この法律の正式名称は『日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法』であり、通称『入管特例法』と呼ばれる。
この法律は平和条約国籍離脱者、すなわち日本国との平和条約により日本国籍を喪失し、外国人となった昭和20年9月2日以前に日本に在住し、引き続き在住する旧日本人の立場等に対する法律である。
詳細
この法律は1991年11月1日に、それまで法律などで定められていなかった日本籍を失い、在日外国人となり、送還等もできず協定永住許可者となった人々に対し、それまでの制度を整理する形で施行された。
また、この法律を根拠として定住者の仕組みも作られた。
歴史等
この法律が成立する以前、サンフランシスコ平和条約に伴い、外国人登録法が発令、それに伴い平和条約の発効に伴う朝鮮人台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理についてという通達が出され、これにより今まで日本国籍を有していたものの、国籍を喪失した「日本人」が発生したが、彼らは在日外国人となり、宙ぶらりんの状況になった。また、彼らの祖国への帰還も特に大韓民国および朝鮮民主主義人民共和国における情勢不安や大韓民国の拒絶などの理由によりうまくいかなかった。
1965年、大韓民国との間で日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約が発効、それに伴い、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定も発効され、それに伴い、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法、略称入管特別法が施行された。この法律では本人とその子供のみが特別永住資格を得るとなっており、大韓民国政府の要請があれば協定の効力発生日から25年経過するまで協議を行なうとされていた。
その後その子孫が特別永住資格を得られないことなどが問題となり、1991年に日韓法的地位協定に基づく協議の結果に関する覚書をかわす。
これをもとに、韓国系のみならず同様の環境にあった他の同様の在日外国人に対してもこの法律を適用することとし、この法律が施行された。
この法律の適用範囲
この法律は昭和20年9月2日時点で日本に在住し、引き続き日本に居住した旧日本人、基本的には朝鮮人および台湾人に適用される。割合としては以前より優遇措置が存在した在日韓国人がそのほとんどを占めるとされる。
特例の一例
- 永住手続きの簡素化
- 指紋押捺の廃止
- 内乱・外患罪、国交・外交上の利益に係る罪及びこれに準ずる重大犯罪以外での強制送還の拒絶
- 再入国許可の出国期間の優遇
その他
定住者
また、この法律を根拠として、入管法の在留許可の一つとして法務大臣が許可を出す定住者という項目が存在し、それには中国残留孤児やフィリピンなどの日系人に対し同様の許諾を与えるとしている。実際にはこれらは「日本人だった人およびその子孫」を救済するための仕組みであったが、実際のところ、このシステムは特に南米の日系人の出稼ぎに利用されるようになった。
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外部リンク
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