宙で一番美しい星にしよう」と述べていたため、ボイスドラマでは花を植えたがる男というギャグキャラにされたこともある。
余談
実は『J』の姉妹編である『セイバーマリオネットR』のボイスドラマでも、名前のみだが登場している。
これはヴィレイ・ジュニア(ジュニア)の従者セイバーマリオネットたちを目の敵にするDr.リゼッタ(CV:千葉繁)によって言及されたもの。
内容は「(ジュニアのセイバーたちを征すれば)あの独裁者ファウストすらも成しえなかったテラツー支配も夢ではない!」というもの。
ちなみにファウストの中の人は『セイバーマリオネットR』ではジュニアの兄にしてリゼッタの上司であったスター・フェイスの中の人でもある。(まぁ、ジュニアの中の人は小樽の中の人だし、小樽のセイバーたちの中の人もジュニアのセイバーたちの中の人だし、ファウストのドールズの中の人もフェイスのドールズの中の人、なのだが)