概要
桂正和の漫画『ウイングマン』を原作とするテレビアニメ。製作は東映アニメーション。
1984年から1985年にかけてテレビ朝日系列で放送された。全47話。
原作のリメル編の後にオリジナル展開のゴーストリメル編を行い、原作最終章であるライエル編の前に終了した。そのため、リメル編のラストが原作と大幅に異なっている。理由は下記の通り、原作に追いついたことによるもの。
また、オリジナルの変身形態や技などのアニメオリジナル要素(逆にアニメでは登場しなかった技・武器もある)、一部設定の差異など、原作と異なるところがある。
物語の展開は原作と比べるとややテンポが遅めで序盤はウイングマンがそこまで活躍しておらず(それでも初変身の第1話では原作よりもアクションシーンを増やしてはいる)、本格的にウイングマンが活躍するのは第5話からと遅い。
おそらく原作に追いつかないための措置であろう。そのために原作に準拠した回の合間にオリジナルの回が挟まれるのであるが、原作が美紅への思慕を健太が内に秘めているのに対して、オリジナルは健太が美紅への好意を公に声に出して憚らない。故に、オリジナル回で健太が「美紅ちゃん愛してる」と公衆の面前で美紅に述べ、美紅もそれを認知しており頬を赤らめながら微笑むという状況だったにも拘らず、その次回である原作回は健太が意を決したとばかりに美紅への思いを口にすると美紅が両思いだと初めて知って涙を流すという、明らかに矛盾した展開が生じている(話数が逆だったら違和感が減るはずなのだが)。
また、当時のヒーローものと比べるとやや日常に重点が置かれているのも原因であるが、ガーダーを早い段階で登場させるなど一応の活躍は見せている。しかし話が進むうちにアクションシーンは増えてきており、終盤は三角関係を交えながら最終決戦の盛り上がりを見せた。アニメ放送中に作者の体調不良で原作が半年近く休載し、原作のストックがギリギリの状態に陥るというアクシデントに見舞われたが、アニメオリジナルの展開を交えながらおよそ1年の放送を完走した。しかしながら、上記の矛盾を含め作者自身は後で「不満な点が多くあったので再アニメ化出来たら」という感想を述べている。
最終回は健太の卒業で幕を閉じ、これからもヒーローの心を忘れずに未来へ向かうラストとなった。原作が完結していないからこそできた明るい締め方だが、結果的にであるがビターエンドとなった原作とは対照的な結末となった。
ファンの中には「ある意味ウイングマンらしい終わりかた」「ウイングマンの記憶はなくなってもヒーローの心を忘れなかった健太のもう一つの結末」という評している人もいる。
原作漫画との差違、及び変更点
ウイナア&ウイナルド
原作ではウイナアはエアバイクでゲッターロボやグロイザーXやギンガイザーの様に何処からか手足パーツが現れ、ウイナルドに変形するが、バンダイが立体化に難色を示したのか通常のタイヤバイクで差し替えなしでキチンと変形するウイナアⅡ&ウイナルドⅡに変更され、ウイナアはウイナルドへ変形せずに専ら移動手段ととして活躍した。
ウイナアⅡはウイングマンを乗せたまま変形可能で、支援ロボットと言うよりパワードスーツ的な運用をされている。ウイナルドのような接近戦はできないもののビームや実弾兵器を内蔵しているため、劇中では大した飛び道具を持っていないウイングマンの心強い味方となった。
ガーダー
原作ではウイングマンの負傷具合に応じてパーツ位置が変わったが、アニメ版ではパーツ固定・及びライトガーダー(右腕)に偵察メカ・レーダーバードが搭載されている。原作ではネタとされた超合金が実際に発売した際にはこのギミックが差し替えながら再現されている。
原作後半に登場した後継のソーラーガーダーとそれを用いた必殺技ヒートショックは番組終了に近い時期での登場となったため、アニメでは未登場に終わった(その代わり、原作ではほとんど使っていないファイナルビームが決め技として使用されるケースがあった)。
アニメオリジナル変身&必殺技
ウイングマンは中盤から基本形態のほかに2種の変身パターンが追加された。それぞれパワータイプ(パワーチェイング。黄メインで瞬間的なパワーを出せる)とスピードタイプ(マッハチェイング。赤メインでテレポートレベルのスピードが出せる)となり、戦況に応じて使い分けていた。技自体は原作との変化はそれほどないものの一部の設定が変更され、誕生する経緯も原作より細かに描かれている。
あおいの正体
原作ではDrラークの実娘であり三次元人に変装していたが、アニメ版ではDrラークの養女にしてリメルに滅ぼされたポドリムス前王家の生き残りであった。リメルがあおい抹殺に固執したのも是が一因である。リメル打倒後一度は即位するが、ゴーストリメルの反乱で再び三次元へ亡命。
ゴーストリメル打倒後、再びポドリムス女王へ復位。しかしそれは健太との永遠の別れを意味しており、最終回で泣きながら「あたしだって健坊の事を愛していたのよ!」と叫び、健太の記憶を消去した。しかし記憶は忘れてもヒーローの心を忘れていない健太には明るい未来が待っていることだろう。