私たちは力を手に入れる……。
どんなに苦しくとも、たとえこの中の誰かが死のうとも……
その屍を踏みしめて少しでも上へ……自由を掴むために!
概要
CV:林真里花
ガレマール帝国の支配下で成長したアラミゴ人。種族はヒューラン(ハイランダー)。19歳。
ガレマール帝国軍第XII軍団筆頭千人隊長。
帝国に忠誠を誓ったアラミゴ人の若者で構成されるアラミゴ方面部隊「髑髏連隊」隊長。
「髑髏の処刑人」の異名で恐れられる。
生い立ち・軍属
幼い頃は両親に甘えたがりで、「教えて、教えて?」が口癖の、無邪気な少女だった。
しかし周囲を取り巻く環境は、彼女を陰惨な運命へと導いていく。
両親はアラミゴがガレマール帝国の属州となった時にいち早く恭順の意を示し、市民権を有する帝国人としての安定した地位を確保した。
これは「アラミゴという国が滅んだ後の、新たな時代を生き抜く為の判断」であったが、しかし同胞たるアラミゴ人からは裏切り者、売国奴として映った。
当時のアラミゴ総督だったガイウス・ヴァン・バエサルに挨拶しに行く道中、暴徒化したアラミゴ人に取り囲まれて投石され、怯えるフォルドラを庇って父親は激しく傷つけられる。居合わせた帝国軍将校は助けを求める母親を無視し、「現地人のガス抜きにちょうどいい」として放置。これが元となり、フォルドラの父親は命を失った。
優しかった父の死、悲嘆に暮れる母の姿。それは幼いフォルドラの心を深く傷つけた。
生きる理由さえ解らなくなった彼女が、とある出会いと別れを経て決意を固めるまでの物語は「黎明秘話」第三話「茜の空に華と散る」にて語られている。
そこである人物の最期の様子が判明し、因果の皮肉にくずおれるヒカセンが続出した。
帝国の支配下で、帝国式の教育を受けて育ったにもかかわらず、「蛮族」として扱われるという屈辱。
フォルドラはそれを幼馴染と共に共有しつつ成長し、帝国人として生きるしかないアラミゴ人の地位を向上させたいと強く願うようになる。
そして自らの顔に、かつて父が入れていたのと同じアラミゴ伝統の刺青を施すと、母の反対を振り切り、幼馴染であるアンスフリッド、フルドルフ、エメリンと共に帝国軍に入隊。ここに「髑髏連隊」は結成される。
なおこうした現地人の徴用部隊は、既にガイウスが統治する時代から運用されていた。
「帝国に支配された属州に生まれてしまったのなら、
自らの血であがなって自由を勝ち取るしかない」
そうした強い想いから帝国に忠誠を誓い、帝国に反旗を翻すアラミゴ人を反乱分子と見なして厳しく弾圧。最前線で戦い続けていた。
「紅蓮のリベレーター」
「バエサルの長城」における神龍とオメガの壮絶な戦いの後、光の戦士と暁の血盟は、エオルゼア軍事同盟およびアラミゴ解放軍からの要請を受けて参戦。
グリーンワート率いる部隊との初戦の後、部隊全滅の報を受けて軍議を開いたゼノスに対し、かねてよりラールガーズリーチに内偵を入れていたフォルドラは、直接アラミゴ解放軍を叩く事を進言する。
ゼノス自らが軍を率いてラールガーズリーチを強襲した際にもこれに従い、解放軍のメッフリッドを斬り捨てた。直後に光の戦士と初めて剣を交えるが、この時点でその強さに驚愕する。
この戦いでは、ゼノスが早々に興味を失い撤退した為に決着はつかなかった。しかしアラミゴ解放軍は甚大な被害を受け、敵の本拠地の強襲を進言した功により、フォルドラおよび髑髏連隊の地位は大きく向上する。
アラミゴ解放軍が立て直しをはかる間、光の戦士と暁の血盟は時間稼ぎおよび新たな援軍を求め、東方へと向かう。一方、アラミゴに残って傷病兵の看護に当たっていたクルルは、移動中に髑髏連隊の強襲を受けて捕らわれの身となってしまう。
「超える力」を人為的に付与した「超越者」を作る人体実験の準備が進む中、髑髏連隊はカステッルム・ベロッジナ防衛隊に配備。しかし「戦場の演出家」ラウバーンの見事な采配によってカステッルム・ベロッジナはエオルゼア・アラミゴ連合軍の手に落ち、フォルドラも駆けつけた光の戦士によって撤退を余儀なくされる。
この失態によって帝国軍将校らから聞くに堪えない言葉で嘲笑され、屈辱に耐えるフォルドラ。しかしゼノスはそんな彼女の灼けつくような妄執に目をつける。
力が……。
力が欲しい……
私を罵るすべての者をねじ伏せるだけの力が……!
