概要
『ヤンキーくん編』から登場した物語の主要人物の一人。
紆余曲折の末に主人公・丑嶋馨が経営する闇金「カウカウファイナンス」の社員となった若者。作中では常々、知人たちからカナ書きで「マサル」と呼ばれており、ピクシブ投稿に於いてもコチラでタグ登録される事が多い。
丑嶋の下で闇金としてのノウハウを学び、同じく社員としてまだ歴が浅く一般的感性が表立つ先輩の高田と仲良くする一方で、丑嶋の表立った冷酷な人間性、当初債務者側だった自身や他の利用者への容赦無い仕打ちから内心で毛嫌いしており、水面下で彼やカウカウの足を掬おうと画策した。
後半期の『ヤクザくん編』にて同じく丑嶋を憎む獏木や飯匙倩らと結託し、退社した加納を誘拐する事件を起こす形で丑嶋たちを裏切ったが、この際に別件で監禁・拷問されていた猪背組の熊倉を解放し(結果、自身の醜態を隠蔽しようとした熊倉に加納が絞殺される)、自身は加納が丑嶋から受け取っていた退職金をガメて逃亡。その後の『逃亡者くん編』にて、逃げ延びた沖縄で丑嶋・柄崎に追い詰められるが、最終的に加納の退職金を回収されるに留まり見逃される。
実写版では中盤から丑嶋と敵対するため、漫画とは違う結末を迎えている。
人物
髪の一部(センター)を金に染めて逆立てた、如何にも「不良少年」といった身なりの青年。長身の男性陣が占めるカウカウファイナンスでは低身長で、スピンオフ『ウシジマきゅん』では丑嶋たちとの身長差を認識してからは牛乳パックをラッパ飲みしたり、髪のトップを頭一つ分ほど逆立てて補おうとしたりと結構気にしている。
高圧的な態度で債務者から取り立てるなど如何にもチンピラらしいが、実際は弱者相手にしか強気になれない小心者で、格上が相手だと怯えて何もできない。ただ覚悟を決めた時は丑嶋も一目置くような度胸と行動力を見せる。
闇金の従業員として様々な悪事に手を染める一方、DVや売春、人身売買など弱者いびりや人の道を外れた行為には抵抗があり、それに汲みする人間を強く憎むなど独自の正義感を持つ。
丑嶋のことは一線を超えた犯罪を繰り返していることや、弱者にも容赦がないこと、自分に屈辱を味わわせたことなどから強く憎んでいる。しかし本心では生き抜くための知恵を教わったことに恩義を感じており、丑嶋が滑皮の言いなりになっていた時には強く失望する等、向ける想いは複雑である。
(おそらく自分を苦しめた父親の姿と、理想の父親像の両方を重ねている節がある)
経歴
暴力を振るう父親と、その言いなりになって売春や闇金に手を出す母親という最悪の環境で育った。案の定、マサル本人も社会の輪から外れてしまい、高校には行かず落ちぶれた生活を送る。
ある時、暴走族のリーダーを務める愛沢浩司のバイクを盗んだ事が発端でトラブルに巻き込まれ、200万円を借り入れるために丑嶋馨の元へ連れていかれる。丑嶋は金を貸す価値などないと一蹴するが、マサルはカウカウファイナンスでのタダ働きを申し出る。過去に多人数の愛沢グループへ立ち向かった度胸が評価され、その場で入社が決まる。
以降は同社での闇金業に精を出す傍ら、会社の顧客情報を悪用し私腹を肥やしていく。しかし不当に稼いだ金は丑嶋に回収されており、それが原因で窮地に陥った際に助けを求めるも見捨てられる。命からがら救出された後に丑嶋へ謝罪しクビは免れるが、以降は丑嶋への復讐心を奥底へ秘めながら、金融屋のノウハウを学ぶために面従腹背の精神で働き続ける。
