航星日誌、宇宙暦0401.7148、宇宙の侵略者を追跡中、エンタープライズ号は突如謎の力によって全てのエネルギーを奪い去られてしまい、私はある小惑星に転送されて、敵船の船長と顔を合わせることになった。何の武器も持たず、メトロンがゴーンと呼んだ怪獣と対決しなければならないのだ。怪獣を見たとき、私は爬虫類に抱くような激しい悪寒を覚えた。だが、これは非常に知能の発達した生物なのだ。それを忘れてはならない。私にとって、危険な恐るべき相手である。
概要
『宇宙大作戦』18話「怪獣ゴーンとの対決」に登場する爬虫類型種族。一見すると動きは鈍く知能も低そうだが、実際には怪力と高い知能の持ち主であることが劇中で判明する。
オリジナルシリーズに一回登場した以外では、『まんが宇宙大作戦』に登場したきりで、再登場は長らくなかったが、2000年代以降のシリーズでも再び登場するようになった。デザインに関しても『Strange New World』では長い尻尾を持つなど小型肉食恐竜のようなものに改められているほか、酸性の液体を吐き出し、敵対種族の体内に寄生卵を植え付けて繁殖する習性が設定されるなど、よりクリーチャー感が増している。
一方、24世紀を舞台にしたアニメ『ローワーデッキ』の頃には惑星連邦と友好的な関係になっているらしく、連邦所属の宇宙基地で飲食店を開いている個体もいる。酒造が得意という意外な設定も付け加えられた。外見もこちらでは『宇宙大作戦』準拠のものとなっている。
史上最低の戦闘シーン
「怪獣ゴーンとの対決」における主人公のカーク船長との格闘シーンは史上最低の戦闘シーンとして国内外で有名。「映画史上最低の戦闘シーン」とされることもあるが、本エピソードはTV放送回であり映画ではない。
動きは鈍いが体が頑丈で怪力の持ち主というゴーン人の性質を、視聴者にわかりすく見せて後の展開の伏線にしているのだが、映像にするとかなりチープな事になってしまった。
制作側もネットなどでネタになっている事を知っているようで、リブート版スタートレックのゲームのCMにて、宇宙大作戦でカーク船長を演じたウィリアム・シャトナーとゴーン人が、先の史上最低の戦闘シーンをパロディ化した喧嘩を繰り広げている。
なおこの回はフレドリック・ブラウンの短編小説の「闘技場」を原案にしており、話の起承転結やテーマもわかりやすい為、この回自体は評価が高い。
余談
いくらなんでも邦題の「怪獣」は不適切に思えるが、当時の「怪獣ブーム」はそれ位凄かったのである。宇宙大作戦には他にもサブタイトルに「怪獣」と冠したエピソードがあるが、あまり「怪獣」らしくはないものが登場することが多い(特異な性質を持つ知的生命体、惑星破壊を繰り返す超巨大自律機動要塞など)。
ロケ地のヴァスケスロックは現在では観光名所として有名で、映画『宇宙人ポール』には同地を訪れた登場人物が史上最低の戦闘シーンごっこに興ずるシーンがある。
2022年のドラマシリーズ『Strange New World』シーズン2に登場した際には、最新鋭のCGや特殊効果を駆使した迫力ある姿で描かれたが、戦闘の舞台を無重力空間にすることでわざわざテンポの悪い戦闘シーンを再現している。
別名・表記ゆれ
関連タグ
ひとりぼっちの宇宙戦争 - 『怪獣ゴーンとの対決』と同じく、フレドリック・ブラウンの「闘技場」を元とする作品。
映画史上最悪の死亡シーン - 同じく「最低」とされる演出で知られる映画。宇宙大作戦との関連性は無い