こうしてフォルドラは「超越者」となる為の実験に参加。被検体第一号として、人為的に「超える力」を付与される。
超人的な戦闘能力を得たフォルドラは、次に連合軍が攻略を開始したスペキュラ・インペラトリスの戦いへの出陣を願い出る。しかしゼノスから受けた指示により、カストルム・アバニアの大口径カノン砲によってスペキュラ・インペラトリスを砲撃。エオルゼア・アラミゴ連合軍を友軍もろとも壊滅させた。
この時彼女の同胞だった「髑髏連隊」はスペキュラ・インペラトリスのタワーに籠城して抗戦していたが、アラミゴ解放軍のコンラッドによる「同じアラミゴ人同士で殺しあうべきではない」という必死の説得を受けて降伏しようとしていた。
つまりフォルドラは、自らの手で仲間を殺したのである。
しかしいくら逆らえぬ相手に命じられたからとはいえ、過去に誓いを結び、共に戦った仲間を殺したという自責の念は強かった。更には自分で制御できない「超える力」によって、彼らの最期を手に取るように追体験させられ、激しく苦悩する。
しかしその想いを自ら断ち切り、カストルム・アバニアにて光の戦士一行と対峙したフォルドラは、アリゼーの攻撃を読み切った上で重傷を負わせる。そして一行に「ゼノスが催す『狩り』への招待」を告げてその場を去った。
急激に強くなったフォルドラについて、救出されたクルルから「超越者」の事を知らされた暁の賢人達は対策を講じる。
一報を受けて駆けつけたウリエンジェから、かつてムーンブリダが製作した「エーテルジャマー」の改良版を渡された光の戦士は、フォルドラと再度対峙。エーテルジャマーによって強制的なエーテル酔いを起こさせる事に成功する。激しく苦しみながらもフォルドラは抵抗したが、リセに取り押さえられて生け捕りとされた。
今更情けをかけるつもりかと嘲笑うフォルドラに対し、リセは「コンラッドやメッフリッドを殺したお前が憎い」と叩きつけ、その上で「同じアラミゴ人であるお前をこのまま殺すような正義を、アタシは持ち合わせてはいない」「アタシが造りたいのは、すべてのアラミゴ人のための国なんだ!」と宣言する。
アラミゴ王宮での決戦の後、帝国の支配から解放されたアラミゴ人達は、かつての王政とは異なる「新たな国作り」へと歩み出す。
一方で捕虜となったフォルドラ、および壊滅した髑髏連隊に対する感情は憎悪の極みとなっており、死刑を求める声が多数上がった。
しかし様々な理由からリセを初めとした解放軍はその処遇を決めかね、またアレンヴァルドは「超える力」によってフォルドラの過去を見た事、同年代のアラミゴ人である事を理由とし、彼女への極刑を望む者との間で悩み続けていた。
そのフォルドラは牢獄の中で、自分が手にかけた友や帝国軍兵士、今まで虐げてきたアラミゴ人の憎しみと恐怖の記憶を「超える力」によって追体験するという苦しみの中にあり、あれほど求めた「力」が結局は無為だった事に絶望し、沈黙の内に死を待ち続けていた。
そんな折、アラミゴの代表者会議の席で、美神ラクシュミのテンパードだったアナンタ族カリヤナ派の族長が暴走。蛮神が召喚されて大混乱する中、テンパード化される懸念のない光の戦士、アレンヴァルドが盾となり代表者達を守る。
その場を任せたリセは牢獄へと走り、フォルドラを説得。フォルドラは「友をはじめとした数多の犠牲の上に獲得してしまった異能」をただ一度だけ使う事を決断すると、剣を手に駆けつけ、三人でラクシュミを討滅する事に成功した。
その場に居合わせた代表者たちの記憶に触れて苦しみつつ、牢獄に戻ろうとするフォルドラ。
