概要
ベトナム人少女が元GI(アメリカ軍兵士)の父親の待つアメリカへ出発しようとしている写真から着想を得て創作された。ジャコモ・プッチーニ作イタリア・オペラ『蝶々夫人』と、その着想のもととなったフランスのピエール・ロティの小説『お菊さん(Madame Chrysanthème)』をストーリーのベースにしている。
ベトナム戦争末期のサイゴンの売春バーで働くベトナム人少女キムとアメリカ大使館で軍属運転手を務めるクリスの悲恋が描かれている。
魅力的な楽曲は、吹奏楽版アレンジやフィギュアスケートの演目としてもよく知られる。
ストーリー
ベトナム戦争末期、両親を失った少女キムは陥落直前のサイゴン(現在のホー・チ・ミン市)でフランス系ベトナム人のエンジニアが経営するキャバレーでアメリカ兵クリスと出会い、恋に落ちる。
お互いに永遠の愛を誓いながらも、サイゴン陥落の混乱の中、米兵救出のヘリコプターの轟音は無情にも二人を引き裂いていく。
クリスはアメリカに帰国した後、エレンと結婚するが、キムを想い悪夢にうなされる日々が続いていた。一方、エンジニアと共に国境を越えてバンコクに逃れたキムはクリスとの子タムを育てながら、いつの日かクリスが迎えに来てくれることを信じ、懸命に生きていた。
そんな中、戦友ジョンからタムの存在を知らされたクリスは、エレンと共にバンコクに向かう。クリスが迎えに来てくれた−−−心弾ませホテルに向かったキムは、そこでエレンと出会う。
したたかに“アメリカン・ドリーム”を追い求めるエンジニアに運命の糸を操られ、彼らの想いは複雑に交錯する。そしてキムは、愛する息子タムのために、ある決意を固めるのだった−−−。
(ミュージカル「ミス・サイゴン」公式サイトより)
主な登場人物
- キム
本作のヒロイン。南ベトナムの田舎の村に住んでいたが、ベトコンに家族を殺され、家を焼かれ、17歳にしてエンジニアが経営するサイゴンの売春宿で働くことになる。そこでクリスと出会い、愛を誓う。
サイゴン陥落後にクリスとの息子・タムを産み、再びクリスに会える日を待ち望みながら一人タムを育てる。
- エンジニア
- クリス
サイゴンでの悪夢がよみがえり、つらい日々を過ごしながらも、新しい生活を送ることを決意しキムが自分の息子を産んでいるとは知らずにエレンと結婚する。
- ジョン
- エレン
- トゥイ
- ジジ
主な楽曲
- 序曲 ・・・ヘリコプターの音、重厚感のある低音部、軽快な高音部の組み合わせが印象的。オーボエによって奏でられる主旋律を聞いたことがある人も多いだろう。
- サン・アンド・ムーン ・・・キムとクリスが初めて出会った夜、恋に落ちた二人が歌うデュエット。
- 世界が終わる夜のように ・・・キムとクリスの二人が仮の結婚パーティーを開いた後、改めて愛を誓い合って歌うデュエット。
- 今も信じてるわ ・・・ベトナムでクリスを待ち続けるキム・アメリカでクリスと結婚したエレンが、それぞれ「いつかクリスが帰ってくる」「いつかクリスが心を開いてくれる」と信じて歌うデュエット。
- 命をあげよう ・・・一幕の終盤、息子・タムを抱えたキムが何があってもタムを守りぬくことを決意して歌う。日本初演のキム役・本田美奈子による歌唱が特に有名。
- アメリカン・ドリーム ・・・二幕の終盤、エンジニアがアメリカ行きの夢を歌い上げるビッグナンバー。エンジニアの思い描くアメリカでのきらびやかな生活が舞台上に現れるさまは実に豪華である。
関連イラスト
外部リンク
ミス・サイゴン - wikipedia
帝国劇場 ミュージカル『ミス・サイゴン』公式サイト