概要
『先生を消す方程式』は、2020年の10月~12月にテレビ朝日系列の土曜ナイトドラマ枠で放送されたドラマである。キャッチコピーは、 「私を殺したいですか? そういうの嫌いじゃないです」。主演は、田中圭。脚本は、鈴木おさむ。
なお、本作から23時 - 23時30分へと枠移動し、放送時間もこれまでの50分から30分に縮小した。
主題歌は、秋山黄色の「サーチライト」。
あらすじ
ある日、名門私立高校・帝千学園の3年D組の新担任に数学教師の義澤経男が就任する。東大進学率も高い都内有数の進学校である帝千学園において、3年D組は成績優秀な生徒が集められたクラスであるが、これまでこのクラスの担任を務めてきた教師たちは次々とメンタルに不調をきたし、半年の間に3名の教師が辞職に追い込まれたいわく付きのクラスであった。実はこのクラスは官僚やセレブなど裕福でハイステータスな保護者を持つ藤原刀矢、長井弓、大木薙、剣力の4人からなる4Cと呼ばれる生徒グループのうち、刀矢以外の3人が親の権力を笠に着て好き勝手に振る舞っており、彼らが自らの手を汚すことなく担任教師を追い詰め壊れていく様をゲーム感覚で楽しんでいた。次々と担任が辞職する厄介この上ない3年D組であるが、義澤は敬遠することなくなぜか自ら志願してD組の担任に就任する。
刀矢以外の4Cの生徒たちはいつものように意地悪な発言や質問で義澤を精神的に追い込んで潰そうとするが、彼は「笑顔でいれば幸せはついてくる!」をモットーに生徒たちと接し、へこたれる様子が無い。精神攻撃にへこたれない義澤に対し、彼らは次は物理的な攻撃を行い義澤を負傷させるが、そのような状況になってさえも義澤はなぜかニコニコして怒りを向けることはなかった。そんな義澤であるが、なぜか4Cの生徒たちのプライベートな情報を熟知しており、そのことをにおわせて彼らを動揺させる。精神的な攻撃も物理的な攻撃にも動じず、自分たちの知られたくないプライべートな情報を知る義澤を不気味に感じた4Cの生徒たちは3年D組の副担任・頼田朝日のけしかけもあり遂に一線を越え、義澤を抹殺しようと完全犯罪を企て義澤の命を狙おうとする。
登場人物
- 義澤経男(演:田中圭)
本作品の主人公。帝千学園3年D組の新担任。担当科目は数学。義澤経男という名前から義経と呼ばれることもある。
過去に何名も退職に追い込まれている3年D組の担任に自ら志願し就任している。「笑顔でいれば幸せはついてくる!」をモットーに、生徒たちからどんなに意地悪な発言や質問をされても笑顔を絶さず、物理的に攻撃され怪我をしてもニコニコしている。生徒たちのプライベートな情報をなぜか熟知しており、生徒たちを笑顔で指導する。口癖は「そういうの嫌いじゃないです 」。
恋人の静を階段から突き落として負傷させ、昏睡状態に陥れた犯人に復讐するため帝千学園に赴任しており、それと同時に、担任となった3年D組で複雑な親子関係などから心に闇を抱えた4Cの生徒たちのプライベートな情報を収集して心を歪ませた原因を探りあて、数学教師として編み出した独自の方程式を用いて彼らの心の更生にも尽力する。
- 頼田朝日(演:山田裕貴)
短期間でメンタルに不調をきたして退職していった歴代の担任を見ており、新担任になった義澤のことを気にかける。右の額に高校時代にできた古傷があり、ストレスや不安を感じると頭痛の症状が現れる。その際の口癖は「うずくな〜」。
表向きは義経を慕っている素振りを見せるが、裏では4Cの生徒たちをけしかけ、義経を消す=殺すように仕向けており、生徒からもいつ暴力されるか恐れられてるところが見られる。それもそのはず本性は殺人などの犯罪行為も平然と行う反社会的な行動傾向を持つおおよそ教師とは真逆の人物。
- 前野静(演:松本まりか)
義澤の恋人。都立保路川高校の元教師。
結婚を前提に義澤と同棲していたが、何者かの手によって階段から突き落とされ首の骨を折る重傷を負う。現在は昏睡状態で気管切開し人工呼吸器を装着されたうえ藍沢大学医学部付属病院に入院しており、人工呼吸器無しでは生きていけず、医者からは意識を回復する見込みがないと言われている。
昏睡状態になる前、問題のある生徒のことを愚痴る義経に対し「どんなに腹が立つ生徒がいても、ひどいことをされても私は恨まない。みんなに教えてあげられることを精いっぱいやってあげたい」と言い切れる教師になりたいと、自身が目標とする教師像を語っており、そのことが義経が4Cの生徒たちを更生させようとする原動力となっている。
帝千学園
名門私立高校で、東大進学率60%を誇る都内有数の進学校。校訓は「自律・礼節・英知」。