その背中に対し、アラガーナの村長ラガンフリッドは「お前と髑髏連隊がやってきた事は許せない」と告げた上で「今日、この場で我々を助けてくれた事を感謝する」と礼を述べる。
その言葉にフォルドラは涙を流し、その場を去るのだった。
この出来事を受け、ラウバーンは「囚人部隊」の結成を決定。
脱走すれば命を奪う魔法の「首輪」をつけられたフォルドラはその体質を生かし、対蛮神戦の貴重な戦力として、主にザナラーン方面にてアレンヴァルドと共に戦うようになる。この様子は「紅蓮秘話」第7話「罪人の戦」にて語られている。
アレンヴァルドに対しては素っ気なく大概は無視するものの、それでも随分変わったと当人からはコメントされている。
余談だが、とあるクエストにてフォルドラ以外全員死亡したと思われていた髑髏連隊の一人、フルドルフの生存が明かされている。
生き残ったのは偶然らしく、タワー崩壊の際瓦礫に僅かな隙間があり、奇跡的に気を失う程度で済んだとのこと。
その後は味方殺しの帝国軍からも、捕まれば処刑されるであろう解放軍からも逃げ、仮面を外し難民に紛れ込んで生活していた。
だがある時、自分達を説得してくれたコンラッド隊長の死を噂で耳にし、せめて裁きが下されるまでは自分にできることをしようと、反乱分子狩りの対象として覚えていたコンラッドの妻、グレーデに手伝いを申し出る。
その際自分から正体を明かしており、グレーデは「正直な人」「夫が説得して生き残ったのなら、これも何かの縁」だとして、申し出を受け入れたのだった。
クエスト中、戦没者遺族のための給付金を渡すため、解放軍の闘士メ・ナーゴと彼女の事業をサポートしていた冒険者がグレーデの元を訪れた際、メ・ナーゴが声から彼の正体に気付くと、上述の経緯を話し裁きを受け入れることを決意。
しかしメ・ナーゴはそれを断り、フルドルフの正体を口外しないと決める。
困惑するフルドルフに、メ・ナーゴは「誰かが矛を収めなければ復讐の連鎖は終わらない」として、これからもグレーデの助けになるよう願うのだった。
「漆黒のヴィランズ」
メインクエストおよびロールクエストクリア後に解放される、召喚士のLv80クエストにて登場。
不滅隊・召喚士部隊のジャジャサム少闘士は、対蛮神戦で共に戦うフォルドラとアレンヴァルドについて「彼らを最前線に無理やり立たせ、自分達は後方支援に回る」事について気にかけており、光の戦士は二人に話を聞きに行く事となる。
ジャジャサムの懸念についてフォルドラは「馬鹿馬鹿しい」と一蹴。「自分の力は多くの犠牲を払って得た力で、背負いきれないものを背負ってしまった」と語り、「連中の犠牲を無駄にしない為に、多少なりともマシに使いたい」という想いを告げるのだった。
その後、パッチ5.5にて久々の再登場。
各地に突如として出現した「終末の塔」の調査の為、フォルドラはアレンヴァルドと共にパガルザンの塔へと向かう。そこで見たのは無数のアマルジャ族が拘束されて壁に埋め込まれている、異様な光景だった。
そして塔の機構が発動し、漆黒の蛮神・ルナイフリートが顕現。咄嗟にフォルドラの危機を庇ったアレンヴァルドは瀕死の重傷を負い、2人は撤退を余儀なくされる。
ウルダハのフロンデール薬学院に担ぎ込まれたアレンヴァルドは、予断を許さない状況にあった。
知らせを受けて駆けつけたアルフィノは何もできなかった事を強く後悔するが、甘いとも取れるその姿勢に対し、フォルドラは辛辣な言葉を投げる。
お前が……いや、たとえそこの英雄がいたところで、すべての生命が救えるわけじゃない!
