何かに取り憑かれたり狙われたり付きまとわれたりしたら、マジで洒落にならんことを最初に言っておく。
概要
ある日「俺」は友人である〇〇から「怪異を呼び寄せる儀式」を教えられるが、ふとした思い付きから実行してしまう。
その瞬間に現れた怪異と、現在に至るまでの二年半における体験を「俺」の視点から描いた物語である。リアルとは特定の怪異のことではなく、この物語その物を表現する言葉とも言える。
登場人物
「俺」
本作における主人公であり、語り部。物語の始まり(二年半前)は23歳の社会人一年生であり、金と若さを持て余し好奇心から様々な心霊スポットを巡っていた。
作中では第三者からTとも呼ばれている。
〇〇
主人公の友人。東北地方出身で、様々なことに造詣が深く知り合いも多い。彼が何気なく「俺」に教えた儀式が物語の始まりとなる。友人を巻き込んでしまったことに責任を感じ、奔走することになる。
林
○○の友人から紹介された霊能者。30代後半くらいのチンピラ風の男性。おそらくは偽名とのこと。
主人公と家族に大金を要求し除霊を行うが、その最中に怪異と対峙して逃亡する。
S先生
母方の祖母が世話になっている寺の住職を務める尼僧。確かな実力と諭すような穏やかな物腰は、怪異の存在に擦り切れた主人公の心を癒していった。
本作の怪異
他の有名な洒落怖エピソードのように名称や由来が明らかになっているわけではなく、詳細は全く不明。
作中の描写では身長160㎝ほど、白装束を纏い、顔は腰まである髪がかかってるばかりか、何枚ものお札が貼られまったく見えない。
ヘドロのような物凄い臭いを放つ痕跡を残す。
S先生によれば悪霊のように悪意を持っているわけではないが、その強すぎる力ゆえ主人公に悪影響を与えているらしいが・・・・・・?
余談
インターネット上では作中の儀式について「鏡の前でお辞儀して右を向く」と言われることもあるが、作中では「鏡の前で△をしたまま右を見ると◆が来る」と語られており詳細は不明。ただし「体勢的にちょっとお辞儀をしているような格好になる」「偶々揃っちゃうと起きるんじゃないか」とも言われており、「偶然にも起きかねないのでは・・・」という不安が本作の恐怖を煽っている。
恐怖の泉「リアル」(外部リンク)
(この先物語に関わる重大なネタバレがあります!未読の方は閲覧をお控えください)
結末
S先生の尽力により日常を取り戻した「俺」であったが、作中の二ヶ月前(始まりから二年と三ヶ月後)にS先生が他界。そして「俺」へと託された手紙には
「あまりにも辛かったら、仏様に身を委ねなさい」
「本当に悪いモノはね、ゆっくりと時間をかけて苦しめるの」
などと、恐怖はまだ終わっていないのではとも思える言葉が記されていた。
そして物語の終盤にて、語り部である「俺」は読者に嘘をついていたことを謝罪する。
それは物語を円滑に表現するために織り交ぜた幾つもの小さな嘘ではなく、物語を根本的に揺るがしかねないたった一つの嘘についてであった。
「俺は〇〇だよ。」
「悔やんでも悔やみきれない」という言葉で締めくくる「〇〇」の後悔と共に物語は終わる。