概要
幻夢境のムナールの近くのサルナスの廃墟に棲息している。
外見は緑がかった青い体色を持つ3.5メートルあるイグアナに似ており、金属のような鱗を持ち、黄緑色の目に下顎には髭を生やし、背鰭はカミソリのように鋭く、尻尾は平べったい。
性格は、比較的に温厚だが、一度怒らせるとその怒りは何世紀も続き、怒らせた者の子孫にまで怒りの矛先を向けるという。
スーム=ハーを滅ぼしたサルナスの人間たちに激しい怒りを燃やし、彼らの街を一晩で滅ぼしたという。
その破壊は余りにも徹底的なもので、人命や建築物は元より、地下に眠る金鉱脈と言ったものの痕跡さえも残らなかった。
初出はブライアン・ラムレイの『大いなる帰還』だが、ラヴクラフトの短編『サルナスの滅亡』で名前だけ仄めかされた存在を後にラムレイが構想を膨らませたもの。
サルナスの滅亡
ボクルグは、人類が誕生する以前に繁栄したイブの生物(スーム=ハー)に崇拝されていたが、後からムナールにやって来た人間のサルナスの民によって滅ぼされた。
スーム=ハーを絶滅させると人間は、サルナスを建設し、そこから採掘される宝石や貴金属によって巨万の富を得、この都市が人類の誇りといわれるまで讃えられた。
その一方、戦利品として奪ったはずのボクルグの像が消え、大神官タラン=イシュが怪死し、千年後にサルナスが滅亡すると予言した。
しばらくの間、神官たちはこの予言を真剣に受け止めていたが次第に記憶があいまいになり、忘れ去られたのだが毎年繰り返されていたスーム=ハーを滅ぼした記念の祭りの日に突如、謎の災害が起こり、サルナスは一夜で滅びた。
かくして1万年前にサルナスが滅亡して以後、ボクルグは、ムナールのイラーネクの人々に崇拝されるようになった。
過去
クトゥルフ神話の神には珍しく、詳細に過去が明かされている。
それによると、幼少期は人間と変わりない風貌をしており、生まれた直後は故郷の幻夢境ではなく、人間の世界で生活し、完全に覚醒した際に故郷へと帰還し、前述のイグアナめいた姿となったとされる。
クトゥルフの雛形
ラヴクラフトの短編『サルナスの滅亡』は、夢を元に作られたとされ、人外の知的生物と彼らの崇拝する異形の神という関係性は、後のクトゥルフと深き者共に似ていることが指摘される。
また『サルナスの滅亡』の段階では、サルナスの廃墟もムナールも夢の世界、現実の世界、地球外の地のいずれとも明言されていなかったが『未知なるカダスを夢に求めて』において幻夢境の土地であると設定された。