伊東富士子とは、『YAWARA!』のキャラクター。身長180センチ、足のサイズは27(原作は当初175センチだったが、完全版ではアニメ版と合わされている)。
声を演じた川島本人も高身長だったらしく、彼女にすごく感情移入したという。
概要
静岡県出身、実家は伊東市。高校卒業後上京し、渋谷近郊のアパートで一人暮らし。猪熊柔の三葉女子短大時代の同級生にして無二の親友となる。彼女の強さに惚れたひとりでもあり、女子柔道同好会を立ち上げ、白帯軍団筆頭として頭角を現す。
元々は幼い頃からバレエを習い、ボリショイに海外留学もしたほどだったが、背が伸び過ぎ、トゥシューズを履けなくなった為に断念した過去を持つ。それゆえ血豆で赤黒くなったバレエシューズを今でも宝物として大事にしている。
性格
登場当初はかなりネガティブな性格だった。なにより夢だったバレリーナになれず挫折を味わったことから、何か別の新しい人生の目標を探すべく上京を決意し三葉女子短大に入学したが、何をしてもうまくいかず、周囲からも蚊帳の外で物事に対して自暴自棄になったりしていた。ただ、猪熊柔とは何か共通する波長を感じ、彼女といれば自分は変われると思い、彼女と親しくなっていく。実は、高校時代に漫然と見ていたテレビ番組で猪熊柔の姿を記憶に焼き付けており、「自分と違って選ばれた人」「あなたはとっても輝いていた」と本人に告げるとともに血豆で汚れたトゥシューズを見せ、貴女は自分が叶わなかった夢を叶えられる人と、柔の柔道への思いを再燃させた。
後に柔への憧れと、柔が半引退後は、彼女を柔道へ復帰させたいという思いから、自ら柔道の門を叩き、サークルで出会った親友たちとの交流を通じてくじけない心を手に入れる。柔道の実力も滋悟郎からの指導に加え、持ち前の長身とバレエで培った柔軟性と粘り強さ、リズム感に、柔から貰った心力が合わさったことで、一気に頭角を現わしていく。短大卒業後は西海大学に編入入学し、本格的に柔道に打ち込むことになる。
また、武藏山高校時代に猪熊柔の同窓生だった花園薫とは相思相愛になり、恋心や将来の進路で迷走する柔をこれまでとは逆に𠮟咤激励するなど、芯の強さも勝ち取る立場となった。その後できちゃった婚ではあるが、二人円満にゴールインして一人娘の富薫子(ふくこ)の福を授かる。おそらく作中でも、何やかんや色々と報われたキャラクターといえる。その一方で、恋愛は柔とは対照的に順風満帆、花園との相思相愛、そして結婚、出産というイベントが、奥手な柔にとって、松田への想いに対し自分を苦しめていく(邦子の奸計も加味されて)ことにもなる。
滋悟郎からも彼女の人柄を高く買われており、「ノッポの姉ちゃん」と呼び慕われている。また松田とも熱い信頼関係を築いている。一方、本阿弥さやかのことは「この人嫌い」と露骨に告げており、風祭のこともくるみ割り人形という内股を教わった割に結婚式に招待しなかったなど、あまり関係は良くない。
柔道について
得意技は「白鳥の湖」(大内刈り)と「くるみ割り人形」(内股)だが、実はその二つしか技を持っていなかった。また、一度だけ柔との親友対決が実現したことはあるが、実力差は歴然であった。一方で、練習とはいえ猪熊柔から一本を取ったり、頭角を現してきた本阿弥さやかと引き分けたり、テレシコワと善戦を演じたりしており、猪熊柔とそこまで極端な実力差があるわけではない(事実、物語後半では彼女にアドバイスを送る柔の顔が「強いと認めた者に対する時の顔」になっていると松田は分析している)。なにより柔道を始めてたったの1年足らずで全日本の強化選手に抜擢される辺り、彼女も十分天才の一人である。
その割に試合では柔と対照的にあがり症で、すぐに緊張してしまい本来の力を出せず、いつも綱渡りでの勝利ばかりだった。それでも、親友や夫、娘たちにも支えられて五輪出場を果たし銅メダルも受賞。TVアニメ版で、技を掛ける際の「アン・ドゥ・トゥロワ!!」の気合いの掛け声が印象に残っている人も多いはず。
ちなみに、一等賞が取れない子という設定であり、アニメでは全日本選手権体重別優勝時に『初めての一等賞』というタイトルとなっているものの、福岡女子国際柔道選手権のときに優勝しているので、本当は初めてではなかったりする。
ねとらぼで開催された人気投票では3位で、天才の猪熊柔より彼女の方が共感できるというファンも少なくない。