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概要編集

『ロスト・ケア』は、葉真中顕による日本のサスペンス小説。2013年2月20日に光文社から刊行された後、2015年2月20日に文庫化された。第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品。


「介護」「殺人による救済」をテーマとしており、ストーリーは非常にシリアスである。


2023年3月に映画化。こちらの題名表記は「ロストケア」と、「・」が無い。松山ケンイチ長澤まさみがW主演を務めた。2人は本作が初共演となる。映画化にあたって、舞台が長野県の過疎地域に変更、主人公である大友秀樹が長澤演じる女性検事・大友秀美に変更されている。

主題歌は、森山直太朗の「さもありなん」。


登場人物編集

原作小説と映画では、一部名前の表記や設定が異なっている。以下では映画版の設定を紹介する。

東京・八王子にある介護付き有料老人ホーム「フォレスト・ガーデン」(映画では長野県にある派遣型介護サービス会社)に勤務する介護士。真面目かつ人当たりの良い性格で担当する高齢者やその家族からの人気は高いが、その裏で「喪失の救済(ロスト・ケア)」と称して42人の高齢者を殺害しているサイコパス。だが、そんな凶行に走った彼には父親とのある辛い過去があった。


長野地検の女性検事で、老人ホームに住んでいる母親がいる。父親とは両親が離婚した後20年以上も会っていない。斯波との取り調べで自身の過去、両親との向き合い方に苦悩することになる。


長野地検の新人検察官で、おばあちゃんっ子。法曹界では異端児扱いされており、洞察力に長けている。大友のサポートに努める。


秀樹(映画では秀美)の母親。夫と離婚後、シングルマザーとして子供を育て上げ、保険のセールスマン時代の貯金と年金で老人ホームに自ら入った。骨折したことで車椅子生活となり、認知症の症状も出始めている。


宗典の父親。脳梗塞で倒れたことをきっかけに認知症の症状が出始めたことで、息子の介護が必要となり、2人でアパートに引っ越した。しかし、日に日に症状が悪化したことでお互いに生活苦の状態に陥ってしまった。そして、この親子の関係性が息子の凶行のきっかけとなってしまう。


認知症の母と幼い娘を持つシングルマザー。スーパーでパート勤務している。


宗典と同じ老人ホームに務めるパート勤務の女性。勤務歴や年の功からか、良くも悪くも現実的な事をズバズバ口にする性格。そのことで、由紀から咎められることがしばしばある。


宗典達と同じ職場で働く、非常に真面目で仕事に献身的な、若い女性ヘルパー。宗典に非常に強い憧れを抱いていたが、彼の事件ニュースを目の当たりにしたことで介護に絶望、風俗嬢に転身してしまう。


宗典達が働く訪問介護施設の所長。とある早朝、利用者の自宅で遺体となって発見されたことで、物語が動き出すことになる。


関連タグ編集

小説 介護 福祉


相模原障害者施設殺傷事件本作刊行の3年後に発生した事件。本作との直接の関連性はないものの、【(1)福祉サービスを舞台にした大量殺人事件であること、(2)加害者が福祉サービスに従事する人間であること、(3)加害者が「『殺した』のではなく『救ってあげた』と正当化する」という考えを持つ、確信犯であること】といった共通点がある。

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