「小樽、だぁ~~い好きっ!」
概要
あかほりさとる作のライトノベル作品。キャラクターデザイン・小説挿絵はことぶきつかさが担当した。
あかほりによる2文字アルファベットシリーズ(後述)の1作である『SMガールズ セイバーマリオネット』を構成している作品のひとつ。
本来ならばシリーズの企画に携わったねぎしひろしも作者の一人と言えるのだが『SMガールズ』シリーズの企画時の確執により『J』に話題を限定した際にはその名を連ねる事が無かった。
姉妹作品に、ねぎし作の『SMガールズ セイバーマリオネットR』『SMガールズ セイバーマリオネットZ』が、間接的な続編にあかほり作の『私立大江戸学園興亡記』『セイバーマリオネットi』が存在する。
『SMガールズ セイバーマリオネット』の作内史においては現時点で最も古い時代(地球から本作の舞台となるテラツーへの棄民同然の移住と移住を果たした人類からの女性喪失。および、そこから300年を経て勃発した「第一次テラツー戦役」と、その果てに成された女性復活に至るまで)を描いた作品である。
メディアミックスとして、ラジオドラマ、アニメ、漫画(作画:琴義弓介)になった。
原作より先にアニメが完結したため、小説版のラストは意図的にアニメとは変えられている。これに関しては、あかほりは「どちらが良かったのかは、皆様の判断に委ねます」と応えている。
他にも、原作では早々に主人公・小樽側についたティーゲル、パンター、ルクスの三人が、アニメでは最後までファウストの部下となった点が異なる。
あかほりさとるによると本作は手塚治虫の『火の鳥 復活編』とマンガ版『人造人間キカイダー』を下地にしている。
あらすじ
人口が増え過ぎた地球からの移民によって栄える惑星「テラツー」は、漂着時の生き残りが男性のみであったため、クローン技術によって出生するシステムがなされていた。
そして、存在しない女性の代わりに、女性の姿を模したアンドロイド「マリオネット」が普及していたが、心のないマリオネットはテラツーにおいて労働力でしかなかった。
テラツー歴300年。六大国家の一つ「ジャポネス」に住む少年・間宮小樽は、感情を持つマリオネット「ライム」と出会う。続けて「チェリー」「ブラッドベリー」をも目覚めさせた小樽に、ジャポネスの将軍・徳川家安は、ライムたち「乙女回路」を持つマリオネットこそ、女性が失われたテラツーの未来を導く存在だと語る。
時を同じくして、六大国家の一つ「ゲルマニア」の総統ゲルハルト・フォン・ファウストは、閉塞しかかるテラツーの未来を切り開くため「優秀な人間=ファウストのクローンによる、他の人間=他の五大国家のクローンの支配」を思想に掲げ、他の国家に侵攻を開始する。
家安とファウスト、異なる思想を持つ指導者2人の、女性復活とテラツーの未来を賭けた戦いに、小樽は巻き込まれていくことになる…
登場キャラクター
- 間宮小樽(CV:今井由香)
- ライム(CV:林原めぐみ)
- チェリー(CV:白鳥由里)
- ブラッドベリー(CV:平松晶子)
- 花形美剣(CV:子安武人)
- ゲルハルト・フォン・ファウスト(CV:緑川光)
- ティーゲル(CV:高乃麗)
- ルクス(CV:水谷優子)
- パンター(CV:井上喜久子)
- 徳川家安(CV:緒方賢一)
- 大江久保彦左衛門(CV:千葉繁)
- 玉三郎(CV:川村万梨阿)
- 梅幸(CV:折笠愛)
- ドクター・ヘス(CV:西村朋紘)
- ミス・ローレライ(CV:天野由梨)
- コピー・ローレライ
アニメオリジナルキャラクター
原作(小説)
『月刊ドラゴンマガジン』(富士見書房)にて1994年 - 1999年連載、富士見ファンタジア文庫から単行本が刊行された。
挿絵担当のことぶきつかさの90年代における代表作の一つでもあり、一時期ネット上で各世代の流行の画風を比較する画像でも、本作のイラストをコラージュしたものが使われている。
連載途中で始まったアニメ版に先に完結されてしまったため、それを反映して、あえてアニメ版と異なるストーリーになっている。
小説媒体ならではのセクシャル、グロテスクな表現が多々あり、アニメ版では生存しているキャラクターが死亡することも多々ある。
後述のアニメ版新作OVAは、ティザーイラストから、本作(特に最終巻)をアニメ化するプロジェクトだったと推察される。
アニメ
『セイバーマリオネットJ』という題名で1996年10月から1997年3月まで全25話が放送された。
監督は、のちに『藍より青し』『魔法遣いに大切なこと』『ゼーガペイン』『神曲奏界ポリフォニカ』を手掛けた下田正美。下田の監督デビュー作である。
シリーズ構成は小山高生の「舎弟」(あかほりらのような「弟子」ではない)として知られ『三つ目がとおる(TV)』『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』『十二戦支爆裂エトレンジャー』『新・天地無用!』『月詠』『ファイ・ブレイン』を手掛けた関島眞頼。
キャラクターデザインは『ハチミツとクローバー』『のだめカンタービレ』『夢使い』『クロックワーク・プラネット』『アイの歌声を聴かせて』のキャラデザで知られる島村秀一。島村にとっても本作がキャラデザのデビュー作となった。
