概要
「自国に害をなす者」、つまり「その国民でありながら国家に害ある者」を表す熟語。
その国にとって利益にならないどころか、害を為す言動が見られる者。
儒教の概念では、「暗君・愚かな為政者にへつらう者」のことをこう呼ぶ。中国戦国時代の儒学者・荀子は「国家にとっての良し悪しを気にかけず、自分の地位を保つことだけ考えて権力者に迎合する連中を、国賊と呼ぶ」と言及していた。
また、安土桃山時代〜江戸時代初期の日蓮宗の僧侶が書いた文書の中には「世法(儒教的な価値観)でいう諛臣(主君に迎合し、主君を喜ばす事ばかりを言い、主君と共にその時その時を楽しむ事には熱心だが、その結果、何が起きるかについては無頓着な臣下)の事を、仏教では国賊と呼ぶ」という記述も有る。
なお、現代(明治以降)の日本では「国に逆らう者」の意味に使われる事が多いが、元々の意味は前述の通り「国家・国主・為政者が間違った選択をした際に、それを止めようとせずに唯唯諾諾と従う者」の事なので、元々の意味と現代日本で一般的に使われる意味は、ほぼ正反対となる。