プラグインハイブリッド
ぷらぐいんはいぶりっど
略称はトヨタは"PHV"、三菱は"PHEV"などメーカーによって微妙に表記が異なる。
電力網からコンセントなどを通じて直接充電が可能なハイブリッド車。電気自動車のように充電プラグと大容量バッテリーを備えつつも、一般的なハイブリッドカーのようにエンジンで発電しながら長距離を走ることもできる。車種によっては、パワフルなエンジンとモーターの両方を使った加速でスポーツカー顔負けの速さを見せることもできる。
電気自動車に乗りたいけど航続距離が心配な人や、電気とガソリンでパワフルに走りたい人、日常は近所にしか行かないが、たまに遠出をする人などに向いている。
なお同じくエンジンで発電しながらモーターで走る「シリーズ式ハイブリッド」や「レンジエクステンダーEV」があるが、前者はエンジンの発電で全てを賄うもので、後者は逆に充電式EV(電気自動車)がメインでエンジンの発電はサブであり、ハイブリッドがメインでEVはサブの選択肢であるプラグインハイブリッドとはいずれも区別される。
ハイブリッドカーは減速時の運動エネルギーを回収したり、エンジンが回転している間発電も同時にして比較的小容量なバッテリーに蓄え、発進・加速時のアシストに用いる。電気のみで走行可能な場合もあるが、発進時や低速走行時のみである。
一方プラグインハイブリッドカーは満充電しておけばそこそこの長距離を電気のみで走行可能。例えばプリウスの場合、平坦な道でEVモードで走行可能な距離はせいぜい数百m程度しかないが、プラグインハイブリッドのプリウスPHVの場合は最大68kmに及ぶ。通勤と週末の買い物程度であればガソリンを一切消費しないで済ませることができる。
その分ハイブリッドカーに比べ高価であり、車重も大容量バッテリーの分だけ重く、車両サイズも大柄なものに限られる。車種選択という観点からは、大容量バッテリーを収容できるだけの大きな車体も必要となるので、Bセグメント以下のコンパクトなPHEVは2021年時点では選べず、またCセグメント以上でもPHEVのある車種は極めて少ないので、PHEVありきでの選択の幅はかなり狭められる。こうした事情から多くのPHEVは高級車の価格帯で販売されるもので、露悪的な言い方をすると「贅沢品」である。
またガレージと充電設備を家に備えていない場合は寝ている間に充電できず、昼間にわざわざ電気ステーションで時間を潰す必要がある。それを面倒がって充電をしないのならそもそもPHEVであるメリットがない。
なお初期のPHEVは、1500W給電コンセントによってアウトドアや非常用電源として使えることを売り文句にしていたが、現在は一般的なハイブリッドカーでもコンセントを装備できるものが増えているため、PHEV特有のメリットではなくなってしまっている。
以上から、数あるハイブリッドカーの一種と考えると、PHEVは少々人を選ぶ選択肢だと言える。
純粋な電気自動車(BEV)は航続距離が少なく充電に時間がかかる上、電気ステーションも限られるため、いざというとき混雑してて困ることが珍しくない。その点プラグインハイブリッドは普通のハイブリッド車としてガソリンを消費しながら走行を続けられるのである。
加えて電気自動車は高速域でのエネルギー効率に難がある(高速での効率改善のため変速機を積んでいるモデルもあるが)ため、高速道路を多用する人にはエンジンを積むプラグインハイブリッドの方が向いている。
「BEVが欲しいけど、遠出が不安」という人にとって、PHEVはまさに打ってつけの選択肢と言えるだろう。