サイモン(ONEPIECE)
わんぴーすのさいもん
「希望は時として絶望よりもタチが悪い」
「希望を持った人間は 簡単に過ちを犯し破滅に突き進むからだ」
ゲーム版「ナナツ島の大秘宝」に登場するボスキャラクターで、サイモン海賊団の船長。通称「神がかりのサイモン」。
全身を白い服で固め、右目にモノクルをつけ、襟回りと頭の後ろに金の飾り、黄金の装丁の本を抱えていると、一言で言うなら怪しい宣教師風の姿をしている。
海賊と名乗ってはいるが、航海をしていたわけではなく元々ナナツ島の生まれで、各島に配下を送り込み支配していた。
その目的は、ナナツ島の中央部にあるナー島に封印された「大いなる力」ことシュシバルバを起動させ、その力で世界の王になること。
後述の悪魔の実の能力をそれと知らず得たことから、自身を特別な存在だと思いあがっており、非常に自尊心が高く傲慢な性格。
「人間ごときが神である私の仲間であるはずはない」と言い切り、海賊団の部下ですら手ごま以上には思っていない。
しかしその傲然たる態度と力には一種のカリスマのようなものがあるのか、幹部格のメンバーからの忠誠心は高い。
「来るがいい 愚かな人間ども!」
全身を色々な模様や文章の書かれた紙として分解し、それぞれに応じた効果を選択して発揮させることができる。
それぞれの紙に書かれているのは古代の文書に残されていた紋様であり、まさに魔法のような効力を発揮するが、ページを汚されると効果がなくなってしまう。
劇中ではウソップの「火炎星」に対し、古文書にあった「炎を抑制する紋章」で対処している。
物理的攻撃にはほぼ無敵だが、サイモンの反応速度を超える攻撃に対しては対処することはできない。
なお、ある理由によりサイモンはこの力を生来のものだと誤認している。
基礎戦闘力
手足を紙にしてリーチを伸ばす格闘戦を行う。
ゲームの時系列がアラバスタ上陸前であることも手伝い、能力抜きの基礎戦闘力は総じて低い。
ナナツ島という狭い場所で神を気取っていた点からもわかる通り、「楽園」で散見された「能力にかまけた愚か者」の域を出ていないのが実情である。
悪魔の実の能力者を糧として目覚めるシュシバルバの力を手に入れるため、アラバスタを目指す途中で流れ着いた麦わらの一味を利用すべく暗躍。
ディンを使ってビビを拉致すると、彼女を人質に一味(とロートル山賊団)を動かし、各島に隠されていたナー島の封印を解く宝石を集めさせた。
勿論サイモンは取引の約束を守る気などなかったが、一味もとっくにそれは織り込み済みであり、集めた宝を入れた箱を受け取った瞬間、ウソップが仕込んでいた発火装置が起爆、混乱に紛れてカルーにビビを救出されてしまう。
しかし宝物は手に入ったため一目散に撤退、その後ナナツ島中央部の「へそ」にて封印解放の儀式を行いナー島を浮上させることに成功した。
その後、後を追ってきた一味の能力者をシュシバルバに食わせようとするが、一緒に来ていたロートル山賊団に制止されたことで失敗。
さらにそこで、生まれつきの力だと信じてきたパサパサの能力について真相が明かされる。
実は、サイモンは元々ナナツ島で生まれた普通の子供だったのだが、ロートル山賊団のリーダー・コウが仕事中のミスで起こした事故に巻き込まれ重傷を負ってしまう。
動転したコウはたまたま持っていたパサパサの実をサイモンに食べさせ、それによって命を拾ったものの、事故の記憶をなくしたサイモンは自身が能力者であることに気付かず、生来の力が目覚めたものと勘違いをしていたのだった。
この事実を聞かされ逆上するサイモンだったが、麦わらの一味の前に敗北。
肥大した自尊心に突き動かされたサイモンは、
「私が能力者だというのならばそれでもかまわん! 私自らがシュシバルバとなり! その力で世界を跪かせるまで!」
「見える 見えるぞ! 全ての者が私をあがめ 公平に暮らす世界が!!」
シュシバルバに自らを食わせることで起動させ、一味を抹殺しようと最後のあがきに出た。
だが、勢いに乗ったルフィたちを止めるには至らず、シュシバルバごと殲滅されその妄執は断ち切られることになった。
サイモンが率いる海賊団。劇中雑魚として登場するモブを船員だと考えれば、ナナツ島という狭い範囲でありながら規模だけはかなり巨大であることがうかがえる。
- ディン
狙撃手。通称「青い翼のディン」。
帽子を被った優男風の青年。相棒として巨大な青いオウムの「シームルグ」を連れている。
人間嫌いを標榜しており、鳥を愛する。またサイモンに対しては「人間などではない、もっと偉大なお方」として崇拝している。
オウムと会話し操ることができ、終盤では火炎瓶を持たせたオウムの大群で爆撃をかけた。
武器は二丁拳銃で、火炎弾「インセンディアリー・バレット」や麻痺弾「トランキライザー・ガン」の他、シームルグに掴んで貰って飛行しながら地上へ乱射する「ストラーフェ」を使用。
