概要
19世紀のイギリスの数学者。また、分析哲学者や計算機科学者でもあり、世界で初めてプログラム可能な計算機を構想し「コンピュータの父」と呼ばれている。
メイン画像は彼を基にしたFateシリーズのキャラクター。詳しくは関連タグを参照。
来歴
前半生
産業革命期のイギリスに生まれたチャールズは裕福なら家庭に恵まれ、幼少の頃から機械の仕組みに興味を抱くような子供だった。
10歳のときに生死の狭間を彷徨うほどの発熱を経験し、療養をかねて田舎の学校に通うようになる。
健康を回復したチャールズはホルムウッド・アカデミーに入校し、この学校の蔵書やこの学校で出会ったスティーブン・フリーマン牧師に学んだことにより科学と数学へのあくなき興味に目覚めた。
その後家庭教師に勉学を教わりながら独学で数学の勉強を続けていたチャールスは1810年、ケンブリッジ大学に入学する。
しかしニュートンの時代から殆ど進歩していない大学に失望、自ら解析数学学会を設立し活動した。
卒業後は、対数表の作成や計算機の開発に取り組んだ。また王立協会に所属し、王立天文学会の設立にも携わっている。
“階差機関”の夢
1821年に数表解析作業を命じられたチャールズは手作業で行なっている間違いだらけの計算を見て「こんな計算は蒸気機関にやらせればいい」と思い数日に渡り計算の機械を設計した。この頃からチャールズは蒸気機関を用いて計算をするという発想に魅了され、以後取り憑かれたように蒸気機関を用いた計算機の発明に没頭する。
バベッジの考案した計算機は、階差機関(difference engine)と解析機関(analytical engine)の二つ。
一つ目の計算機である階差機関は、動作原理自体は正しいものの予想をはるかに超える時間と費用がかかることが判ったために放棄されてしまった。
この失敗で一時は研究に対する熱意を失ってしまったチャールズだが、数学に優れた才能を持つエイダ・ラブレスという少女との出会いにより再び熱意を取り戻す。
二つ目の計算機、解析機関は手動で一々数値を入力する必要があった階差機関と違い、演算を指示するカードと数値を指定するカードの二種類からなるパンチカードで制御される筈だった。
これは現在のコンピュータのプログラム方式そのものである。このパンチカードのアイデアはエイダが紡績工場の織り機から得た(当時、図柄のパターンをパンチカードで指示できる自動織機が既に存在していた)。
晩年まで解析機関の設計を改良し続けたが完成することなく79歳で永眠。
没後はその脳味噌が半分がイングランド王立外科医師会に保管され、もう半分がサイエンス・ミュージアムにて展示されている。
解析機関のその後
バベッジの解析機関は完成しなかったが、1991年になってロンドン科学博物館が、残された設計図をもとに解析機関を復元したところ、いくつかの間違いはあったものの、正しく動作した。
これは19世紀当時の技術の精度に合わせて作られており、バベッジのマシンが当時完成していれば動作していたことを証明した。
9年後、サイエンス・ミュージアムはバベッジが階差機関用に設計したプリンターも完成させた。
また、2011年、イギリスの研究者らが解析機関を製作するプロジェクト "Plan 28" を立ち上げた。
バベッジは設計を改良し続け、完了させていなかったため、まずクラウドソーシングによってベースとなる設計を確定させるプロジェクトを開始した。675バイト相当のメモリを持ち、7Hzのクロック周波数相当で動作する予定である。バベッジの没後150周年となる2021年までに完成させることを目標としている
またバベッジの業績は科学界のみならず、SFジャンルの一つであるスチームパンクの隆盛に影響を与えている。
スチームパンク作品の中には階差機関が蒸気駆動のコンピューターとして実用化された設定になっているものも存在し、そうした作品ではバベッジがその発明者として紹介、あるいは本人が登場することもある。代表例としては階差機関そのものを表題としたウィリアム・ギブスンの『ディファレンス・エンジン』が挙げられるだろう。
関連タグ
チャールズ・バベッジ(Fate):彼を基にしたキャラクター(メイン画像)。