概要
10~11世紀に書かれた、マレー王国およびケダ王国の歴史書『ヒカヤット・メロン・マハワン』に記述されている、ケダ州にあるバリンの街の由来の物語に登場する人物で、ラジャ・ベルシオンとは「毒牙がある王」という意味である。
この王は大きな毒牙が生えた冷酷な吸血鬼であり、この地に住む人々の血を吸うばかりか王家に仕える召使いを殺しては喰っていた。
召使いたちはそんな境遇に反発し、ついには王が住むメルバウ(Merbau:材木になる樹木の一種)宮殿に焼き討ちを掛けた。
燃え上がる宮殿から、命からがら逃げ出した王は、ブジャン谷にあるケダ州の古城バリン(Baling:投げる)に着くと、全ての元凶であった毒牙をおもむろにねじ折ると、シオン(Siong:毒牙)宮殿に投げ捨てた。
現在のケダ州にあるバリンの街とシオンという地区は宮殿があった場所であり、メルバウ宮殿は王の行動から、その後メルバウ・プラス(Merbau Pulas:メルバウ・ねじる)と呼ばれるようになったのだという。