概要
ヒンメルとフリーレンは魔王を倒すまで10年の旅を共にした仲間であるが、恋愛関係にあったわけではない。
しかしながら、ヒンメルからは「フリーレンに花冠を贈る」「自分の故郷の花をフリーレンに見せたいと語る」「久遠の愛を象徴する指輪をフリーレンの左手の薬指に嵌める」など、積極的にアプローチしていた形跡がある。
「フリーレンのスカートをめくった小僧に劇中唯一のマジギレ」「フリーレンの色仕掛けに失神」などギャグシーンにすらそれを思わせる描写が混ざっている。
そしてなにより魔族グラオザームに幻影魔法「楽園へと導く魔法」をかけられた際、彼が見た「決して叶わないと諦めた幸せな夢」は、フリーレンとの結婚式だった。
残念ながらフリーレンが恋愛を含む人の感情の機微に絶望的に鈍いため、ヒンメルの想いはまったく気づいてもらえなかった(先述の結婚式の幻影はフリーレンも同時に見ていたのだが、あいにくこの時の彼女は女神の石碑の力で未来の自分と入れ替わっていたため、当時の彼女には知られる事無く終わっている)。
だが勿論、フリーレンにとってもヒンメルは特別な存在だった。ヒンメルが亡くなった際には彼のことをもっと知ろうとしなかった後悔の涙を流し、ヒンメルと出会ったことで「人生が変わった」と語り、もらった指輪は今でも大切にしていることから、それが分かる。
また、9話の幻影鬼という対象の大切だった死者の幻影を見せて獲物を誘い込む魔物の話では、フリーレンの前に現れた幻影が以前は「命乞いする師匠」であったが、ヒンメル死後の現在ではヒンメルが現れており、フリーレンにとってもヒンメルが大切な存在になっていた変化も描写されている。
またアニメ版の主題歌「勇者」の歌詞では、フリーレンからヒンメルへの心情が歌われている。
総評
上述のように恋人同士ではなかった勇者と魔法使い。
だが、師であるフランメを失い、長い時間孤独だったことからただでさえ希薄だった感情が凍てついてしまったフリーレンに手を差し伸べ、仲間達とのくだらなくて思わずくすりと笑ってしまう10年を過ごした先に人間を知りたいと願うきっかけを作り、弟子や新しい仲間と旅に出る未来に繋げたヒンメルの存在は大きく、彼がいなければフリーレンは今も孤独だった。
そして彼からたくさんのものを貰い、笑顔が増えたフリーレンは新しい仲間達と共に天国と呼ばれるオレオールへ向かっている。
今度はもう後悔しないように。
大切な人のことを今度こそ知る為に。
二人の再会を祈るばかりである。