概要
1891年7月11日、オーストリア大公カール・サルヴァトールとゲオルク・フォン・ドルムス伯爵によって特許が取得されたディレードブローバック式自動拳銃。
世界初の自動拳銃である。ただし実用化には時間がかかったため、完成物化はショーンベルガー=ラウマンに先を越されている。またこの拳銃は販売の方面までは行かなかった。
特徴としては安全装置の他に、上からマンリッヒャーライフルのようなエンブロッククリップでの装填を行う固定式弾倉、ボルトリリース機能とグリップ内に最大3つ使用済みクリップを貯めておく機能を持っていた。
また作動方式も独特で引き金への圧力を遅延力に変換する。平たく言えば、射手の指で抑え込みブローバックを遅らせるという事である。
特許名は「カール・サルヴァトールとゲオルク・リッター・フォン・ドルムス・リピーティング・ピストル・システム(Repetierpistole System Carl Salvator und Georg Ritter von Dormus)」という名前で、これまで前例のなかった方式という事で開発が難航し、形の違う試作型が20丁出来たと言われている。その中で現存が確認されている最古の物のは1893年製である。
完成したものは1896年にオーストリアの軍事試験に参加するため31丁生産され納入された。しかし、軍は軍隊にとって「複雑すぎる」と判断し当時出されたどの自動拳銃も採用せずラスト&ガッサーリボルバーを採用した。
その理由は装填スペースと銃尾の間で薬莢詰まり、所謂ジャムが起こるためであった。この頃、自動式は殆どの国で見たこともない形式の物であり、手動式で低コストで信頼性を主眼としていた軍としてはあまりに理解しがたい欠点だったのである。
またこの時に設計者の2名はサルヴァトール・ドルムスは他の競合製品から見ても性能が劣っていると実感、プロジェクトを断念したため、現存する拳銃はほとんどない。
数少ない実物は現在コブレンツにあるドイツ連邦軍防衛技術博物館には収蔵されている。
性能
全長 | 229mm |
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銃身長 | 133mm |
重量 | 986g |
使用弾薬 | 8mmドルムス弾(8.1×17.5mm) |
装弾数 | 5 |
口径 | 31口径 |