ピアノの森
ぴあののもり
1998年より『ヤングマガジンアッパーズ』（講談社）にて連載。途中、休載や掲載誌廃刊をはさんだ後『モーニング』（同）に移籍。不定期連載の後に長らく休載していたが、2006年12月に連載が再開された。2008年5月に、隔週連載から不定期連載に転換、2015年11月に完結した。単行本は全26巻。コミックス発行部数は600万部以上を誇っている。
第12回（平成20年度）文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。
いわゆる紙面から音楽が聞こえてくるといわれる音楽漫画の名作の一つで、高田純次を初め、芸能界にも数多くの作品ファンがいる。
2021年のショパン国際コンクールで日本人歴代最高位の2位を記録したピアニスト反田恭平は大の漫画好きであり、中学生のときに同作に出会い、多大なる影響を受けたという。そして、アニメ版における阿字野壮介のピアノ演奏担当者でもあったことから、リアルピアノの森と、大きく話題になった。
2007年にアニメーション映画化された。アニメーション制作はマッドハウス。
2018年4月から同年7月初旬にかけてテレビアニメ版が放送された。その後2019年1月下旬から同年4月半ばにかけて第2シリーズが放送されている。2シリーズ合計24話。アニメーション制作は（ガイナックススタジオ→）スタジオガイナ（ガイナックスではないので念のため。なお、ガイナとガイナックスは資本的には関係はない）。
pixivにも公式アカウントを開設している。
町外れの「ピアノの森」で育った少年カイの物語。はじめは楽譜すら読めないカイが周囲を取り巻く人々によりピアニストとしての才能を開花させていく過程を描いている。
舞台の名言はないが、東京から3時間の場所で、かつ中部地方の南側にあり、そこそこの規模の都市で海に面している場所である。
※CVは前者が2007年の劇場版、後者が2018年のTVシリーズ版。
本作の主人公。通称・カイ。天才的なピアノの才能を持つ少年。森の端と呼ばれる劣悪な歓楽街でレイちゃん（怜子）という娼婦の母親の元で育つが、遊び場として使っていた森のピアノで遊んでいるところを阿字野壮介に見つかり、彼から才能を見いだされる。当初は荒削りだったが、自然を感じるピアノと呼ばれ、多くの聴衆を魅了した。
カイの親友であり、ライバルでもある。ピアニスト雨宮修一郎の息子で、幼少から英才教育を受け、ザルツブルグに留学するが、彼をライバル視する余り自分のピアノを忘れるスランプに陥るなど、メンタル面の脆さと嫉妬心の強い闇を背負っている。
かつての天才ピアニスト。交通事故によって婚約者と左手の自由を失い、失意と諦観の中、カイの通う森脇小学校の音楽教師をしていた。活躍期間はほんの短い期間だったが、世界中のピアニストに影響を与えた作品のキーパーソン。
ピアニストを志す少女。第56回全日本ピアノコンクール・中部南地区予選においてカイと出会う。トイレに籠って泣いていたことから海から便所姫という渾名をつけられる。
浪速音楽大学の学長代理というポストに就いている。最初に一ノ瀬海が参加したコンクールの審査員で、当初は基準に従って海に0点を付け彼を落選させた悪者として描かれた。しかし、マリアという演奏（実は世間の目を憚ってバイトしていた海の女装）の演技に魅入られ、知らず知らずのうちに彼のピアノの理解者となっていく。
森の端界隈でなんどもこなす便利屋だからベンさんであり、名前とは関係ない。飄々とした性格で、海や怜子とは親しい。ダルメシアンのてん丸を愛玩している。怜子の5つ年下だが、彼女とはなにか強い絆を持っており、一時は元は夫婦だったのではないかと囁かれていたが、真相は明らかにされていない。
- 岸上冴（きしがみさえ）
一ノ瀬海の彼女で敏腕の彫り師。海がクラブで女装していた時に知り合ったため、混乱させられる。海が森の端の外に出るきっかけを作った人物の一人でもあるが、アニメには登場しなかった。
中国人ピアニストで阿字野壮介を私淑している。引き揚げ者から育てられた貧農で周囲から迫害され育っていたが、幼稚園に置かれていたピアノで才能に目覚める。後に幼稚園を寄贈した血も涙もない権力者バン・ハオの養子となり、彼の名誉のためと自分自身のために阿字野壮介のピアノを奏でていた。当初は鬼気迫るような冷たい演奏と言われていたが、後に阿字野壮介本人に邂逅、彼から評価されたことで生来の温かい心が蘇り、後に一ノ瀬海とも親友となり、阿字野壮介の復活に一役買う。
ポーランド人男性でショパンの生まれ変わりと世間で評されていた人気ピアニスト。ただ、歯に衣を着せない物言いで自信家を装っていたため、コンクールの審査員からは著しく評判が悪く、それで自身の弟子に便宜を図るような組織票のせいで名演に反して予選落ちしてしまう。雨宮修平は彼と邂逅し、実は彼は世間に吹聴している言葉は全てハッタリで、本当はそんな示威的な人物ではないことを把握し、レフに対しても「いったい、彼の何を知っているんだ！」と反論したことがある。同時に雨宮自身の成長にも大きく影響を与えている。
また彼を落としたことが審査員らの黒い癒着を疑われる原因となり、最終的な審査見直しにもつながった。ピアノの腕前は確かで、一般視聴者投票でダントツの首位を獲得し、特別賞を受賞するなどその実力は紛れもなく本物であったことが証明される。
音楽一家で育ったポーランド人の貴公子で、名ピアニストだったディミトリの孫。男性。ポーランドで海と知り合い、一時は彼と意気投合していた。天賦を授かった姉のエミリアに隠れていたが、その姉がバスの事故で意識不明の嗜眠状態となってしまい、彼女の呪縛を解くためにピアノを続けていた。あがり症で、また強迫観念の強さなどでしょっちゅう予選の日程を変更させていた困りものだったが、ポーランド審査員らが彼の活躍に期待していたため、特別に優遇していた。姉譲りの優しく寄り添ったような演奏が売りで、ショパンコンクールで活躍する。
ショパンコンクールで勝ち残った日本人男性。正確無比で非常にバランスの良い演奏を行うが、尊敬する父を追って調律師を目指している。
ドイツ人。見た目は無骨な男なのだが実は女性で、男装している。アグレッシブで力強い演奏を得意としており、同性ファンが多い。
- アレグラ・グラナドス（声：なし/山田唯菜）
アルゼンチン女性。南米の生まれらしく陽気で慌ただしい性格だが、ピアノは流麗かつ情熱的。
- ソフィ・オルメッソン（声：なし/伊瀬茉莉也）
フランス人女性。女優を兼業するほどの美貌の持ち主で、人前ではアクシデントにもめげないほど気丈に振る舞うが、楽屋の裏側では兄に泣きついたりと心の脆さも見せていた。非常に繊細で流麗なピアノを演じる。
アメリカ人。パンチパーマの奇人風の男性。極度のあがり症だが、いざピアノを目の前にすると非常に技巧に富んだ挑戦的な演奏を行う。入賞すれば彼女にプロポーズするつもりでいた。
韓国人男性。いわゆるビッグマウスで、パンの演奏に対しても取るに足らないと評していたが、彼の本気の演奏を聴いてからはライバル意識を持つようになる。兄と比べると口は悪いがナンパな性格で、一ノ瀬海を女性と間違って口説こうとした。兄と比較すると挑戦的なピアノを演じる。
チャンウの兄で弟よりは冷静な性格。また弟と比較すると繊細かつ正統派のピアノを演じ、コンクールの審査員からの評判も良かった。
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