3年D組
帝千学園の中でも成績優秀な生徒が集まるクラス。裕福でハイステータスな親を持つ4C(フォー・シーまたはフォー・セレブ)と呼ばれる4人の生徒たちのうち、刀矢以外の3人が親の権力を笠に着て好き勝手に振る舞っている。
- 藤原刀矢(演:高橋文哉)
4Cの一人。学園一の優等生。教師に反抗的な生徒たちの中で唯一常識的な態度を取り、義澤を追い詰めようとする生徒たちを止めようとする。父親が検察のトップ。
表向きは優等生を演じているが、裏では4Cのリーダーとして残りの3人を仕切っており、義経に屈した力を叱責し顔を平手打ちするなど暴力的かつ激情的な一面を持ち合わせている。頼田からけしかけられ、自分たちにとって不都合な存在である義経を消す=殺すことを提案する。
6歳のころ、自分より両親に可愛がられているという嫉妬から3歳下の妹を波止場から海に突き落とし殺害。保身からその事を他言しないように父に言われたことを逆手に取り、弱みを握った父を言いなりの状態にしている。
義経から現在の自身の状態を「自分が賢いと思っている人間は権力を与えられた時、世の中のためでなく自分が一番上になるためにその力を使うが、そのような人間は自分が住む世界から外へ出た時、いつの間にか自分よりも賢い人間と出会いコントロールされていることに気づかない馬鹿」だと諭されるが、その事を認めることが出来ず義経をナイフで刺そうとしたため、刀矢の様子を察知した頼田が「生徒を馬鹿呼ばわりするのは駄目だ」と義経に殴りかかって刀矢から引き離したことで未遂に終わる。
義経に示された方程式は「賢いと思っている人×力=馬鹿」。
- 長井弓(演:久保田紗友)
4Cの一人。人気インフルエンサーの女子生徒。どこか達観したところがある。東大理三に合格確実と言われている。母親が有名な女医。
母が自身が思いを寄せていた家庭教師の瀧と肉体関係を持っていたことを知り、傷ついた時に刀矢に慰められたことから彼に恋心を抱き、刀矢に気にいられるために義経を消すことを決意する。その際、頼田に義経が自殺をしたように偽装するよう入れ知恵をつけられ、能面を被り正体を隠して義経を襲撃し、薙や力と3人で義経の首をロープで吊り上げ首つり自殺をしたように偽装する。しかし仮死状態から命を取り留めた義経が登校し目の前に現れ「自分を捨てて好きな男に気に入られるように振る舞っても、好きな男は振り向いてはくれないその有様は母親と同じく無様である」と、暗に刀矢に気に入られるために自分を見失うなと諭される。
義経に示された方程式は「恋(人生-自分=無様」
- 大木薙(演:森田想)
4Cの一人。スクールカーストの上位に位置し、その地位にしがみつこうとしており、自分より下位のD組の女子生徒にマッチングアプリで“パパ活”で金銭を稼がせ、友人関係を続けることと引き換えに稼いだ金を巻き上げていた。父親が人気飲食チェーン「餃子ライフ」の社長であったが、問題を起こし会社を追放されたことから社会的ステータスを失う。父の失脚を知った弓から友人関係を解消することをちらつかされ、その弱みを頼田に付け込まれ「義経を消して4Cの役に立てば友人関係を続けられる」と吹き込まれたことから義経を階段から突き落とし重傷を負わせる。しかし重傷を負いつつも学校に現れた義経から「自身を偽ってまで友人関係を続けることなど意味がない」と諭される。さらに階段から突き落とした犯人であることを気付かれていながらも「友人がいなくなっても俺が傍にいる」と握手を求められ、その求めに応じ握手し返したことから「仲直り!」と義経から階段から突き落とした件を不問にされる。
義経に示された方程式は「人生-友達=幸せ」
- 剣力(演:高橋侃)
4Cの一人。暴力でほかの生徒を支配しようとする男子生徒。父親が大手ゼネコンの社長で、叔父が政治家。
10歳年上の兄がいるが、父・賢治から過度に期待されたプレッシャーに押しつぶされ引きこもりとなり、父親から失敗作の烙印を押されてしまい、次に父親から兄の分も期待された自分も失敗作と思われるのではないかというストレスから学園の同級生に暴力をふるっていた。
義経に因縁をつけ土下座をさせた上教室の床を舐めさせるが、その様子を義経が録画しており、生徒から教師へのパワハラで訴えれば未成年の力の代理で父親が法廷に出席することになり、義経へのパワハラ動画をネット拡散すれば株主総会を控える父親に迷惑がかかるのではと脅迫され、逆に義経に対する非礼な態度の謝罪を求められ屈服し、義経に謝罪する。
刀矢には自身が起こした事件を検察のトップである刀矢の父にもみ消してもらった貸しがあり、逆らうことが出来ない。