しかし『ヤクザくん編』で丑嶋が人身売買に手を貸す場面を見て怒りが再燃、今度こそと復讐を決意する。飯匙倩に丑嶋の情報を流して抗争を促し、更に肉蝮に丑嶋の居所を教えて暗殺者として差し向ける。だがどちらも失敗、マサルは加納の家から金を盗んで沖縄に逃亡する。
結末
マサルは村田という偽名を使い、丑嶋の影に怯えながら沖縄の闇金業者で働いていた。
あるとき心優しい風俗嬢・のどかと出会い、自分の罪と恐怖を癒してもらう。のどかが子持ちで、またDV夫の奴隷として働かされていることを知ると、自分と母親の姿を重ねたのか彼女の自宅に殴り込みをかけDV夫を制裁する。そしてのどかに風俗を辞め、支援員の助けを借りてやり直すよう助言する。
(ただし貧困の原因はマサルが働いている闇金からの借金である)
だが間もなくマサルを追ってきた丑嶋、柄崎、戌亥に居場所を特定され捕まる。飯匙倩との抗争で加納が死んだことを伝えられ、その件で制裁を受ける。のどかの件を正直に白状し、彼女を助けるため時間をくれとせがむも、むしろ丑嶋からのどかを殺すと脅され、盗んだ金を返すよう詰められる。マサルは観念し、自宅にある隠し場所を吐く。
そこには事前に仕掛けておいた対侵入者用の毒ガストラップがあり、マサルはそれで丑嶋を殺そうとするも「もう裏切るな」という丑嶋のひとことに気持ちが揺らぐ。結局、丑嶋を殺すことはできず、言われた通りに金を渡し、のどかのことも見逃してもらう。
その後、車で海に連れていかれ今度こそ死を覚悟するも、丑嶋と柄崎はあっさりとマサルを解放する。マサルは二人の意図が理解できず怒りを向けるも、丑嶋には「あ?お前何してほしいの?」といなされてしまう。その一言にマサルは激昂し...
コケにしやがって!! 丑嶋ァッ!!!!
俺と母ちゃんをコケにしやがって!!!!
テメェだけは絶対に許さねェ!! テメェの生き方だけは絶対に認めねェ!!
でも 本当は......
あんたからもっと...
親父や兄貴みたく いろいろ教えて欲しかったンだぁ!!!!
と、自分がずっと内に抱えていた本心を打ち明ける。丑嶋と柄崎はマサルの心情を察したのか「じゃあ教えてやるよ」と、愛の鉄拳でマサルの顔をアザができるほどボコボコにする。その後、加納の嫁からもらったというマンゴーをマサルに渡し、三人で食べると「じゃあな」と別れを告げて去っていく。丑嶋の赦しと優しさにマサルは涙を流すのだった。
丑嶋との因縁に決着が着いた後、マサルはのどかを連れて支援の申請に行き、またのどかを苦しめていたDV夫についても借金をチャラにする代わりにのどかに近づかないことを約束させる。のどかは支援により新しい家に住むことができ、また幼馴染の男性の助けを借りて生活を立て直す。
マサルは平穏が戻ったことを見届けると、自分の正体をのどかに明かし、親子で幸せになって欲しいと告げて彼女らのもとを去っていった。
最終回では、丑嶋の誕生日の日に高田がマサルの元を訪れる形で登場。
その後も沖縄で金融屋を続けているようで、地元を案内しながら互いの近況を話し合った。高田は「ヤクザくん編」での事件以来、丑嶋の指示で長らくガラをかわし続け、また「ウシジマくん編」で彼の飼いウサギの殺処分を阻止した後にうさぎカフェを開いていた。この事を聞いたマサルは、丑嶋へ自分が出来る罪滅ぼしとして、本人に顔合わせできない分、そのうさぎたちの世話をさせてほしいと申し出、高田も嬉しそうに承諾していた。
名言
俺の母親は男から殴られていつもオドオドしてた。
闇金から金借りたり身体売ったりしてる女だった。
そんな母親に育てられたら、ガキも絶対に同じこと繰り返すぜ!!
お前の子供も俺みたいにしたいのか?
(逃亡者くん編)
演者
実写版:菅田将暉