一般曹候補生
この制度は曹候補士制度(曹に昇進することを前提に採用される7年を上限とした任期を定めた制度)に替わる採用方法であり、補生、あるいは曹候生と呼ばれる。
この制度により採用された自衛官は自衛官候補生に比べて士長昇任が早く、採用年の翌年には士長となっている(なお、自衛官候補生経由の場合士長昇任は最低2年となっている)。また3年目から曹への道が開かれている。
外見からの識別法は、襟元に輝く「金バッジ」こと桜花章である。
しかしデメリットも存在し、10年以上下士官になれない場合も存在する、あまりに出来が悪ければ退職勧告を受けて追い出される、退職する場合自衛官候補生出身者よりも退職金が少ないということもある。
この制度ができるまで
本来、この種の採用は士官候補や技術職、自衛隊生徒(中学校卒業者を4年で下士官とする採用)を除き任期制隊員(現在の自衛官候補生と同様)を以てまかなわれていたが下士官の不足に悩まされていた。理由としてはこの制度においては優秀な人間は任期終了後別業種に転職(逃走)されてしまうためであった。
そのため、下士官不足を補うために一般曹候補学生という採用を昭和50年から開始した。この制度においては2年で下士官に仕立て上げるいわばエリート養成システムのようなものであった。また、平成2年には任期制隊員にかかる費用圧縮(任期制隊員の場合任期満了に伴う満期金を支払う必要がある)を兼ねて曹候補士という採用を定めた。この制度は最低3年で下士官になることが可能であり、さらに採用後7年になれば確実に下士官になることが可能となるというものであった。
しかしこれらの採用にはいくつかの問題があった。一般曹候補学生の場合2年間の教育期間では指導者たる下士官としては疑問が付くという点、曹候補士の場合確実に下士官になれるということから「試験に通れば無能でも下士官に」ということになり意識の低い隊員が増加してしまったこと、さらには自衛隊特有の問題として兵に対し下士官が多すぎるという問題が存在した。
そのため平成19年に少年兵の問題があった自衛隊生徒を陸上自衛隊以外廃止、一般曹候補学生を廃止し、曹候補士をこの制度に改めた。
なお、平成22年には陸上自衛隊の自衛隊生徒は高等工科学校生徒に変更された。任期制隊員の制度も自衛官候補生として初期教育中の隊員は防衛省職員の身分から外されることとなった。