概要
CV:神保なおみ(TV版) / 戸田恵子(劇場版)/永田亮子(スパロボの代役)
ローザ・アフロディアとは、『宇宙戦士バルディオス』のキャラクターにして、物語のメインヒロインの一人。
そして、この物語の諸悪の根源にもなる。(詳細は後述)
人物
アルデバロン軍最高司令長官を務める女性で、総統であるゼオ・ガットラーの腹心的存在。
元々のアルデバロン軍の司令官であった父親が母親と共に事故死して弟のミランと共に天涯孤独となってしまった際、当時その部下であったガットラーに引き取られた過去があり、もう一人の父親と呼べる彼に心酔するまでに至っている。
ガットラーと敵対する相手には一切の情け容赦の無い形で排除しようとし、卑劣な手段によって陥れる事も厭わず、アルデバロン軍の冷酷非道な戒律である「情け無用の掟」も自らが考案し、物語の冒頭で行われたクーデター計画も自らが進言して強行した物である。
弟のミランを殺害したマリン・レイガンに対して激しい憎悪を抱いている。
が、そもそも原因はマリンの父親であるレイガン博士や皇帝・トリノミアス3世を暗殺しようとした自らの計画そのものにあり、ミランはその際に返り討ちにあっただけなので、客観的に見れば逆恨みと言わざるを得ない(しかも、トリノミアス3世を暗殺した直後にはマリンのIDカードを落として罪を擦り付ける上に、ミランの死後はきっちりレイガン博士も撃ち殺している)。
この経緯から、地球侵攻作戦時は本来の目的よりもミランを殺したマリンを「裏切り者」として抹殺する事に固執している公私混同な描写も目立っている。
ガットラーの後ろ盾により高い地位についている事もあってか、彼との愛人関係によって得た物であると思われがちで、嫉妬と偏見に満ちた陰口に苦しんでいる。
とはいえ、本編中にしっかり愛人関係を示唆する描写もあり、嫉妬はまだしも偏見の方は故のない話でも無く、まさしく「火のない所に煙は立たぬ」という状態になっている。
また、一部の部下達に嫌悪感を向けられるのは、自らの地位を良い事にかなり強権的な振る舞いをしている上に、私情に任せた判断や行動に出てしまう傾向があるのも原因と言え、第4話ではバルディオスに返り討ちに遭って自分一人だけビッグオクトから脱出して逃亡するかの様な描写まである。
おまけに何度失敗しても、自身に甘いガットラーからは重い処分を下される事も殆ど無い上に、時には自ら戒律を破ってしまう事さえもある為、結果的に回りには厳しいのに対し自分には甘いという状況を無自覚ながらも生み出してしまい、これを客観的に見ているであろうアルデバラン側の人間達が不満を抱くのも仕方の無い部分があった。
以上の様々な要因や、半ば私情に任せた物語での取り返しつかない所業や越権行為の数々、そしてマリンとの愛憎入り混じっていく関係からも、最終的にはいずれのストーリーでも破滅的な末路を迎える事になっている。
劇中の様相
物語冒頭で(この時点では)軍部代表として他星への武力制圧を主張するガットラーに、その障害となる平和派の科学者達(その中には、物語の主人公であるマリン・レイガンの父親であるレイガン博士もいた)と皇帝であるトリノミアス3世の暗殺を進言する。
タカ派ではあれど少なくともこの段階ではそこまでの強硬手段をとるつもりは無く慎重な姿勢を見せていたガットラーだが、あろう事か彼女(と、彼女に付き従うアルデバロン兵)は、ガットラーの意思を無視する形で暗殺を強行しその罪をマリンに着せてしまう。
この時、実行部隊に交じっていた弟のミランをマリンに殺された為に非常に強い憎悪を抱く事になり、因縁が生まれる。
地球侵攻時には最高司令長官に就任し軍規を強化すべく「情け無用の掟」なるものを制定するが、「戦隊を乱すものは死刑」といいつつマリン憎しで自分が率先して戦隊を乱したり、「敵に情けをかけられた者は死刑」といいつつ自分がマリンに見逃されたりと、お世辞にも有効に機能したとは言い難いものだった。
戦いの中で心境の変化があってか、徐々にマリンに心を許していき、敵でありながらも誰よりも高くマリンを信頼するような素振りまで見せる様にまでなっている。エンディングに至ってはヒロイン待遇である。歌詞に従えば「憎しみの砂漠を乗り越えて」らしい。
しかし、番組制作側の都合もあってか、TV版ではフェードアウト(未放映シナリオ上は、軍を追われた上部下に殺害される末路だった)・劇場版ではマリンの腕の中で息絶える。
評価
劇中での「肉親を奪われて部下達からもやっかみを受けている悲劇の美女」的な描写からも、最終的にアフロディアは視聴者達から何となく許されてしまっている風情もあるが、上記の通り平和派を暗殺し武力制圧=地球侵略のきっかけとなったのはほかならぬ彼女である。
更には平和派はこの時点で「侵略をせずとも母星を救いうる手段」をどうにかながらも確立していたのだが、彼女が先走ったばかりにその手段も失われてしまったという、まぎれもない戦乱の元凶となっており、それらに関して自覚する様子も全く見せていない。
人工太陽を用いた大量虐殺もあってか、未制作の36話では脱走してBFS基地に匿われた際、エラ・クインシュタインから暴力に等しい尋問を受ける事態となっている。
小説版でも、家族を失ったBFS隊員によるアフロディアに対する暴行を容認されてしまう等、報いを受ける展開となっている。
アフロディが最終的にいずれも死亡する末路を迎えるのも監督の広川和之氏の意向となっている様で、ファンからの質問に対し「死以外で彼女は救えない」と応えている。加えて駄目押しに近い形で「あんた、あの娘が何人殺したと思ってんの?ハイネルだってリヒテルだって死んだのですぞ」と続けている。