リオンクール戦記
りおんくーるせんき
平凡な人生を歩んだサラリーマン田中。
彼は41才という短い人生を終えた……はずだった。
だが気がつけば、彼が立っていたのは『中世ヨーロッパ風』の世界だった。
中世とは暖炉も無く、食事は手づかみ、挙句の果てには都市で豚を放し飼い……豚は何を食べてるのかって? ウンコですよ。
田中はこの厳しい世界で、「バリアン・ド・リオンクール」として第二の人生を歩む。
平凡なサラリーマンは生き残れるのか?
「リオンクール戦記」とは「小説家になろう」で2017年7月9日から
2019年2月9日まで小倉ひろあき氏により投稿されたウェブ小説作品。全166話で完結済み。旧題は「田中タダシ(41)建国記 『中世ヨーロッパ風なんてキツすぎる!』」。
ツギクルブックスより書籍化、バンブー・コミックスよりコミカライズされている。
異世界に転生した主人公が立身出世し、やがて王となるストーリー。
史実の中世時代のヨーロッパに近い文明・文化を持つ世界が舞台となっており、時代考証を作中の描写に落とし込んだのが最大の特徴で、近世的ないわゆる「剣と魔法の中世ヨーロッパ風異世界」とは一線を画した、真に迫ったやたらと解像度の高い「中世」描写が特徴。
為政者の治世や、当時の価値観、戦争前後の準備や戦後処理なども事細かに描写しており、敵対者の処刑や敵地での略奪や虐殺、強姦など戦争の負の部分も前面に押し出した、泥臭く重厚な架空戦記作品である。
世界観は同作者の他作品と共有しているらしく、『猟犬クリフ~とある冒険者の生涯』や『【ダンジョン公社、求人のお知らせ】 勤務地、72号ダンジョン。 オープニングスタッフ募集中。 未経験OK、アットホームな職場です。』、『駆けろ雑兵〜ガストン卿出世譚』などでも地名や人名が話題に登ることがある。
- バリアン・ド・リオンクール
本作の主人公。伯爵家リオンクール家の次男。父ルドルフ、母シュリエンヌのもとに生まれ、5歳年上の兄ロベールがいる。7歳のときに前世の「田中正」の記憶を思い出し、同時にそれまでの記憶を失ってしまった。
幼少期は前世の記憶に引きずられ大人しく温厚な性格であったが、戦乱の世で生きていくうちに様々な出来事に触れ、また身体も成長していくのに合わせ残忍で狡猾、そして非常に好色な本性が現れ始める。
家族を始めとして身の回りの人間に対しては非常に親愛を寄せており、リオンクール領を豊かにすること、そこに住まう人々を幸せにすることが自身の使命だと考えている。
戦場で巨大なメイスを持って暴れ回る、悪魔のような猛将でもあったが、文化の振興や制度革新と領土拡張などの偉業を成した王として、没後も各地に逸話が伝わっている。
- 田中 正(たなか ただし)
主人公の前世。日本人で妻と二人の子供を持つサラリーマン。
幸せな家庭を築いたが、41歳で胃がんを患い、早逝している。
バリアンは田中時代の記憶を元に「現代知識チート」的な発明や物品制作を行ったが、うろ覚えな箇所もあり未完成・不完全なまま伝わったものもある。
祖父が住職であり、同作者の短編『まじかる☆住職☆タックルン』には父が住職の主人公・田中拓海が登場しているなど関連性が疑われるが詳細は不明。
リオンクール領
舞台となるアモロス王国の山脈に囲まれた盆地に存在する。それ故交通は不便であり、交易路の遮断が死活問題に直結する。リオンクール人は排他的ながら武勇を好む気質を持つ。
地名や人名などはフランス風。地政学的に隣接する領土を切り取って組み込んだ地域もあり、内外に争いの種は尽きない。
- ルドルフ・ド・リオンクール
バリアンの父。偉丈夫の豪傑で「鷹」の異名を持つリオンクール伯爵家の当主。
荒くれ者の多い家臣を纏め上げるカリスマと実力を備えた人物だったが、ある時期からはその聡明さも薄れ始め、晩年にはほとんど厄介者と化す。
- リュシエンヌ
バリアンの母。バリアンを溺愛気味で、ルドルフが他所に居を移した後もバリアンと同居し、家内を長く支え続けた。
- ロベール
バリアンの兄。
- アルベール・ド・グロート
バリアンの教育係を務める執事。
リオンクールの地で反乱鎮圧を指揮し続けた、残忍で獰猛な実力者。
騎士として、名誉よりも勝利すること・生き残ることが重要だと説き、バリアンの価値観形成に大きな影響を与えた人物。
死後、バリアンの著した書物の中では「騎士の父」とも讃えられている。
- オノレ・ジロー
リオンクール伯爵家に仕える従士の青年。朗らかな人格だが戦場往来の強者。
意外と手先が器用。
- ロロ
奴隷の少年。バリアンの学友。身分を超え、生涯にわたり彼を支える親友。
- ロナ
ロロの姉。田中の記憶が宿る前の乱暴者であるバリアンを嫌っていた。
- ジャン・ド・グロート
アルベールの孫。バリアンの学友。弓の達人で戦術眼に優れている。
- タイトルに『田中』が含まれる作品群の中でも出色の出来であるとして、『なろう界の三大「田中」』と称される。
- 他の『田中』は『田中のアトリエ ~年齢イコール彼女いない歴の錬金術師~。』、『項羽と劉邦、あと田中』、『田中家、転生する。』であると言われている。
- 三大と言いつつ4つある気がするが気にしてはいけない。
- 他の『田中』は『田中のアトリエ ~年齢イコール彼女いない歴の錬金術師~。』、『項羽と劉邦、あと田中』、『田中家、転生する。』であると言われている。