類似する組織は世界中にあるようだが、ここでは日本における信用組合について解説する。
概要
信用金庫同様組合員の出資金で運営される金融機関であるが、信用組合はより小規模の零細企業を対象としている。
信用金庫との違い
信用組合はしばしば信用金庫と混同されるが全く異なる組織である。
まず、信用金庫の場合は出資金を払わなくても預金は可能であるが、信用組合の場合は非組合員の預金は20%以下と規定されており、このため預金するだけでも組合員として出資する必要がある。
また法人の場合、取引できる条件が信用金庫に比べてより小規模であることが求められる。具体的には信用金庫は営業地域内にある中小企業で従業員数が300人以下または資本金9億円以下の要件を満たす必要があるが、信用組合はそれより少ない従業員数300人以下または資本金3億円以下(業種によってはこれより低い制限もあり)とされている。
もう一つ、信用金庫ではほぼ全店舗にATMが設置されているが、信用組合の場合はATMを設置していない店舗も少なからずある。
信用組合の形態
協同組合型の金融機関であるため、銀行や信用金庫と違って幾つかの形態がある。
- 地域信用組合
指定された営業エリアに在住または勤務している者、或いは営業エリアにある零細企業を対象とした信用組合。企業が組合員になる場合は業種ごとに制限が課されている。
- 民族系信用組合
地域信用組合の一種であるが、在日外国人によって設立された信用組合が該当する。
かつて在日外国人に対して銀行が取引に応じなかったなどの理由から、相互扶助を目的として設立されたものである。
建前上日本人が組合員になることを禁じてはいないが、日本人の組合員は少ない場合が多い。
・商銀信用組合 在日韓国人の相互扶助のために設立された信用組合。現在はこの称号を用いる組合は愛知と広島のみで、他の組合は別の称号を用いている。
・朝銀信用組合 在日北朝鮮人の相互扶助を建前として設立された信用組合。現在は朝銀西信用組合以外は別の称号を用いている。
・信用組合横浜華銀 横浜市内の華僑によって設立された、相互扶助を目的とした信用組合。
- 職域信用組合
特定の企業等の従業員の相互扶助のために設立された信用組合。
- 業域信用組合
特定の業界の関係者のみが加盟できる信用組合。例えば「東浴信用組合」は首都圏一都三県で銭湯を経営している者を対象としている。
現状
信用組合はバブル崩壊まで都道府県単位で管理され鳥取県と沖縄県を除く各都道府県に所在していた。
しかし、バブル崩壊の影響で弱小信用組合が次々破綻し、現在では信用組合の数は大幅に縮小されており信用組合の店舗がない県も増えている。
民族系信用組合も経営破綻により都道府県を越えた合併が行われており、一部は日本人を理事長にすることを条件に存続している組合もある。