ちなみにゲーム中のナビゲーターとなる「ふしぎドリ」は元々ディンが連れていた、囮用のオウムの一羽。作中では腹を空かせていたルフィに食料を分ける、策略とはいえ麦わらの一味には当初は友好的に接する、ビビを攫う実行犯を担うなどゲーム序盤から登場することもあり印象が強いキャラクター。特にビビを拉致する際にはカルーを銃撃したことで彼と仲の良いウソップから「鳥は友達とか言ってたくせに平気でカルーを撃ちやがって…アイツだけは許せねえ…!」と一際強い敵意を向けられる。
幹部の中では唯一の美形なビジュアルなためか、比較的人気は高い。
- ザバル
船医。通称「紅蓮のザバル」。
マスクと髭が特徴的なやせぎすの中年で、島民たちを労働力として働かせていた。
他人のツボを刺激することで体力を前借りさせる独自の「治療」を得意としているが、肉体に蓄積するダメージが加速度的に増え寿命を縮めるため、同じ医者としてチョッパーの怒りを買っている。
本人は捨て身の強化を施す「砕法・空木」や柳のような動きで攻撃をかわす「枝垂」、ツボをついて体をマヒさせる「馬酔木」などを用いた格闘戦を得意とする。
最後はザファドの砦においてサイモンを逃すための殿を務め麦わらの一味と激突するも敗北しフェードアウトする。
- ガド
戦闘員。通称「渦潮のガド」。プロローグで発生したサイクロンを起こした張本人で麦わらの一味がナナツ島で冒険するハメになった元凶。
シュモクザメの魚人で、ハンマーを武器としている。豪快な印象とは裏腹にナンパな性格で、ナミにモーションをかけてはサンジの怒りを買っている。性格的に憎めない悪役と言える。
追っかけとしてエムロード、サフィル、リュビという人魚の三姉妹がおり、彼女らの力を借りてサイクロンを起こすことでナナツ島周辺の海域を封鎖していた。
他の幹部と比べサイモンへの忠誠心は低く、全ての宝物を手にしたサイモンが海賊団を見捨てたのを受けて見切りをつけ離反。
三姉妹を連れ、新しく海賊団を立ち上げて「ひとつなぎの大秘宝」探しに出かけるべく旅に出た。
- ニフタル
考古学者。通称「夢見のニフタル」。
三頭身の小男で、未知の遺跡を解明することに血道を上げている。しかしその過程で発生する被害などを一切考慮しない上、知的好奇心を満たすためなら自然環境や遺跡を破壊することも厭わない。
本人の戦闘力はなく、護衛として連れている古代のからくり人形2体、赤色の「ザウ・ラ・ザウ」と青色の「カウ・ラ・カウ」を代わりに戦わせる。
ク・シヴァン浮上時に真っ先に調査しようと現れたが、一味と鉢合わせて人形を破壊され、とどめにサイモンにも用済みと見捨てられ抹殺された。
サイモンが追い求めた「大いなる力」の正体。ナナツ島を構成する七つの島の一つ、ナー島にある封印遺跡「ク・シヴァン」の中央部に封印されていた。このゲームのラスボス。
その正体は、太古に何者かが作り上げた悪魔の実の能力者を抹殺するための古代兵器。
起動させるためには悪魔の実の能力者を生贄として食わせる必要があり、さらに能力者を食えば食うほどに成長し強大化する。このため、封印に使われた宝石もまた悪魔の実の能力者でなければ動かすこともできない。
ゲームのラスボスであり、サイモンを捕食することで覚醒・起動した。
形態は主に3つあり、一つは各島の番人のデザイン元になったと思しき第一形態、壁一面に広がり無数の触手を伸ばした第二形態、そして下半身がタコのようになり、上半身が人型の最終形態がある。
恐るべきはその能力で、
- 周辺にいる能力者は能力が使用不可能になる(ルフィなら体が全く伸びなくなり、チョッパーなら変形ができなくなる)
- 単純な破壊力だけでも島一つをバラバラにできる
- 能力者が接触した場合、海楼石が比にならないレベルで全ての力を抜き取られ衰弱死する
- 単体でも炎、冷気、雷を操って攻撃できる
と、ゲームどころか劇場版のボスでもおかしくないレベルのとんでもない力を持っている。
加えて第三形態ではサイモンの思念と融合しており、同一の能力を持った分身を生み出すことすらも可能。
ただし弱点もあり、共通して頭部の球状のパーツが急所。
さらに能力封じは第一形態の両腕に依拠しており、ここを破壊されると悪魔の実の能力が使用可能になる。
名前の由来はキチェ族のマヤ神話における冥界「シバルバー」。ちなみにク・シヴァンの封印を守る番人ゴーレム「シキリパット」「アハルメス」「チャミアバック」「アハルプ」「キクシック」「キクリスカック」はシバルバーを支配する12人の悪鬼の王から取られている(後者2名は後から王になったとされる)。
ちなみに「リクドウの穴」を攻略するためのアイテム「グラナの葉」も同神話由来のネーミングである(神話においては「グラナの赤木の樹液」)。