土方護
ひじかたまもる
死がふたりを分かつまでの主人公。
白杖を携え、革ジャンとジーンズの格好が多い、大抵サングラスを掛け衣服の下には鍛え上げられた肉体を持つ盲目の中年。
犯罪に対する自警団、エレメント・ネットワークの実動員でコードネームは「ブレード」。非合法の活動を日常的に行うため警察、犯罪者のどちらとも相容れない存在。
悪党や犯罪者に対しては苛烈というしか無い対応を行い、必ず再起不能にする(手足を切り落とす、腱を切る、喉の気道のみを切り裂くなどは当たり前にやる)。
その為ネットワークからの評価は半々か少し悪いが多いが、それは「悪党に反省を促すよりも、犯罪を二度と起こさせない方が優先」という考えによるもの。
遥に止められることが多いが、外道の類を殺そうとした事は1度や2度ではなく、特に度を越した連中は生涯後悔させ恐怖するように懲罰を下す。劇中で行ったもので最大の懲罰は首提灯。
頑固一徹、犯罪と外道を憎み悲劇に憤激する激情家の側面と、冷静沈着で合理的かつ冷酷な義侠心と理性を併せ持つ性格。
言葉はキツく、過激な言動は多いものの、そのほとんどが論理的でかつ他人への共感性も人並みにあり、厳しさの裏に思いやりのあるケースが殆どである。(ただし、自他に厳しいため配慮はあまりない。)
その上で武の求道者である為、強い者との戦いを心待ちにしているなど好戦的な面も併せ持つ。(もっとも明らかに勝ち目が無い、などの状況では降伏や交渉も行ない機会を待つ)
意外な特技が、料理と教育。どちらもかなりのレベルらしい。
過去の負傷で視力をほとんど失っており、エレメンタル・ネットワークによるバックアップで超音波ソナーによって得られた映像を網膜投影し視覚を獲得するサングラスで視界を得ている。
そのため色彩はなくポリゴンフレームのみの視覚となっており細かい凹凸の判別が出来ず人間の顔の識別が不可能であるため身体情報をメモリに保存、ラベル表示によって個人を識別している。
付近に潜伏している支援車両に搭載しているコンピュータによるモデリング処理のバックアップを受けないと解像度が落ちる。
また、糸のような音の反射でとらえにくい物体や反響のおかしいもの、逆位相波で打ち消されてしまうと見る事が出来ないという欠点もある。
補助する発声器(ラウドヘイラー)と呼ばれる円盤状の錠剤があり、発射すると超音波ソナーと同じ周波数を発しながら揮発し、発信源を増やすことで物体をとらえやすくすることが出来る。
車内など、超音波を遮るものの中にいる場合は外の視界を得ることができないが、支援車両自体にも同じシステムが搭載されているため、支援車内に居るときに限り外部視界を得ることができる。
副次的な効果として反射波までは対処できない光学迷彩で隠れた相手を見ることができるという物がある。
初期は開発途中であったためイヤホン式無線を使っているが片側の耳が塞がるため体感に若干のずれが生じていた後に骨伝導ヘッドホン機能を内蔵した改良型に交換。
が、後にワイズマンの戦術に嵌められ事実上の敗北を期したことでサングラスを外して遥と共に山中に潜伏しつつ己を鍛えなおし感覚を鋭敏化、地面からの微かな振動などの非常に小さな反応から反射レベルでの反撃を可能としている。
そのためサングラスが無いほうが容赦がなく、強い。
犯罪被害者の刀匠が非合法に鍛造した無登録刀。犯罪を憎んで打たれた銘は「断罪」。
剃刀のように薄い刀身に超低摩擦コーティングを施し、刃先に単分子接合を施した刀は理論上分子結合を分断しあらゆるものを切り裂く。
難点として切断対象に対して垂直に刃を入れブレずに切断しないと単分子層が摩耗し切断力が低下し、刀として厚みも反りも重さもないため純粋な威力が低い。
上記のサングラスに弾道予測ソフトと土方の経験・技能によって放たれた銃弾を空中で切り裂く離れ業すら可能、また切断された拳銃は新品のガラスのように分子間力が働きピタリとくっ付くほどに滑らかな切断面となる。
単分子層の剥離や刀身の破損に備えて指令車には予備が用意されており、さらに補充用の予備もある。
鞘には石突側に超音波ソナーを内蔵しており、遮蔽物から石突部分のみを出すことで隠れたまま先を見る事も出来る。また、鞘は抜いた後は折り畳む事でしまうことができるので邪魔にならない。
強敵との戦いに於いては携帯性よりも土方の適正に合致した大太刀「鬼殺し」に持ち替え、示現流や念流、一刀流等の数々の流派を学んできた彼の柔剛合一の剣技により他を寄せ付けない強さを発揮する。
彼は犯罪被害者である。両親を目の前で飲酒運転の車によって失い、剣術を嗜んでいた祖父に引き取られる。
失意と怒りのままに剣を執った彼は生活の殆ど鍛えるために使うほどに剣術にのめり込み、祖父の剣技をあっという間に吸収すると指導しきれない祖父から真壁派一刀流の内弟子として入門、剣術に更にのめり込んでいった。
そして学生の頃、かれは道端で酔い潰れて泥酔していた一人の男を見つけた。その男はかつて両親を死に追いやった男だった。
両親を死に追いやり、懲罰に伏しておきながら尚酒を辞めずに飲みつぶれている姿に犯罪者は反省しない、再犯を行わせないためにはただの刑罰では温いという考えの種が生じた瞬間だった。
そして現代社会では無用長物でしかない古武術の剣技、自らの怒りが空虚に帰した葛藤を抱きながらも剣術を修める彼に、師の真壁は突然闇稽古を仕掛けた。
木刀同士の戦いとはいえ、技が決まれば当然死ぬ決戦。その中で無我夢中で戦った彼は師を手にかけてしまい、今際の言葉を受け取ると戦場を求めて放蕩することとなり各地のやくざを強襲しては撃破していった。
そして剣術を極める為にと次第に過酷な戦場を求め、エレメンタル・ネットワークのスカウトに応え養成学校にて近代軍隊戦闘術を獲得、優秀な成績を収めると敢えて武装を刀としてロシアの紛争地への武力介入部隊に配属となった。
そこで紛争地での人身売買と薬物転売を行う組織と衝突、伝説の殺し屋ジーザスと出会い一戦をするもの目的を同じくすると共闘する。
だが、その最中で味方が壊滅。生き残りを逃がすために囮となり敵に捕縛される。
誘拐され薬物付けの戦闘人形とされた敵兵士の中の一人が誘拐された子供たちの中に家族が居るためにどうにか逃がしたいと護に協力を持ち掛け、脱走し誘拐された子供たちの救出にも成功するが協力者は護の目の前で榴弾を撃ち込まれ死亡、自身もその時の攻撃で眼球を損傷し失明する。
一連の経験で護は、悪党は死ぬほど痛めつけて後悔させるか殺すしかないと悪即斬の考えに至ると自分の甘さを痛感し、失明を理由にネットワークを一時脱退。
失明状態でもある程度戦えるように自分を鍛えなおし、後にメカニックの井川らと共に都市部専門の実働部隊として再スカウト、物語へと至る。