人は死ぬ……理不尽に。
自ら剣を手にしたなら、なおさらだ!
「救う相手を選ぶことさえできないと、その甘さにいつか自分も殺される」と告げるフォルドラに対し、傍らで聞いていたエスティニアンは同意しつつも、かの英雄が「叶うとも知れない、馬鹿みたいな理想を最後まで貫き通せる奴」と評する。
これに対してフォルドラは
皆が英雄になれるわけじゃない。
このままじゃ、あいつらはいつか全滅するぞ。
そうしたら、先に死んだヤツらの想いはどこにいく……?
消えてなくなるだけだ……!
と語り、彼女が自らの罪として背負い続ける友への想いを強く窺い知る事が出来る。
その後アレンヴァルドは意識を回復。しかし両足の機能を失い、戦場に立つことは出来なくなってしまった。
車椅子姿でグリダニアにかけつけ、迷うアルフィノの背中を押すアレンヴァルド。
彼をここまで連れてきたフォルドラは仏頂面で二人のやり取りを聞いた後、事情が事情だけに落ち込むアレンヴァルドにこう告げるのだった。
……お前は、存外に狭量な英雄像を抱いていたのだな。
戦場に立つ勇猛さだけが、英雄の条件か?
剣を手に斬り結ぶだけが、誰かのための戦いなのか?
折れた剣に込めていた夢はアイツに託した。
なら、今度は……違うかたちの英雄を目指せばいいだけだろう?
アレンヴァルドは「フォルドラは厳しいな」と言って苦笑すると、隠居するつもりはなく、また力を貸して欲しいと願う。
そして「今の俺が目指すべき英雄のかたち」を見つける事を誓い、物語は「暁月のフィナーレ」へと続く。
「暁月のフィナーレ」(ネタバレ注意)
Lv85から解放されるジョブのロールクエストのうち、ヒーラーのロールクエストに登場。
「偽神獣」出現という問題と、帝国支配の記憶に苦しむアラミゴ人達を巡り、物語が展開する。
「獣」出現の報を受けて駆けつけて女の子を救出するも、その母親から反射的に「その子に近づかないで!」と叫ばれ、「髑髏の処刑人」であった過去は消えないと実感してしまうフォルドラ。母親は思わずそんな言葉を投げてしまった事を強く悔やむが、そうした負の感情の蓄積は、徐々にフォルドラを追い詰めていく。
トドメとなったのが、アラミゴに出現した大型の「獣」=「偽神獣」の正体が、幼馴染であり髑髏連隊の仲間だったアンスフリッドの弟・チャーレットの成れの果てという事実だった。
時代と環境がそうさせたとは言えど、身内が同胞を傷つけた事実を抱えた髑髏連隊の遺族は、自責の念から絶望を抱えて次々と「獣」と化していた。生来の優しさから兵士になる道を選べなかったチャーレットも例外ではなく、怪物となり果ててしまったのだ。
フォルドラも絶望から「獣」になりかけるが、彼女に助けられる形となったメ・ナーゴから「逃げるな!」と叱責される。
まだ言葉を交わしていない、理解もしていない、その機会を自分から手放す事は許さないという言葉に背を押され、フォルドラは初めて光の戦士に「力を貸してほしい」と願い、ずっと一人で苦しんできたチャーレットを眠らせる為に剣を手にした。
戦いの末に「偽神獣」は討伐。
フォルドラは光の中に立つかつての仲間達と向き合い、別れを告げて見送った。そして光の戦士に「ありがとう」と告げ、車椅子で現場に駆けつけたアレンヴァルドとハイタッチする。
もはや彼女に「首輪」は必要ないとラウバーンも考えを明かし、髑髏連隊を含めた戦争の犠牲者の追悼式典にアラミゴの代表者達が参加する未来を示唆して、クエストは終了する。