OPディレクターは新房昭之と下田正美。2000年代以降のそれっぽさはあまり無いがステンドグラスなど一部に現れている。
なおアニメ版に『SMガールズ』の枕題がつかなかったのは、アニメシリーズ開始当初、ねぎしおよびあかほりの参入が無かったためである(つまりテレビアニメ版は当初『2文字アルファベットシリーズ』としての扱いを受けていなかった)。
制作はスタジオジュニオ。のち、続編としてOVA『またまたセイバーマリオネットJ』およびTVシリーズ『セイバーマリオネットJtoX』が制作された。
ただし、これら続編の制作時においてスタジオジュニオはキャパシティオーバーとなったため、ジュニオに在籍し本作に関わったスタッフが別のスタジオに移籍(実質的な独立)して続編制作にあたる事となった。そのためにスタッフの受け入れ先となりアニメ制作業務を始めたのがハルフィルムメーカーである。
その一方で本作シリーズの制作プロデューサーは第一作から一貫して春田克典(ハルフィルムメーカー社長)が務めている。
2014年、『R』を手掛けたねぎしひろしが「AICプロジェクト」(のちのセイバープロジェクト)を立ち上げ。本作を含めたセイバーマリオネットシリーズの最終使用許諾を同社に一元化。
2015年末、本作の新作OVAを2016年にリリースすることを発表したが、出資が集まらず企画がリセット状態になったことを2021年6月に明かした(発表翌年の2016年にルクス役の水谷が急逝、加えて2017年から小樽役の今井が休業、2018年に完全引退したことも影響したのかもしれない)。
2021年には『R』との併載によるBDボックスをリリースした。
作品一覧
- セイバーマリオネットJ(第1期)
- またまたセイバーマリオネットJ(OVA。第1期の26話という扱い)
- セイバーマリオネットJtoX(第2期)
主題歌
オープニングテーマ
「Successful Mission [Ver.1]」(第1-18話)
「Successful Mission [Ver.2]」(第19-25話)
作詞 - MEGUMI / 作曲 - 佐藤英敏 / 編曲 - 矢吹俊郎 / 歌 - 林原めぐみ
エンディングテーマ
「I'll be there」(第1-23話)
作詞 - MEGUMI / 作曲 - 佐藤英敏 / 編曲 - 添田啓二 / コーラスアレンジ - 奥井雅美 / 歌 - 林原めぐみ
「十六夜」(第24話)
作詞 - 松葉美保 / 作曲・編曲 - 岩本正樹 / 歌 - 林原めぐみ
「Successful Mission」(第25話)
作詞 - MEGUMI / 作曲 - 佐藤英敏 / 編曲 - 矢吹俊郎 / 歌 - 林原めぐみ
挿入歌
「遠雷」(第12話)
作詞 - 木本慶子 / 作曲・編曲 - 岩本正樹 / 歌 - 河合夕子
「咲かせるぜ!度胸花」(第13話)
作詞 - 木本慶子 / 作曲・編曲 - 岩本正樹 / 歌 - 今井由香
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | ライム登場!オトコだけの惑星 |
第2話 | お騒がせマリオネットガール |
第3話 | ジャポネス城で大騒動!? |
第4話 | チェリーパニック ロマンス大作戦!! |
第5話 | ファウストの挑戦!! |
第6話 | 熱烈不歓迎!空飛ぶラブアタック! |
第7話 | 一攫千金はヌカ喜びでぃ! |
第8話 | 恋占いバトルロイヤル!! |
第9話 | ガルトラント、みんなでいけばこわくない!! |
第10話 | 潜入!!黒き帝国 |
第11話 | 乙女回路で大勝利!? |
第12話 | ファーストキスはプラズマの味!? |
第13話 | 小樽デビュー!!今、君が輝く時!! |
第14話 | 迎春!!小樽杯マリオネットコンテスト!! |
第15話 | 女性復活!?ローレライの謎 |
第16話 | いきものってなあに? |
第17話 | やさしさと切なさと女らしさと |
第18話 | 城塞変形!!立てジャポネスガー |
第19話 | ティーゲル、愛のはてに……!! |
第20話 | おもいはてなく こころはるかに |
第21話 | 闇と光のバーベキュー大会 |
第22話 | 天空(あま)翔る想い |
第23話 | ファウスト 歪んだ純心 |
第24話 | 乙女たちの旅立ち |
第25話(最終話) | いつもキミがそばにいる |
ゲーム
セイバーマリオネットJ・バトルセイバーズ
1997年3月リリースのPS用対戦格闘ゲーム。
オリジナルキャラクターであるマリオネット「アップル」(声:今井由香)が登場する。
ファンタジア・リビルド
小説版のレーベルである富士見ファンタジア文庫のアプリゲーム。
本作のキャラクターは2021年1月21日に、期間限定で追加された。
キャラクターデザイン自体はことぶきつかさが務めたが、アニメ版はもちろん、小説版からも大きくデザインが変わっていると評されてしまった。
なお、ゲーム自体は2021年12月17日にサービス終了となった。