概要
デューテリオスとは、怪獣映画「ゴジラvsビオランテ」の原案に記載されていた怪獣である。
同映画は、『帰ってきたウルトラマン』第34話「許されざる命」に登場する怪獣『レオゴン』の原案も手掛けた歯科医、『小林晋一郎』氏の原案によるもので、劇中に登場する怪獣「ビオランテ」とともに設定された。
原案企画におけるビオランテは、「人面が浮かぶ巨大な花の怪獣」であり、ゴジラと直接戦闘させづらい怪獣であった。
そのため、劇中の怪獣バトルを見せるため、そしてビオランテの前座および同類という存在として設定し、劇中に登場させたとの事。
小林晋一郎氏本人によるデザインも残されている。
当然ながら、原案の企画書から実現したのはビオランテのみであり、デューテリオスは劇中および以後のゴジラ作品では、映画およびそれ以外のあらゆる媒体には残念ながら登場していない。
設定では、人間と植物の合成体であるビオランテの開発途中に、実験作として生み出されたネズミと魚の合成生物。その名称も、「(異なる二種の動物の細胞を)重ねる」という意味を込め、「重水素デューテリウム」から想を得て命名された。
怪獣としての概要
身長50m。魚とネズミの合成怪獣。ビオランテの開発時に、試験的に作り出された実験作が逃げ出し、巨大化したもの。あまり重要視はされておらず、製作者である白神博士からは「出来損ない」呼ばわりされていた。
頭部及び上半身は魚、下半身にネズミの形態を有する。魚のように水中を泳ぐ他、地上では四足歩行する。
ネズミの俊敏性も有し、地上では素早く動く事が可能。光線などの飛び道具は有していないが、その敏捷性が最大の武器らしく、長いムチのような尾と前脚を用いて自衛隊の戦闘機すらも叩き落とす事が可能。
水陸両棲で、陸上でも活動可能。しかしその体表には水分が必要で、一定時間で海中に戻らないと乾燥してしまい、死に至る。
その血液は青く、ゴジラは最後にその喉笛を噛み千切り勝利する。
原案における劇中の活躍
夜の伊豆諸島海域に出現。漁船を襲い、その際に「巨大な魚に襲われる」という無線が入る。
航行する巨大タンカーも沈没され、その存在が明らかに。自衛隊により、東京湾より数十キロの海域にて発見され、攻撃を受ける。
自衛隊の攻撃をものともしないが、その最中に復活し出現したゴジラと遭遇。この場は互いに近づかず、そのまま別れた。
後に、大津波とともに横浜港に上陸。それを追って同じく上陸したゴジラと戦いを始める。
横浜港を舞台に戦いを繰り広げ、自衛隊も両者を攻撃。
しかし途中で体表が乾燥し、動きを鈍らせる。
やがて、自衛隊のレーザー砲により尾を吹き飛ばされ、続きゴジラの猛攻を受ける。
喉元を食い破られ、そのまま絶命。夕闇の中、ゴジラは青い血に染まった口から熱線を吐き、斃したデューテリオスの死体とともに周囲を焼き払うのだった。
(ゴジラはこの後、ビオランテの元へと向かい、対決する事になる)
関連タグ
レオゴン:原案者が同じ怪獣。
アンギラス:怪獣としての立ち位置、および能力に相似するところがある。止めの刺され方も似ている。
バガン:ゴジラのゲームに登場した魔獣。84ゴジラ時に没になった「バカン」同様、企画書には書かれていたが没の憂き目になった共通点がある。