解説
2024年8月、主食用米の流通量が減少した。一部のスーパーで店頭から在庫がなくなるなどの事態が起こり混乱が広がった。
一部メディアが「令和の米騒動」だと騒いだが、米騒動の内に入らないと分析するメディアも多かった。
というのも、2023年は記録的な高温や少雨の影響で米どころの新潟や秋田で不作となったが、全国平均では作況指数は101と平年並みであった。
従来の米騒動とは違い凶作が原因ではないのである。
- 2021年、2022年はコロナ禍によりコメの需要が減り「コメ余り」状態であった。
- 2023年、外国人旅行客の増加に伴って外食業界の引き合いが強まり、コメの需要が高まった。
- 日本人にとっては2023年から2024年は物価高や円安によって家計を引き締めなくてはならない中、小麦製品に比べてコメは「お買い得」であった。
このようにコメの需要が高まる中、とどめを刺すかのように8月8日16時43分に宮崎県で震度6弱の揺れを観測したマグニチュード7.1の地震(日向灘地震)を受けて、南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震への注意を呼びかける臨時情報が発令された。(8月15日17時まで)
非常用飲料水や非常食(備蓄米)を買い求める動きがあり、スーパーでは購入制限がかけられたのである。
8月半ばには全国で新米の収穫が始まったが流通するのは9月ごろであり、政府は「冷静に買い求めるよう」呼び掛けていた。
米不足でフリマサイトに転売ヤーが跋扈するなど令和時代ならではの問題も起こった。
政府は消費者に冷静になるよう呼び掛けたが、政府備蓄米を放出しなかった事など対応に批判もあった。
新米の流通直後は米価格の高止まりもあったが、10月ごろには騒動は下火になった。
「令和の米騒動」は「新語・流行語大賞2024」にノミネートされている。(11月にノミネートされた30の言葉が発表される。)