概要
主人公の真壁一騎と、1歳年下の軍人カノン・メンフィス(後に羽佐間カノンに改姓)のカップリング。
1期
カノンは敵のパイロットとその乗機を奪う任務を無事に遂行し、一騎を捕らえた。彼女にとって同じ人間だからと攻撃をためらった一騎は臆病者でしかなく、食事を届けた時に「お前はもう用済みだ」と告げるが、カノンが誰かと話すなんて珍しいと上官を驚かせた。
全てを失った後、時に味方でさえやむなく始末する軍に入ったカノンは、自らを意志のない、もういないものとして扱っていた。故に一騎の故郷の島もろとも自爆しろという命令にも従おうとしたが、説得を引き受けた一騎が立ちはだかる。カノンは話をしようという一騎の要求を突っぱねるも、彼の拙い話術につられて過去の境遇を打ち明けていた。一騎は「自分じゃ何も決められずに、ずっといなくなりたいと思ってた」カノンに今までの自分を重ね、自爆するかしないか3分以内に自分で決めろと迫る。
「決められないなら、俺がお前を消してやる」「お前が(自爆すると)そう決めたんなら、一緒に消えてやる」、突きつけられた選択肢に困惑するカノン。そして、「お前は、そこにいるだろう! カノン!!」という叫びを最後に3分が経過した。
カノンは自爆をやめることを選んだ自分に呆然とし、次いで爆発に巻き込まれれば命がないというのに、自分を殺さなかった一騎に激昂して理由を問い詰める。「お前が決めなかったらって、言ったろ。自分で、決めたんだろ」という答えを残してその場を去る一騎に、カノンは「待て、話を聞け、私の話を」と泣き崩れた。
投降したカノンは島の一員に迎えられ、一騎の中学のクラスメイトになった。
劇場版
前日談小説において、カノンはまたしても一騎の言葉に振り回された意趣返しに、彼を犬扱いしてからかおうとした。ところが、ちゃんと話を聞いていなかった一騎に返り討ちにされ、敢えなく撃沈した。
戦闘中、カノンは全身の結晶化に襲われる。そこへ一騎が駆けつけ、自分の寿命と引き換えにカノンを癒すと、彼女を残して戦いに戻っていった。
2期
カノンは一騎の命を食らう彼の機体を化け物と忌み嫌い、余命3年の彼を二度と乗せまいと引き止め続けた。だが、そんな彼女に感謝した上で、一騎は機体の呼ぶ声に応えるかのように命の使い道を選んだ。
「お前は人の話も聞かないで、私の心をバラバラにする」と1人涙しながらも一騎たちを信じて見送ったカノンだったが、ある時予知能力を獲得し、島が滅びる未来を見てしまう。しかし、「選びなさい。一騎のように」と助言され、見ているだけではなく、求めた未来を掴むための孤独な戦いに身を投じた。
命を削る未来干渉を繰り返して彼女が辿り着いたのは、ただ1人島に残った自分のもとへ一騎だけが戻り、2人きりの世界で生きていく未来であった。
灯籠祭りの夜、白いワンピースに着替えたカノンは以前一騎が「好きだろ?」とくれた飴を頬張っていた。そこにいるはずのない一騎が現れ、あの未来と同様に「生きよう、2人で」と手を差し伸べる。「本当の望みかもしれないけれど、私の探していた未来じゃない」「お前といられる未来があった。それだけで、いいんだ」とその手を拒まれた一騎はカノンの決断に微笑みを送り、彼女にそれを見られることなく姿を消した。
最後の干渉によってあの結末を否定したカノンには、もうこの世にいられるだけの命が残されていなかった。「好きだよ、一騎」という呟きと共に、彼女の体は大気に溶けていった。
その頃一騎は夢の中で、純白のワンピースに身を包んだカノンに抱えた不安を打ち明けていた。しかし、制止も空しく彼女は感謝と別れの言葉を残して消えてしまい、夢から覚めた一騎の目には涙が浮かんでいた。2期で一騎が涙を見せた唯一の瞬間であった。
仲間と島への帰還を果たした後、彼はカノンの姿をした島のミールとの契約により命を繋ぐことになる。