概要
所得が十分にある層の「プライムローン」と対になる言葉である。
正式な名称は「Subprime Mortgage(サブプライム・モーゲージ)」。Mortgageは用途を問わないLoan(ローン)と異なり、不動産を買うという目的の借金に対してのみ用いられる単語である。
つまり英語圏でいう「Loan」は借金全般を指し、日本でいう「ローン」はMortgageにあたるため、和訳では「ローン」と呼ばれている。
その分金利こそ高いものの、住宅価格が購入時より高まればより金利が低い住宅ローンに乗り換えることができたために利用者が増え、2000年代に不動産バブルを引き起こした。
サブプライムローン問題
2004年からアメリカは景気過熱を抑制するために政策金利の引き上げを実施。その結果2005年~2006年にかけてにアメリカで住宅バブルが崩壊し、ローン返済ができない利用者が増え、一転して不良債権と化した。
サブプライムローンで住宅を購入した者の実に40%は、自分が住むためではなく不動産バブルに乗じて他人に貸したり売ったりすることで自分が儲けるためであった。そして貸し手は貸し手で、リスクの高い借り手にガンガン貸し付けて、しかも金融機関同士の政治的な理由から、この債権に対して格付け会社が不当に高い信用格付けを与えていた。
こうした借り手・貸し手・第三者機関という3者の共犯による投機行動がバブルを不用意に膨らませた原因になり、被害を拡大させた。
しかも住宅債権を「住宅ローン担保証券(MBS)」として証券化できるアメリカでは、サブプライムローンも多くの証券に組み込まれており、そうした証券を購入していたヘッジファンド・金融機関は多数あった。この証券は上記の格付け機関によって、「高利回りな安全資産」(←債券を少しでも勉強すれば分かるが、一行で矛盾している)として大量に流通していた。
その台風の目にいたのが、不動産バブルの中で大躍進を遂げていた投資銀行「リーマン・ブラザーズ」で、彼らは2008年9月15日に経営破綻した。
なお同社を米国政府が救済することも模索されていたが、債務額の全貌が不明であったことや、リスク選好の高い投機的行動をしていた彼らを救うのはモラルハザードを招く(=「どうせ国が救済してくれるんだからいいや」、と好き勝手にリスクを取った投機行動に走る金融機関が現れる)などの理由から、救済はされなかった。
こうして金融機関への信頼が失われるとともに世界中に多額の不良債権がバラまかれ、世界的な金融危機となった。詳しくはリーマンショックを参照。
その後米国政府の財政出動もあってMBS市場は長い時間をかけて回復し、現在に至っている。