概要
汚物が落下する擬音語を用いた名称。そのため、本来は汲み取り式便所だけでなく、汚物が川や海などに物理的に落下する方式(古事記にそのタイプの「かわや」が登場する)の便所も指していると考えられるが、実際にはそのような便所が少ないため、事実上は汚物が直接落下する汲み取り式便所の俗称だろう。
特徴
通常は便器の後ろ側半分に穴が開いていて、そこから汚物が落下する。しかし、便器全体に穴が開いているものも稀にあり、それらをブラックホールと呼ぶことがある。
なお、便器から便壺までが2メートルを超すトイレでやる場合、まず「ものが風を切る音」が聴こえるそうである。
当たり前だが、うっかり物を落としてしまうと大変なことになるのでスマホなどを持ったまま使用する場合は要注意。ギャグ漫画などでは人が落下してしまうこともあるが、そうなると目も当てられない。
安全、衛生面で問題があるため、今日では下水道未整備区域のボットン便所も多くが簡易水洗に改装されるか浄化槽設置の上水洗化されており、今でも使われているものは少ない。
便槽の汚物がそのまま見える状態なので、衛生的な水洗便所を使い慣れた現代人が使う場合の精神的なキツさは相当なもの。汚物とトイレが直結しているので、ものすごい悪臭が充満している…ように思われるが、そこまで臭くはない。これは「臭突」と呼ばれる排気筒と、その先端に取り付ける換気扇「トイレファン」から悪臭を抜いているためである。また、和式タイプは便座から臭いが上がって来ないように、大きめの蓋を被せておく場合もあった。
鉄道車両のボットン便所
今でこそ鉄道車両のトイレには汚物をためるタンクがあるものの、国鉄時代は排泄物は外へ垂れ流すまんまボットン式であった。
排出した汚物は走行中に自然飛散したが、停車中(およびトンネルの中)は直下に流下してしまうため使用は禁止にしていた。
しかし飛散した汚物が沿線住民に悪臭などの被害をもたらしたり、線路の保守に手間がかかったりしたことから、黄害と呼ばれる問題となった。そのため汚物処理装置の設置がすすめられたが、重量が予想以上に増加しけん引定数が低下した実例もある。意外にコストがかかり重量があるのだ。
簡易水洗
下水道が完備されていない地域でも浄化槽を設置して水洗トイレを使うこともできるが、設置や維持管理にコストがかかるのが難点である。そこで、汲み取り式の仕組みを利用し水洗トイレのシステムを採り入れたのが簡易水洗である。
見た目は一般的な水洗トイレと変わらないが便器自体に違いがあり、排水口にあたる部分が蓋のようになっており、水を流すか汚物の重さで開閉するようになっている。
大体一回につき少量の水で流せる為、普通の水洗トイレよりは少なくて済むが、そもそも汲み取り式のままなので、あまり大量に水を使いすぎると便槽が満杯になり汲み取り口から溢れ出るという悲惨な光景になるので注意が必要。また、汲み取り回数が増える原因にもなる。こちらも先述の「臭突」をきちんと設置する必要がある。
通常の汲み取り式に比べて衛生的で、落下事故や悪臭のシャットアウトや穴から汚物が見える事がないのがメリット。パーツの取替えでそのまま水洗トイレになるものもある。
バイオトイレ
下水道も無ければ汲み取りもできない所で活躍するトイレ。主に屎尿の搬出が難しい山小屋で活用される。水ではなく細かく粉砕したオガクズを用いる。使用後はスイッチで攪拌して外の発酵タンクに送られる。そこではバクテリアによる分解で水と堆肥に代わり、肥料としてそのまま使えるという利点がある。いわゆる生ゴミ処理で使われる「コンポスト」と仕組みはほぼ同じ。
表記揺れ
スットン便所 ドッポン便所 ドボン便所 ポッチャントイレ ポットン便所
関連タグ
昭和ノスタルジー…昭和を懐かしむ人でも、「あのボットン便所はご免」という人は多い。
Panasonic…簡易水洗「クリーンスイセン」の他、松下電工時代に「クリーントイレ」という無臭ボットン便所を製造販売していた。
積水…現在でも簡易水洗「セキスイリプレット」と無臭ボットン便所を製造販売している。