概要
ラグビーやアメリカンフットボールで、パスまたはキックし終えてボールを保持していない選手にタックルする反則プレイ。それぞれの競技における審判員のレイトタックルの処理は次のとおりである。
ラグビー |
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アメリカンフットボール |
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補足
ラグビーやアメフトにおいて細かいもの含めれば数多く存在するファウルの中でも、最低最悪なファウルが当タグであるレイトタックルである。
さらに、背後からということになると、極悪非道以外の何物でもなくなる。
特にアメリカンフットボールでは、背後からのタックルを厳しく禁じていて、レイトタックルとは別に通常なプレイであっても適用されるクリッピングという反則がある。
なぜ、最低最悪なファウルなのか、それは下記の理由である。
- (ボールを)パスやキックし終え、周囲を確認したプレイヤー又はボールを最初から保持していないプレイヤーは、敵プレイヤーが自分のところにタックルなどを仕掛けたりはしない……だろうと油断する(ゲームの目的とルールから、ボールの行き先から離れ、直後にボールへ触れる可能性が低いため)。
- 油断したプレイヤーの意識は攻守から自然に離れ、自身への攻撃に対する集中力が無いに等しい状態になる。
- 集中力が完全にゼロになると、隙だらけな完全無防備状態になる。すると、転倒時に受け身を取るのが遅れたり、最悪受け身自体が取れないこともあり得る上、そのせいで転倒時のダメージは軽減されにくい又はそのダメージを100%モロに喰らってしまう。
- ジャパンのラグビーやアメフトのプレイヤーの体重は100キロ前後が多いが、本場イングランドのプレミアシップ、オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカのスーパーラグビー、アメリカのNFLなどでは体重100キロオーバーなプレイヤーがゴロゴロ存在する。
- 完全無防備状態で、視界外から猛然と突進してくるヘヴィークラスな敵ディフェンダーのタックルを喰らうことは、攻撃を受ける前提で意識が守備に回っている状態で喰らうよりも受けるダメージが計り知れないものがある。
以上のようにレイトタックルが発生すると、タックルを受けたプレイヤーは重度な脳震盪を起こす、脊椎損傷によって身体が半身不随になる等の傷害の他、最悪な場合では死亡することもある。
反則の経緯、結果によっては試合での退場を通り越して、傷害、殺人未遂、傷害致死として刑事告訴される案件にも発展しかねない。
そのような背景もあってなのか、ラグビーやアメフトの指導者はプレイヤーの育成にあたって「レイトタックルだけは絶対にするな!」と常日頃から口酸っぱく指導している。
もし、レイトタックルがそれでも絶えないとしたら、相手チームの主力プレイヤーを故意に潰す目的で仕掛けたのだろうと周囲に勘ぐられても仕方あるまい……。
余談・34年越しの皮肉
伝説な熱血ラグビードラマ・スクールウォーズ(1984年~1985年)の第2話『泥まみれなニュースーツ』でも、不良ラガーマン(内田勝/宮田州)が後輩ラガーマン(森田光男/宮田恭男)にそれを仕掛けた後、市立川浜高校に赴任したばかりの体育教師・滝沢賢治(山下真司)に「(『(レイトタックルは)やばかったかなぁ~?』と内田の軽薄なセリフに対して)当たり前だ!レイトタックルなんかやりやがって!」と叱責される場面があった。
その後、賢治の咄嗟な判断で、後輩ラガーマン達にジャージを全部脱がせ、折れたポールを2本地面に平行に置かせ、自らも真新しいスーツを脱いで、ポールの間の泥だらけな地面の上にそのスーツと複数のジャージを惜しげもなく敷いて、即席な担架を作った。脳震盪で全く起き上がれない森田をその即席担架の上に乗せ、学校の近くに彼の姉夫婦が営んでいる中華料理店・「新楽」に賢治たちは伸びている彼を搬送した。彼が担ぎ込まれたのを見て、彼の実姉・夕子(和田アキ子)は内田たちの頭をしばくわ、救急車に電話しようとするわ、ひとりで騒ぎ立てた。対照的に、彼の義兄にあたる下田大三郎(梅宮辰夫)は落ち着き払って、彼を家の中へ搬送し、彼の看病を夫婦二人でしたなど、レイトタックルは罷り間違えば死亡事件にも発展しかねない極悪非道なタックルなのである。
レイトタックルをやったのが内田(勝)なら、それを命令したのも内田(正人)だとしたら、全くシャレにもならないブラックジョークで、それはもう34年越しの皮肉と言ってももはや過言ではないだろう。