概要
1895年にそれまでのM1890ライフルの後継としてオーストリア=ハンガリー帝国に制式採用されたボルトアクション式ライフル。
8×50R弾を使用し、1895年の生産開始から1918年のオーストリア=ハンガリー帝国の崩壊までに3,000,000挺以上が生産された。
また軍用モデルとしては珍しいストレートプル(直動式)ボルトアクション方式を採用してることで有名。
第一次世界大戦前から開発したオーストリア=ハンガリー帝国の他にブルガリアやギリシャ、ユーゴスラヴィア等で使用された。
第一次世界大戦ではオーストリア=ハンガリー帝国の主力小銃として終戦まで戦い抜いた。また、一部は同盟国のドイツ帝国やオスマン帝国に供給されている。
終戦後も二分されたオーストリアとハンガリーの陸軍それに戦前扱ってた国々でそれぞれ改良され使用され、また賠償の一環として様々な国へと渡りそこでも使用された。
そうして第二次世界大戦が始まると、オーストリアとしてハンガリーの主力小銃として、また戦前に賠償として給与されていた国の兵士達の相棒としてナチス・ドイツと戦った。
知名度は他の国の主力小銃より一歩引くが戦歴では負けず劣らずの老銃である。
現在ではハンガリー国防軍の儀仗兵が、首都ブダペシュトにあるブダ王宮や大統領官邸での警備の際に使用している。
仕様
全長 | 1,272 mm(M95) | 1,000 mm(M95/30) | 1,087mm(M95/24) |
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銃身長 | 765 mm(M95) | 480 mm(M95/30) | 580 mm(M95/24) |
重量 | 3.779 kg(M95) | 3.36 kg(M95/30) | |
弾薬 | 8 mm×50R弾(M95) | 8 mm×56R弾(M95/30) | 7.92 mm×57 Mauser |
装弾数 | 5発 |
バリエーション
- M95 初期モデル。オーストリア=ハンガリー帝国の制式小銃として、第一次世界大戦を戦った。
- M95/24 ブルガリアとギリシャとユーゴスラヴィアで用いられた派生型。この何れかの国で改良されたのは確かだが、二次大戦時に情報が混線してしまい未だはっきりしていない。仕様としては7.92×57mm弾またそのストリッパークリップを使えるようにエンブロック式から変更し、銃身長を580mmへ短縮させたモデル。
- M95M M95/24に対してユーゴスラヴィアが与えた名称。
- M95/30 戦間期の1930年、分断されたオーストリアとハンガリーがかつてのハプスブルク帝国が遺し、旧式化したM95ライフルを短小銃化と使用弾薬を強力な8×56mmへの変更によって近代改修したモデル。
- M95/35 上述のM95/30ライフルの騎兵用モデル。
ストレートプルボルトアクション
ストレートプルボルトアクション方式とは、通常の回転式ボルトアクション方式の場合、発砲後にコッキングする際にボルトハンドルを起こしてからハンドルを引き、戻す際も起こしたハンドルを倒して薬室を閉鎖させる必要があったが、その回転式のボルトハンドルを起こす動作と倒す動作を省くことで、ボルトハンドルの前後動だけでコッキングを行うボルトアクションの方式。その性質から非常に速い速度のコッキングを可能にし、構造からオートマチック(自動式)への改造も比較的簡単だったが、構造が非常に複雑で強度上の問題もあり、ボルトアクション方式の中では非主流。