データ
学名フォルスラコス・ロンギシムスは、下顎骨の特徴から「非常に長い皺を持つ(ぼろを纏った)者」を意味する。1887年に命名されたが、当初はアリクイの仲間と考えられた。
ガストルニスと同じく恐鳥類と呼ばれる飛べない鳥で、その中でも特に細身でありヘビクイワシを大型にしたような外見だった。多くの恐鳥類がカモ目に近縁と考えられている中、本種は南米特有のノガンモドキ目というグループから進化したことが判明した。
体高2.5~3メートル・体重130キログラムほどで、アルゼンチンのパタゴニアに棲息していた。近縁種は北米やヨーロッパからも確認されており、代表種としてケレンケンが挙げられる。多くの恐鳥類の食性が肉食か植物食で議論が分かれているが、フォルスラコスの仲間は近縁種のノガンモドキが肉食傾向の強い雑食である事などから、その鋭い嘴や長い脚を活かし他の動物を捕食していた可能性が高い。
哺乳類の多様化と共に、多くの恐鳥類は生存競争に敗れて新生代の早い時期に絶滅したと考えられていたが、約500万年前に出現したフォルスラコスの仲間は約40万年前まで生き延びた。これは、彼らの生息域が他の大陸から孤立していた南米大陸であったためと考えられている。近年の研究では、約1万5000万年前まで生き延びていたとする説もある。